写真:かっしーさん

〈食べログ3.5以下のうまい店〉

「おいしい店は食べログ3.5以上」なんて言う人もいるが、それは東京や大都市の話。

口コミ数が比較的少ない地方都市では、「本当はおいしいのに点数は3.5に満たない」ことも十分あり得る。

そこで、グルメなあの人にお願いして、まだまだ知られていないとっておきの「3.5以下のうまい店」を紹介する本企画。今回は、沖縄トラベルを運営するかっしーさんに聞いた「鶏そば屋いしぐふー」。休日のランチタイムとなれば、大きな駐車場も満車が続くほど人気を博する、さっぱり沖縄そばを紹介。

教えてくれる人

かっしー

埼玉県川口市出身。沖縄の暖かい気候と独自の食文化に魅せられて、2019年に沖縄へ移住。沖縄の魅力を発信するウェブメディア「沖縄トラベル」を運営している。おいしいごはんとビールに目がない。安くてうまい店を探すために、沖縄各地を食べ歩いている。

県内ここだけ、いしぐふーグループでも珍しい『鶏』の店

県内でも知名度・実力ともにトップクラスの沖縄そば店「いしぐふー」。実は8店舗中の5店舗が独立店で、独自のメニュー展開が話題となっている。全店共通で食べられる名品「餃子」は、モチモチで厚めの皮が口の中でフワフワとろける独特食感。ここ港川店では他店にない「焼餃子」も選べるそう。この餃子はある雑誌の企画で「餃子女子が選んだ全国5大餃子」に選出されており、すでにただの沖縄そば店ではないポテンシャルを感じる。また店内を支配する鶏出汁の良い香りに落ち着きを覚えると、食べ終わってもすぐには席を立ちたくなくなるはずだ。

食べログでの点数は3.35だが、県内外に非常に多くのファンを持つ「鶏の沖縄そば」について、店主の稲福さんに話を聞いた。

※点数は2021年12月時点のものです。

常連さんは贔屓します! 特注マイ箸を手に入れろ!

店内はカウンターと奥にテーブル席、常連さん専用の秘密の小部屋もある

店に入ってまず目に入るのが、壁一面を真っ赤に彩る箸袋。全てに丁寧な刺繍が施され持ち主と思われる名前が書かれている。元は別店舗オープンの時、お客様に喜んでもらえるようにと考えられた案の一つで完全非売品。お店に10回通った方にプレゼントされるもので、何度も顔を見て名前を呼べるくらいの仲になった証なのだとか。

名前が刺繍された箸袋、中には誰もが知る有名人の名前も

回数はスタンプカードで管理されており、県外から旅行の度に通う人もいるそう。店舗のある港川外人住宅街は、ここ数年で急成長した沖縄の新観光名所。平屋のレトロな外人住宅を雑貨店やレストラン、カフェ、スイーツ店にした街は、観光サイトなどで紹介され、若い女性を中心に注目されている。

 

かっしーさん

初めて知ったのは、仕事で「港川外人住宅」を訪問した時。偶然お店の前を通りかかったのがきっかけです。おしゃれなセレクトショップやかわいらしいカフェが多い中、「初代沖縄そば王 いしぐふー」の看板は一際目立っていました。沖縄そば屋らしからぬ外観に興味をひかれた私は、その日は食事する時間がなかったため、後日いしぐふーへ行くことにしました。

調理は全て店主の稲福さん。一人大きな鍋を見ながら走り回る

昔から地元密着でやってきたつもりが、立地的に観光客が押し寄せ名前が有名になっていくと、ランチ時間は並んでもなかなか入店できず、一気に地元客の足は遠のいた。そんな観光地になったからこそ、緊急事態宣言下では多大な影響を受けたと店主の稲福さんは教えてくれた。

店主の稲福さん

実は元バンドマンの店主。その人脈や長年通う常連の声かけもあり、この機会に地元の客足が戻り、現在は8割が県内の人になったそう。そんな県内外に多くのファンを持つ沖縄そばの秘密に迫ってみようと思う。