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まるでパイのようなサクサク食感のデニッシュ

パンではなく、パイのようにしたかったという「デニッシュフレーズ」。見た目でもザクザクという音が聞こえそうなほど見事に重なった層。イチゴに合わせているのは生クリームではなく、パティスリーで使われるバニラガナッシュ。ホワイトチョコレートと生クリームを合わせたバニラが香るクリームだ。
「このパンには『ブーランジェリーエスイガラシ』でやりたかったことが詰まっています」と五十嵐シェフ。生のフルーツや野菜を使ったパンを作ること。そして、専門学校でパンを教える傍ら学んだパティスリーの技を取り入れたパン作りだ。

サクサク崩れる生地とミルキーな甘さのクリームにうっとり。この甘い満足感は極上のスイーツを食べた時のようだ。
軽快な食べ心地がクセになるハード系パン

ハード系パンが苦手な人にもぜひ食べてもらいたいのが「ピスターシュ・ル・ミエル」。同店のハード系パンはしっかり焼き目があるが、外皮が薄くパリッと軽快な食感で、内側はしっとりしていながら、モッチリと重くない。シェフが好きだというピスタチオはゴロゴロの粒と粉末のダブル使いだ。

福岡時代から作っているパンだが、ハチミツをオレンジの風味のブルターニュ産に変えるなど、バージョンアップしている。今後、季節によってハチミツは変えるのだそう。ピスタチオの香ばしさに小麦の甘さ。そして寄り添うようなハチミツの甘みのバランスが絶妙だ。

五十嵐シェフ自身がこんな高加水パンを食べたかったという「パン・オ・ノア」。高加水ならではのモチモチ感がありつつも歯切れの良さをめざした。
水分量の絶妙なバランスを整えるのはクルミ。クルミが水分を吸うことで、食べ心地が重くなりすぎないのだとか。何より、カリカリのクルミとしっとり生地とのコントラストが楽しいパンだ。
たっぷり具材がスタンダード! 食べ応えがあるサンドイッチ

これから種類を増やしていきたいというサンドイッチ。「熟成ハムと発酵バター」は、バターとハムのサンドが作りたくて、出会ったハムが主役のサンドイッチ。山口県で豚の飼育から加工まで行っている農場で作られたモモ肉のハムは、柔らかく肉の旨みが濃い。
この極上ハムに負けないように、小麦の味わいが濃いパンと、パンチの利いた味わいのバターを合わせている。単体で食べても十分においしいものが重なり合わさった、シンプルでありながら、食べ応えのあるサンドイッチだ。
自家焙煎コーヒーもおすすめ

パンのみならずコーヒーの焙煎についても学んだという五十嵐シェフ。自家焙煎したシングルオリジンのコーヒーは、焙煎しすぎず、酸味や甘味といった味わいと香りが生きて、スッキリした飲み口だ。スタンプカードにスタンプをためると、コーヒー一杯無料というサービスを行っている。こちらもぜひ試してほしい。
東京のパンワールドを楽しくしてくれるベーカリー

もっと自由に、もっとフィールドを広げてパンを作ろうと東京進出を決めた五十嵐シェフ。今はハード系が多いが、デニッシュ系やサンドイッチも充実させていきたいのだとか。
今は第一歩を踏み出したばかり。「ブーランジェリーエスイガラシ」の完成形はまだまだ先だと五十嵐シェフは語る。これから登場する新しいパンのおいしさにワクワクさせられるベーカリーだ。