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「The Tabelog Award 2023」 受賞店インタビュー
「おいしいを、讃えよう。」をキャッチコピーに、食べログユーザーによる評価をもとにした独自の年間レストランアワード「The Tabelog Award 2023」。対象期間にきわめて高い評価を獲得したお店がノミネートされ、ユーザーによる投票にて「Gold」「Silver」「Bronze」の各賞、部門賞として「Best New Entry」「Best Regional Restaurants」が決定した。
受賞店数は470店舗、その割合は日本の飲食店の中のわずか0.05%ほどという狭き門。そんなトップオブトップの飲食店の料理人たちは今、何を考えているのか?
Best New Entry受賞「SÉZANNE」ダニエル・カルバート氏
シャンパーニュ地方の街で、シャンパンでも有名なセザンに祖父母の家があり、よく過ごしていたというダニエル・カルバート氏。そこから名前を取り「SÉZANNE(セザン)」という店名に。シャンパン造りのスタイルや色彩が自分の料理に合っているから、という理由もある。コースの最初から最後まで、シャンパンとペアリングしても堪能できるような軽やかな料理を心がけているのだとか。
「日本料理も同じく繊細で軽い味わいなので、日本でも通用すると思いました。また、私が思う『SÉZANNE』の人気の秘密は、乳製品を使いすぎていないことです」とカルバート氏。
自ら下した決断とその経験で今がある
子供のころ年2回ほど訪れたレストランが素晴らしい思い出の場所だとカルバート氏は語る。13歳くらいの時にシェフになりたいと思い、将来はレストランで働くことを決めた。旅に出るといつも、その街のレストランへ行き、ミシュランにこだわらず、その街でその時最高の味を選んで食べていたそう。ロンドンでは「ピエダ・テール」、ニューヨークでは「パ・セ」、パリでは「エピキュール」と自分が思う一番おいしいレストランで働いた。他人の意見より自分の感覚を信じ、その決断に基づく経験にこそ大切な学びがあると感じているという。
オープン当初は、ヨーロッパの食材を多く輸入するつもりでいた。しかし、実際は1〜5%となり、それが最大の変化となったという。「日本の食材の品質が高いことは知っていました。それを踏まえて、食材を西洋風に使うために努力を重ねました。日本の食文化の特徴は細部の美にこだわり、そこに価値を見いだすこと。日本のお客様は季節の移ろいを敏感に感じて愛でる方が多いですね」
至極の味とは画期的なものではなく身近にあるもの
スペシャリテは「酔鶏」。名古屋の軍鶏を使い、ジュラ地方産のイエローワインに1週間漬け込んだもの。伝統的な上海料理の紹興酒に漬け込んだ酔鶏がベースとなっていて、西洋風に解釈したとのこと。バターをたくさん使用しているため芳醇で、ほのかに酸味がある。
「新しいアイデアや料理、挑戦が完成し、それをお客様に初めて食べていただく時にやりがいを感じます。至極の味とは、画期的な味の組み合わせである必要はなく、食材の一番の状態を引き出し、最も合うソースをつけること。良い食材、旬、正しい温度、が重要です」
オープンしてからたくさんの料理を作ってきたが、オリジナルで個性を発揮できた料理は10種類ほどだという。将来のビジョンは、提供する料理のすべてをオリジナルにすること。客が席につき、料理を見た瞬間、“ダニエル・カルバートの料理だ”とわかってもらえることが目標だ。
詳しくは動画で
インタビュー動画ではカルバート氏が、料理に対する思いや、将来の展望などを語る。素晴らしい料理がどのようにできているのか、そのヒントが詰まっている。
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■The Tabelog Award 2023
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