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目と舌を魅了する極上の雲南料理に舌鼓
日本の会席料理のように一品、一品、流れに沿って供されるコース料理の中で、特に味わってほしい4品を選りすぐってご紹介。食べておいしく、体にやさしい雲南料理の数々をご賞味あれ。
【1品目】伝統技法で味わうアオザメのフカヒレと雲南省の高級きのこ
一般的なフカヒレは煮汁をかけて供されるものがほとんどだが、こちらでは、雲南省に古くから伝わる「汽鍋蒸し」という独特の調理法で楽しませてくれる。
メニュー名は「アオザメのフカヒレ姿ときのこの雲南汽鍋蒸し」。提供までに要する時間は、なんと15時間。蒸し料理のため栄養価がしっかり保たれ、食材のエキスが引き出されるなどいいことずくめだ。
希少価値の高いアオザメのフカヒレは、イベリコ豚のスペアリブや烏骨鶏、干し貝柱などでとったスープで5時間蒸してから、汽鍋で蒸すというこだわりよう。抽出されたスープは透明だが、口の中にコラーゲンのとろみが広がって、後味もしっかり。雲南料理伝統技法のなせる業を体験できる。
森脇さん
肉厚のフカヒレを贅沢に用いた佳品。この店独特の雲南汽鍋蒸しで旨味を閉じ込めて仕上げるスープが、フカヒレにじんわりと染みています。具とスープを交互に味わいながら食べるといいでしょう。
【2品目】まさに食べるエステ。滋味溢れる「烏骨鶏きのこ鍋」
「御膳房」を立ち上げる前、外交官として各地を飛び回っていた徐さんが訪れた雲南省で出合い、その薬膳効果とおいしさに感動したのが、メインディッシュの「きのこ鍋」だ。
雲南省で採れるきのこも生産する、信州長野の契約栽培所から届くきのこは、山伏茸、朱鷺色平茸(ときいろひらたけ)、タモギ茸、柳松茸、柿の木茸など、一般にはお目にかかれないものばかり。ベースとなるスープは、コース内容により烏骨鶏、スッポンなど異なるが、いずれも10種類ものきのこを一緒に煮込むことで、天然のアミノ酸がスープに溶け出し、滋味溢れる味わいが楽しめる。
「まずは純粋なスープそのものを味わって、次にきのこを、ときどき野菜。〆は雲南省の米で作った自家製のライスヌードルか、北海道産ななつぼしの雑炊もおすすめ。雑炊にカラスミをパウダーにしてかけても絶品です」(徐さん)
森脇さん
珍しいきのこをふんだんに用いた鍋は、それぞれのきのこの食感の面白さと、きのこならではの旨味によって更に深みを増したスープが美味。
【3品目】白煙の中から料理が現れるサプライズ「マナガツオの燻製」
高山性気候で空気が乾燥している雲南省は中国二大ハムの産地として知られ、燻製料理も有名だ。料理長が毎朝目利きに通う豊洲市場で仕入れたマナガツオを、桜のチップスで燻製にして仕上げたのがこちら。
サーブ時はドーム形のガラス蓋で覆われ、白煙で中が見えないほどだが、蓋を取ると、まるで生き物のように不規則に流れ出す白煙の中から、黄金色の美しいマナガツオが現れる。豊かな香りをまとった身は、口に含むとほろりとほぐれ実に美味。
【4品目】秘伝のたれがきのこの濃厚な香りを引き立てる「ポルチーニと和牛の炭火焼き」
トリュフ、松茸と並び、世界三大きのこに数えられるポルチーニ茸。イタリア料理に使われるイメージがあるが、“きのこの王国”ともいわれる雲南省でも珍重される食材だ。
濃厚な味と香りをもつポルチーニと和牛のサーロインの炭火焼きは、かつて和牛専門店を営んでいた徐さんおすすめの一品。「味付けは、醤油ベースにカキ油などを合わせた秘伝のたれで。辛味がまろやかな伊豆・天城産のわさび、ミネラル豊富なヒマラヤ岩塩は、和牛に一番合いますよ」と徐さん。
中国食文化の伝道師として、日本と中国の架け橋として
徐さんが考えた「華魂和装」という言葉に込められているのは、中華料理の魂である味付け、素材の扱い方、昔からの伝統、それらを継承した上で、日本の焼き物や漆器などを融合させ、最高の料理で表現をとの思い。
「広大で気候風土が各地で異なる中国には、地域ごとに多様な食文化が息づいていますが、まだまだ日本で知られていないものが山ほどあります。中国食文化の伝道師として、これからも、もっともっと紹介していきたいですね」と徐さん。
今回は料理のみの紹介だが、ワインはフランスやドイツの契約ワイナリーから仕入れる御膳房ラベルやスパークリング紹興酒など、世界各地の貴重な酒とのペアリングもお楽しみ。とっておきの記念日や美食家におすすめの「御膳房 華魂和装銀座店」で、めくるめく雲南料理のコース料理を存分に味わえば、身も心も大いに満たされるはずだ。
※価格はすべて税込、サービス料10%別