3. 老舗ふぐ料理店が経営!「本格回転寿司 ぼて」
回転寿司の異業種参入は珍しくはないのだが、老舗ふぐ料理店となると話は別。最近、倒産した「寿し常」をとらふぐ亭が買収したが、冬だけ大繁盛のふぐ料理店からすると年中繁盛している回転寿司はうらやましく思っていると聞いたことがある。特に大阪を中心とした関西のふぐ愛は強く、ふぐの全国チェーンが展開する以前に来た時にふぐの安さに度肝を抜かれたことがあった。なにせ当時、ふぐのコースを1,000円台で提供する店がそこかしこにあり、こんなに気軽にふぐを食べられるところがあったとは、と関西のふぐ愛をまざまざと見せつけられたのだ。
こちらは創業六十余年のふぐ料理店が経営するとあって、ふぐ寿司をはじめ、さまざまな魚介が味わえる。

一番人気はもちろん「とらふぐ」!と思ったら、これがなんと「蒸し穴子」。そうきましたか……もちろん、ふっくらとした穴子はツメの味わい含めて満足感のある仕上がり。そうか、ふぐを抜き去る不動のナンバー1なのかと納得した。

おぉ、さすがにフレッシュなふぐ皮だ。オニオンと相まってサクサクといただける。これ、つまみでもかなりいける。

ふぐは身が硬いのでてっさのように薄造りにして食べるのが美味だが、寿司の場合だとある程度の厚みが必要となる。こちらはさすがにふぐを知り抜いているだけあって、絶妙の厚み。コリッとした食感もなんともよく、ふぐ寿司を堪能できる。
一品料理にはてっさやふぐ身湯引きなどふぐ専門店のメニューも並ぶ。ふぐ愛の強い、関西ならではの回転寿司店だ。
4. 淡路の魅力満載のリゾート回転寿司! 「淡路島回転すし 悦三郎」
昨年、淡路島にオープンしたピクニックガーデン「フロッグスファーム」内にあり、目の前には瀬戸内海が広がる絶景のロケーションの中、食事が楽しめる。寿司をのせる皿や店内アートは現代美術家が担当するなど斬新な取り組みが随所に見られ、まさにリゾートの回転寿司店といった風情だ。

こちらは地元の水産会社との共同事業で、淡路の水産物をふんだんに味わえるが、中でも淡路のたこは姿焼きやタコせんべいなどの名物もあるくらいに有名で、急流で揉まれ身が引きしまった味が評価されている。噛み締めるほどに旨味を感じる一皿だ。

淡路の鱧漁は一匹ずつ丁寧に釣り上げることから「べっびん鱧」「黄金鱧」などと呼ばれるほど質が高いことで知られている。京都の料亭などで高級とされるのは淡路の鱧である。
その鱧に飾り包丁を入れ絶妙に炙ったのがこちら。旬を迎える夏には是非、食べていただきたい。

淡路島の数種の魚介をたたいて作ったなめろうは淡路の旨味がたっぷり味わえると評判。もともとは船上で漁師さんたちが食べていたという料理なので、鮮度が良ければ良いほど味わいも違うはずだ。浜直の魚が味わえるこの店ならではの寿司である。
店名の「悦三郎」とは100年以上前に地元の網元として漁業を営んでいた運営水産会社の先祖の方の名前と聞いた。「おいしい魚を食べてお客様に喜んでもらいたい」といういまも変わらぬ思いを引き継いで誕生した店は、ロケーションやインテリア、豊富な地元の食材を使った料理など、わざわざ行きたくなる回転寿司店へと昇華した。
5. 宇和島直送の鮮魚が自慢!「すしえもん」
愛媛県に本店を持つ「すしえもん」。宇和島の水産会社が経営しており、毎朝水揚げされた鮮魚を競り落とし、高級寿司店などに配送しているが、その魚と同レベルのものがこちらでも味わえる。
さらに愛媛と言えば、いま養殖魚のレベルの高さで回転寿司業界では注目の地。いかに鮮度の良いまま提供できるかを考えて、配送から調理にまでこだわった取り組みが人気の秘密だろう。

この春のイチ推しは「至福の4貫盛り」。のどぐろ、本鮪中トロ、うに、天使の海老という極上ネタの組み合わせ。値段は張るものの、一貫一貫に込めた思いを感じることができる。

宇和島が誇る伊達真鯛を使った3貫盛り。生、炙り、軍艦の3貫だが、中でも宇和島の鯛めしを表現した創作軍艦の出来栄えが素晴らしい。うずらのまろやかさと出汁が利いた鯛めしが相まって、濃厚な味わいが口いっぱいに広がるのだ。これはこの店でしか味わえない至高の寿司と言ってもよい。

もうひとつ「すしえもん」の隠れ名物が肉寿司。系列で国産牛を取り扱っており、肉専属のバイヤーが買い付けを行なっているのだ。肉寿司はどんどんと回転寿司に広がってきているが、やはりおいしい肉を使ったものはとことんおいしいのだと気付かされる。いまひとつ、肉寿司の良さがわからなかった人には是非食べていただきたい。
魚の鮮度の良さは折り紙付き。本店のオーナーが元プロ野球選手とあって野球愛にも満ちている回転寿司店である。
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文・写真:米川伸生