何度でも食べたくなるこの4品!

前菜5種盛り

丸い器には「ホタテの老酒漬け」。手前の長皿は左から「レンコンのきんぴらと黒酢煮」「ブロッコリー 牡蠣のマリネ」「ピータンの卵よせ」「焼鴨の韮ソース」

最初に供されるのがこの「前菜5種盛り」だ。ピータンを卵よせにしたり、マリネした牡蠣は敢えて細かく刻んだり、いつも見たことがあるようでない料理が並ぶのは、斉さんの経験からくる豊富なアイデアによるもの。

 

高橋さん

いつもふーみんママがお料理の説明をしてくれるのですが「え、そうなの?」という組み合わせや味付けに、早く食べたくてウズウズしてしまいます。工夫は凝らしていますが、奇をてらっているわけではなくほっこりする味わいがふーみんママならでは!

エリンギのから揚げ

堀川貴永氏作の皿に料理が映える

台湾にある雲南料理店の名物料理を斉さんがアレンジした「エリンギのから揚げ」。一昼夜干してうまみが凝縮したエリンギを油通ししてから炒める。味の決め手は「ふーみん特製スパイス」。この秘密のスパイスを淡白な味のエリンギに振りかけると、どうにも箸が止まらなくなるのだ。

 

高橋綾子

いつもどうしてこんなにエリンギのシャキシャキ加減が出せるのか不思議だったのですが、ちゃんと油通ししてから炒めているからなんですね。でも家庭用のガスコンロでこの食感を出せるのはふーみんママの料理歴50年のなせる技に違いない!

海老と銀杏の炒め

見るからにおいしそうな艶と照り!

馴染みのある料理だが、斉さんの手にかかるとひと味違う。「腐乳を使っているのよ」と、口に入れた瞬間から広がってくる豊かな風味は舌の上でうまみと変わる。海老はプリップリで銀杏はホクホク、食感もこれ以上でも以下でもないくらい絶妙だ。

 

高橋さん

調理しているところを初めて見ましたが、油通ししたらフライパンに残った油はキッチンペーパーで拭き取っていました。だから食べた後のお皿に油が残らないし、お料理が油ギトギトにならないんですね。

牛肉とキノコの炒め和わせ

牛肉も野菜もたっぷり入って栄養もボリューム満点!

斉さんの炒め料理は最強だ。まず食感が断然良い! 牛肉はやわらかで、キノコはしんなり、野菜はシャキッとして瑞々しい。その秘密は炒めてから合わせ調味料で和えているからだ。オイスターソースのコクとうまみが絡み、“お代わり必至”だ!

 

高橋さん

これもどこでも食べられる料理ですが「ふーみんママのがいちばんおいしい」って思ってしまうんです。食材への火の通し方や味付けだけじゃない、“おふくろの味”的な優しさが入っているからかも。

写真の前著も評判の斉さん。11月22日に発売された新著「ふーみんさんの台湾50年レシピ(小学館刊)」には内緒にしておきたい料理も掲載されている

「歳とってきたから油もできる限り控えて、前よりも味わいを軽くしているわね」とまさに“毎日食べても飽きない料理”が振る舞われる。斉さんの人柄を映し出すような温かくてほっこりと優しい料理に誰もが夢中になる。その料理はどれも作り方は簡単で家庭用コンロでできるはずなのに、ここでしか食べられないと思うのは斉さんが作るからだろう。ここはまさに“奇跡の店”なのである。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認ください。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。

撮影:佐藤潮
文:高橋綾子、食べログマガジン編集部