中国料理とワインのマリアージュ

中国料理と相性のよいワインが充実しており、左から赤、泡、白、オレンジワイン2種。

さてアルコールだが、中国料理店ながらワインが売りというのが同店のスタイルで、ボトルも何十種類と充実。もちろん、グラスワインもあるので、まずはそこから攻めてみるのもいいだろう。また、自然派ワインも揃えている。同店の料理はハーブ、スパイスを多用しているので、自然派ワインとも相性がよいという。

「活鮑のリゾット風炒飯」は、オレンジワインの「マルヴァジア・ビアンカ・オレンジ ルナーリア」との相性も抜群。

さらに、どの料理にも合うオレンジワインも推しており、グラスでイタリアの「マルヴァジア・ビアンカ・オレンジ ルナーリア」1,000円、ジョージアの「シェフマン ヴィノテッラ ルカツィテリ」1,200円の2種を用意。懐の深いマリアージュを楽しもう。

辛さがだんだんクセになる「サンラータン麵」

赤いスープにパクチーの緑が映える。

料理とアルコールを堪能し、何か麺料理で締めたいと思ったら「サンラータン麵」1,300円のすっぱ辛さをぜひとも体験していただきたい。一口スープをすすると思った以上に辛く、辛いのが苦手な人だと「はたして食べ切れるかな?」と一瞬、不安になるが、心配ご無用。二口、三口とスープを飲むと、いつの間にか舌が辛さに慣れ、おいしさの方が上まわっていく。

すっぱ辛さがクセになる「サンラータン麵」。2人客には個別盛りで提供してくれる。

辛さは調理の際に加える白胡椒、並びに仕上げにかけるラー油によるものだが、それを中和するのがスープを注ぐ前に器に加える黒酢と醸造酢である。この2種の酢は、酸味を飛ばさないよう器に直接入れているのが特徴だ。食べ進めるうちに酸味が伝わってきて、辛さも次第にやわらぎ、いつしかまろやかなすっぱ辛いおいしさに仕上がるのである。辛味に舌が慣れたと感じるのはこのためで、辛いものが好きな人も、苦手な人も誰もが納得するであろうおいしさだ。

思い思いの距離感で中国料理を楽しめる店

左から吉見吏世さん、マネージャーの伊藤柚紀さん、シェフの木村和明さん、森下大雅さん。

「Azabu Yung 勇」は「私厨房 勇」から車で10~15分ほどと近く、「私厨房 勇」の完成されたコースの魅力とはまた違った、気軽なアラカルト料理が楽しめる店。厨房をつかさどるのは、ホテルで長年修業を積んできた29歳の気鋭のシェフ、木村和明さんである。

ドリンクも含め、ランチで4,000~5,000円、ディナーで8,000~12,000円の予算で堪能できる「ワイン×中国料理×アラカルト」の至福。思い思いの距離感で中国料理を楽しめ「こんなお店が欲しかった!」と実感する。そんな素敵な店が「Azabu Yung 勇」だ。

※価格はすべて税込。

※外出される際は人混みの多い場所は避け、各自治体の情報をご参照の上、感染症対策を実施し十分にご留意ください。
※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

取材・文:印束義則(UP SPICE)
撮影:玉川博之(UP SPICE)