シェフが究めた“今のフランス料理”3品

フランス産七面鳥のブーダン・ブラン

今回は、前菜、主菜、デザートの3品を作ってもらったが、どれも実に手がこんでいる。前菜は「フランス産七面鳥のブーダン・ブラン」。ブタの血を固めて作る、いわゆるブーダン・ノワールではなく、フランス産七面鳥のむね肉と生クリームで作る、まろやかでリッチな味わいの一品だ。カワイ氏のそれには、さらに黒トリュフが入って複雑味を増し、濃厚なソースとともに、味わいとして完成する。

 

小松さん

なめらかな食感と、上品でクリーミーな味わいは、決してはずさないおいしさですね。前菜として、魅了されます。

仔鳩

主菜は仔鳩だ。春の声を聞くと、フランスでは仔鳩が恋しくなるのだそうだ。その春の声に先駆けて、名産地ランド産の仔鳩を使用。アラン・サンドランスの不朽の名作、キャベツとフォアグラの一品に敬意を表して、キャベツで包んで仕上げている。ソースは仔鳩の骨からとったジュがベースだ。

決して重くないのに十分なコクがあるのはさすがだ。片方の胸肉には必ず、骨を少しだけ残してつけているが、それは、仔鳩であっても、獣であることの証だそう。

 

小松さん

フランス料理好き、ワイン好きであれば、鳩好きに違いありません。というのは、私見ですが、それくらい王道の一品です。

ショコラ・フォンダン

お楽しみのデザートは、ショコラ・フォンダンだ。しっとりしたショコラ生地にナイフを入れると、濃厚で香り高いクレームショコラがとろりとろけ出す。

 

小松さん

こだわりのコーヒーとともにいただけば、幸せな食事の締めくくりとして、心を満たしてくれるに違いありません。

コースは13,000円、ワインペアリングは4杯で4,000円。合わせて17,000円ピッタリの明朗会計は、内容を考えるとリーズナブル過ぎるくらいだ。フランス料理を愛する人、食文化に興味がある人、ワインラバー、そんな人たちに特にすすめたい、こだわりの一軒だ。

※価格は税込。

撮影:溝口智彦
文:小松宏子、食べログマガジン編集部