〈これが推し麺!〉

ラーメン、そば、うどん、焼きそば、パスタ、ビーフン、冷麺など、日本人は麺類が大好き! そんな麺類の中から、食通が「これぞ!」というお気に入りの“推し麺”をご紹介。そのこだわりの材料や作り方、深い味わいの秘密に迫る。

今回訪れたのは、サックス奏者でありながら肉食コラムニストとしても活躍する、うらともえさんがおすすめする西浅草の老舗焼肉店「本とさや」。焼肉の〆に打ってつけ、体の芯から温まる「テグタンスープ うどん入り」を紹介しよう。

教えてくれる人

うらともえ

岐阜県高山市出身、大阪を拠点に活動するバリトンサックス/クラリネット奏者。レゲエやラテン音楽、リズム&ブルースに影響を受けたオリジナル楽曲の作曲・演奏活動を続ける傍ら、肉食愛好家として雑誌コラムを執筆、テレビにもコメンテーターとして出演するなど活躍の幅を広げている。

千束で創業し西浅草で45年、大衆焼肉の名店がここに

下町情緒漂う裏路地に佇む「本とさや」。斜め向かいには別館も

雷門や浅草寺、スカイツリーなど、東京を代表するスポットが集まる国際観光都市・浅草。近代的なビルが立ち並ぶ片側3車線の大通り、国際通りを脇道にそれると、華やかな表通りとはまた違う、飾らない雰囲気が漂う路地の風景に出合える。

こんなところに?と思うような静かな裏路地に佇むのが「本とさや」だ。言問通りを挟んだ北側の台東区千束で創業、そこからすぐ近くの現在地・西浅草に場所を移して40年以上の老舗である。

「祖父と祖母が二人で店を出し、その子どもである私の父を含む4人兄妹で家業を継ぎ発展させました。自分は3代目として店全般の仕事に携わっています」。こう話すのは、周りから「おいっこ」と呼ばれている三浦俊一さんだ。「本とさや」の斜め向かいには別館が、新橋には姉妹店「土佐家」もある。

「お客様にようやくわかっていただけた」

深い色味の渋みのあるのれんが迎えてくれる

店に近づくと、濃い赤ののれん、「味は最高」「スタミナ倍増」などの文字が映える黄色い電飾看板など、いかにも昔ながらの焼肉店という風情が漂い、令和から一気に昭和にさかのぼったかのようである。

七厘の煙がなんとも言えない情緒を醸し出す1階席

今回の主役は「テグタンスープ うどん入り」なのだが、ここは焼肉店。「本とさや」ならではの特色をうかがうと「一言で言うと『大衆焼肉』です。今、和牛専門のブランドをうたう高級店があちこちにできていますが、うちはその都度その都度、業者さんとの信頼関係でいい肉を持って来てもらい、味をみて、これはうまいというものをお出ししています」と三浦さん。看板メニューは「特上カルビ」と「特上骨付きカルビ」。「上ロース」「上ハラミ」「上タン塩」はトップ3を競う人気メニューだという。

食べログでは「肉がうまくてコスパも抜群」「リーズナブルにハイクオリティなお肉を食べられる」という口コミが多い。「以前は高い、高いとずっと言われていました。高級焼肉店が増えた今、うちのボリュームと味、価格は決して高くないということを、お客様にようやくわかっていただけたと感じています」(三浦さん)

著名人のサインに添えられたコメントを読むのも楽しい

地元民、観光客など老若男女、幅広い客層に愛されている「本とさや」。口コミによる来店や著名人の利用が多いのも特徴で、店内の壁にはタレント、俳優、お笑い芸人、スポーツ選手などのサインがびっしり。それらのサインを見ていると、よーし! がっつり食べようじゃないか、そんな気持ちになってくる。

 

うらさん

「本とさや」に初めて行ったのは友人の紹介がきっかけです。何を注文してもおいしくて感激し、以来、東京に行くと必ずうかがうようになりました。