「The Tabelog Award 2023」 受賞店インタビュー

「おいしいを、讃えよう。」をキャッチコピーに、食べログユーザーによる評価をもとにした独自の年間レストランアワード「The Tabelog Award 2023」。対象期間にきわめて高い評価を獲得したお店がノミネートされ、ユーザーによる投票にて「Gold」「Silver」「Bronze」の各賞、部門賞として「Best New Entry」「Best Regional Restaurants」が決定した。

受賞店数は470店舗、その割合は日本の飲食店の中のわずか0.05%ほどという狭き門。そんなトップオブトップの飲食店の料理人たちは今、何を考えているのか?

Best New Entry受賞「赤坂おぎ乃」荻野聡士氏

2020年春、多くの食通が集う街・赤坂に誕生した「赤坂おぎ乃」。コロナ禍という逆境の中でのオープンであったにもかかわらず、その丁寧な仕事ぶりがもたらす真っ当な和食の味が評判を呼び、瞬く間に一つ星を獲得した日本料理店だ。店主を務めるのは、和食界の旗手と呼び声の高い荻野聡士氏。

「The Tabelog Award」は、今年度が初のノミネートとなり、Best New Entryを受賞した。

食事を通じて日本の歳時記を伝えたい

大都会・東京の地で、あえて「食事を通じて日本の歳時記を伝えたい」と語る荻野氏。その原体験は、和食の最高峰として知られる「京都吉兆」での修行時代、料理を通して表現される季節感や歳時記にグッと引き込まれたことにあるという。

また、自身の現在の料理の半分以上は「銀座小十」「銀座奥田」のオーナー・奥田透氏から受け継いだものであり、自身の店でも特に焼き物に力を入れているという荻野氏。日本生まれの備長炭を使用して食材をふっくらと焼き上げることを師匠である奥田氏は大切にしており、実際にそれを食べた客が心を動かされている様子を見て「料理一つで人を感動させることができる」と実感したことが大きかったようだ。

山場として提供する「八寸」に、思いを込めて

お店の価値観を表現した料理として紹介されたのが、八寸。現代の日本料理店では献立のスタートに提供するところも多いが、本来の茶懐石では、主人と客がともに緊張がほぐれてくる後半辺りに出されるものであり、両者が酒を酌み交わしながら親交を深めるタイミングでもある。

修行時代に習得したこの八寸の概念が、日本の文化や季節感を表現する上での山場であり、客がワッと盛り上がる瞬間でもあると感じたという荻野氏。12カ月の中で器も季節感のあるものに変えたり、その時期ならではの食材に変えたり。何より、八寸を目の前にして喜ぶ客の表情を見る度、料理人という職業の素晴らしさを感じると話す。

詳しくは動画で

インタビュー動画では荻野氏が、料理やお店づくりに対する思い、将来の展望なども語る。素晴らしい料理がどのようにできているのか、そのヒントが詰まっている。

■その他の受賞シェフインタビュー
https://award.tabelog.com/interview

■The Tabelog Award 2023
https://award.tabelog.com/

「The Tabelog Award」受賞店を一挙ご紹介

『The Tabelog Award 2023 公式本』(ぴあ)2,970円(税込)

日本のトップシェフの料理への情熱を徹底取材した、食べログアワード公式本が2023年3月下旬に発売。食べログアワードを受賞した全国の名店470軒を掲載しています。グルメ必携の一冊。

文:食べログマガジン編集部
撮影:大谷次郎