“クラシックで地に足の着いたおいしさ”を味わうおすすめ4品

塩沢さんがいつもオーダーして笑顔になり、お酒がグビグビ進んでしまうという「アッシャゴ」に行ったらまず食べてほしい厳選4メニューをご紹介。

シンプルに王道の味を楽しむ「ナポリタン」

「ナポリタン」600円。具材はマッシュルーム、ピーマン、コーン、玉ねぎ、ベーコン

このナポリタン、まず驚くのは600円という破格のお値段。次に驚くのは、想像をはるかに超えるそのおいしさだ。ナポリタンというとケチャップ味のイメージが強いが、こちらでは手作りのトマトソースが使われており、変に甘すぎることもなく、大人が十分満足できる味わいで、トッピングの相談にものってくれる。

 

塩沢さん

ウェットかつ濃厚、食べ応えのあるナポリタンでハイボールが進みます。我が師匠 小山薫堂は、決まってコンビーフとコーンをトッピングするのですが、奥行きと甘みが増しておいしいですよ。

Wチーズたっぷり! アツアツ&ジューシーな「アンチョビトマト」

「アンチョビトマト」1,000円。プレーンやボンゴレ、ミックスなど12種類から選べる

ピザハウスの看板を掲げる店だけに、ピザは絶対外せないメニュー。注文ごとに生地を伸ばして焼いてくれるのだが、この生地がサクッとクリスピーで実においしい。たっぷりのった伸びのよいチーズは、ゴーダとモッツァレラのミックスが基本。やや小ぶりなサイズだが、チーズがたっぷりで思いのほか腹持ちがいい。

トマトソース、アンチョビの上に櫛形にカットしたトマトを並べていく

石川さんのこだわりは、フレッシュトマトの切り方だ。「平らではなく櫛形に切る方が、トマトの味がしっかり感じられ、アンチョビのしょっぱさや魚くささも気にならず、自分で食べてもおいしく感じるんです」。アツアツのチーズとアンチョビ、ジューシーなトマトの組み合わせは絶妙、クセになる味わいだ。

 

塩沢さん

アンチョビの塩気とトマトのみずみずしさが相性抜群。ビールを呼び込むおいしさです。

セロリ多めなのに食べやすい「イタリアンサラダ」

「イタリアンサラダ」700円。全体を白のフレンチドレッシングで和え、トッピングに赤のフレンチドレッシングでアクセント

10種類あるサラダの中でのおすすめは、レタスやキュウリ、トマトなどにサラミとセロリ、チーズを加えた「イタリアンサラダ」。自家製のフレンチドレッシングに合わせて、セロリを多めにしているのが特徴で、セロリが苦手でも不思議と気にならずに食べられる。

 

塩沢さん

サラダもいろいろあって目移りするんですが、大体イタリアンサラダを注文。全種をコンプリートする楽しみもありますよ。

しっとりコンビーフにパリッとレタスが合う「コンビーフサンド」

「コンビーフサンド」600円。コンビーフの塩気が全体をうまくまとめあげる

昭和の家庭料理によく登場したコンビーフ。長期保存が利く貴重な栄養源でもあったのだが、食量事情が豊かになるにつれ食べる機会が激減している食品の代表格だろう。昭和世代が泣いて喜びそうなのが、ご紹介する「コンビーフサンド」である。

マヨネーズをぬった食パンの上にスライスしたコンビーフ4枚をのせて、オーブンでこんがりと焼き、レタスを挟めばできあがり。熱が加わることでコンビーフがふんわりほぐれ、サクッとしたパン、シャキッとしたレタスの食感も楽しい。

 

塩沢さん

今やレストランではなかなかお目にかかれなくなったコンビーフのサンドウィッチは、シンプルで泣ける味わい。ハイボールをおかわりしたくなります。

変わらない味、気取らない店主の人柄を求めて

時代を感じる昭和なデザインが心を鷲づかみにする電飾看板

現在は17時から23時半までの営業だが、かつては11時半から夜中の2時まで店を開けていた時期もある「アッシャゴ」。

店を開け続けて46年目、今年75歳になる石川さんは、ごく親しい友人にだけ頼んでいることがある。「料理の味が少しでもおかしいと思ったら、遠慮せずに言ってくれ。そうなったら店を閉めるから」と。石川さんはその覚悟を持ちつつ「できるうちは頑張ってやりたい。おいしいものへのこだわりがもてるうちは続けたい」と、頼もしい言葉で締めくくってくれた。

庚申塚の商店街に明かりが灯るころ、変わらない店の味、店主の気取らない人柄を慕う客たちが、今宵も店の扉を開く。

※価格はすべて税込です。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:齋藤ジン
取材・文:池田実香(フリート)