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クライマックスに向かって一皿ごとに高揚感がアップ!
牡丹海老 ガスパチョ仕立て

北海道の牡丹海老をマリネして黄色い野菜を使ったガスパチョと共にいただく一皿。細かくカットしたパプリカやきゅうり、みょうがなどの夏野菜と4種類のハーブをのせ、たっぷりのキャビアを添え、エスプレット唐辛子のパウダーを振りかけています。これだけ多種多彩な食材を一皿に合わせているのに、一体感があるのは秘密のドレッシングのおかげ!

高橋さん
主役であるはずの牡丹海老より優ったのがガスパチョとドレッシングです。黄色いガスパチョは様々な野菜のうまみによって生まれた新しい味、という感じで、登坂さん曰く「ただのドレッシング」は個性あふれる4種のハーブを見事に調和させています。
山形牛熟成フィレ 炭火焼き

「サシがくどくなくて赤身とのバランスが良い」と登坂さん絶賛の山形牛のフィレは鉄鍋で外側をきっちり焼いた後に低温のオーブンでゆっくりと火を入れ、仕上げに炭火で香りをつけるように焼きあげました。2日かけて作るジロール茸のソースがフィレの完璧なる火入れと香りを邪魔することなく寄り添います。

高橋
めちゃくちゃ肉質がやわらかい! 焼き方を聞くと「何も考えてないです。見て触ってどう焼くか決めます」と天才肌な発言。ジロール茸のソースも、シンプルに焼いただけの「赤バナナピーマン」もこのフィレには好相性で、登坂さんのセンスの良さがうかがえます。食材をいちばん良い状態に仕上げるのはシェフの腕次第だとつくづく感じます。
夏トリュフのタヤリン/山形牛ボロネーゼ

パスタダントツの人気NO.1は「夏トリュフのタヤリン」です。今やポピュラーとなったこの料理ですが、発酵バターのみで作るこのソースは温度調節が肝心。パスタは熱々に仕上げたいけれど温度が高いとソースが分離してしまいます。温度を制していかになめらかなソースに仕上げるかがシェフの腕の見せ所というわけ。こちらのソースは唯一無二、非の打ち所がない仕上がりです。

山形牛は粗挽きと頬肉の2種類を使って肉のおいしさを強調したボロネーゼ。食感、味わい、肉質、加えたロゼアスパラ……、どう考えてもメイン料理と成り得るほどの完成度です。それをパスタのソースにしてしまうとはなんという贅沢で大胆な料理なのでしょう!

高橋さん
オレンジ色の手打ちパスタは初めてでした。使っているのは餌に赤パプリカを与えていて黄身は濃く、白身まで黄色がかっているのが特徴の大分の「蘭王」という卵。だからパスタがオレンジ色になるそうです。パスタ料理はすべて湯気がモクモクの熱々で提供されるのもイタリアらしくて好きです。
TOSAGEティラミス

イタリア料理の王道デザート「ティラミス」で勝負するところも潔い。マスカルポーネはプルプルとした食感でマルサラ酒とコーヒーの風味もきっちりな大人の味です。ザラメのような食感はチョコレートのクランブル。見た目はシンプルでクラシックでも味は複雑妙味でモダンなティラミスです。

高橋さん
パスタと同じ卵、「蘭王」を使っているのでやはりオレンジ色の濃厚なティラミスです。コクはあるけどプルンとして甘さ控えめ。ザクザクしたチョコレートクランブルの食感が良くてペロリと食べられます。
21時からは大人のわがままを叶えてくれる店に

おしゃれなお店なのできっと女性ばかりなのだろうと聞くと、意外にもサラリーマンからの人気も絶大で、カウンターに男性だけがずらりと並ぶこともあるそう。21時以降はアラカルトの店に変わり、コースとは違ったメニューが並びます。これがまた食欲をかき立てる料理ばかりでメニューを見ているだけでアガリます。しかも食材があれば“食べたいもの”を作ってくれるというからたまりません。
16,500円10品のコースでパスタの充実だけと思わせないよう他の料理の満足度をもっと上げたい、一皿一皿もっとグレードアップしていきたいと話す登坂さんの目がキラキラ輝いていました。料理の申し子のこれからに期待が高まります。



