月曜〜木曜の「鰻」と「さば」も見逃せない!

「とろさばひつまぶし」(1,200円)

「らーめん」人気のように紹介しましたが、ブレイクしたのは実はその前からなのです。その火付け役となったのが「鯖」です。「これも“他にはない”から発想しました。この鯖は脂が非常においしいので、いろいろな食べ方ができる。そこでイメージしたのが『ひつまぶし』でした」と荒川さん。「とろさばひつまぶし」、まずはご飯とともに。「とろさば」の身はやわらかく、皮もしっとり、そして脂はカリカリ梅が中和して後味スッキリ、相反する食感もいい!

黒ばら海苔とわさびをのせて

次は「黒ばら海苔」「わさび」「柚子胡椒」で味変を楽しみます。味変がなくても完食するおいしさですが「あるよ!」と言われるとつい手が出てしまうもの。どれも味のアクセントにうってつけで、わさびだけ、次はわさびにばら海苔をのせてと箸が止まりません。欲求のまま食べていると「出汁もあるのでその辺で……」と荒川さん。

とろさばの出汁は甘めに仕上げています

最後はご飯にほぐしたとろさばを混ぜ、出汁を注ぎます。さばの脂に合うようにと作ったまろやかな出汁は梅ご飯の酸味と香りが利いて、味覚のツボを押します。誰もが知っている味の組み合わせでも、そのバランスによって未知の味が生まれ、気づけばやみつきに。「とろさばひつまぶし」、恐るべし!

「山田の鰻 一尾使用」(2,800円)

鯖もいいけど、本家本元の鰻を忘れてはいけません。鹿児島県大隅半島の豊かな自然と豊富な地下水に恵まれた地でストレスをかけずに育てた鰻は蒸してから、3年間木樽の中で天然醸造された「八本木樽醤油」を使った秘伝のタレにくぐらせながら炭火で焼き、仕上げは蒸し焼きに。だから身も皮もふっくら。「できるだけ炊きたてを」と少量ずつ炊いた熱々の白飯との調和が見事!

「うなぎときつね」(3,000円)

油揚げと鰻なんて合うの?と半信半疑だった「うなぎときつね」。甘めの出汁がしみ込んだ油揚げ、タレ焼きの鰻、そして羽釜で炊いた白飯の三位一体は鰻の世界観を広げました。「うちのご飯はおいしいのでタレは(ご飯に)あまりかけていません」と言うように、それぞれの味がしっかり際立っているので食べ方は自由自在。一つでおいしさは無限大!

テイクアウトには極上海苔弁を!

「さばカツ海苔弁」(1,100円)

お持ち帰りメニューのいちばん人気が「さばカツ海苔弁」です。手作業で丁寧に骨を抜いた国産の鯖を醤(ひしお)オイルで味付けしたさばカツ。「お弁当なので冷めてもおいしく食べてもらえるように、味と食感に工夫を凝らしました。醤油を含ませた「黒ばら海苔」を白飯に敷き、カツの衣は厚めにつけてフワッとした食感になるように揚げています」と荒川さん。

小料理屋とラーメン店で研鑽を積んだ主人の荒川勝利さん

バラエティ豊かなランチメニュー、いかがでしたか? カウンター6席の小さな店ですが、鰻の骨を利用したラーメンや、「ひつまぶし」を鯖で表現するなど、豊富なアイデアで鰻を身近に感じさせてくれる「山田の鰻」。ぜひ足を運んで、ランチタイムをちょっぴり贅沢にしてみてほしい。

※価格はすべて税込です。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

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撮影:佐藤潮
文:高橋綾子、食べログマガジン編集部