シンプルながら出汁の旨みが広がるロール白菜
続いて出てきた「ロール白菜」は、ロールキャベツの白菜版だ。透き通った黄金色のスープも美しく、ほのかな出汁の香りが食欲をそそる。食べ応えのありそうなボリューム感もうれしくなる。
藤川満さん
昆布だしの旨み、白菜の甘みが実に上品なハーモニーとなって広がる一品。豚挽き肉と玉ネギのバランスも良く、ほっこり優しい味わいです。刺激が欲しいなら横に添えられた柚子コショウを付けて下さい。
「ロール白菜には、加西市の酒蔵・富久錦の『純青』生酛純米吟醸おりがらみをどうぞ。お米の旨みが出汁の風味と合いますよ」と水上さん。「あなたが日本酒を好きになるきっかけになりたい」というキャッチフレーズの「純青」だけに、飲みやすさはピカイチだ。そしてキュートな水上さんにすすめられると、ついつい杯を空けてしまう。
熟成酒に合うアップデートしたハンバーグ
すすめ上手な水上さんの意のままとなり、次から次へと兵庫酒を利けば、徐々に酔いも回ってきた。ここで少し趣を変え、熟成酒へとシフトチェンジしよう。「それならハンバーグに合わせて、灘の大手蔵「剣菱」と朝来市の田治米合名会社「竹泉」がコラボして醸した熟成酒「白田」を燗酒でどうぞ!」と水上さん。
藤川満さん
ハンバーグの赤ワインソースには、カルダモン、シナモンなどのスパイスが利いて、思いの外刺激的。しっかりとした肉感がありながら、豆腐を加えてヘルシーに仕上がっています。このハンバーグはコロナ禍での休業中に、研究を重ねバージョンアップしたそうです。
熟成酒独特のどっしりと味わいと、燗することで際立つ蜜のようなほのかな甘さがハンバーグの赤ワインソースに合い、また一杯と酒が進む。料理と日本酒の見事な調和が展開していくのはさすがだ。そんな様子を見て、水上さんがさらに追い打ちを掛けるように日本酒を取り出してきた。
デザートにもアテにもなる渾身のチーズケーキ
取り出したのは、宍粟市の山陽盃酒造『播州一献』山廃純米愛山。山廃ならでの酸味と酒米・愛山の芳醇な風味が特徴だ。そこでこれに合わす締めとしてオーダーしたのが「ちいさなチーズケーキ」。「お酒のアテにもなるように7回くらい改良を加えました」と胸を張る水上さん。
藤川満さん
クリームチーズ、オレンジのリキュール、生クリームなどで作ったこのチーズケーキは、ねっとりとした食感とチーズの力強い味わいがヤミツキになります。山廃の燗酒にぴったりです。
愛らしくもあり、その一方でどこか芯の強さも感じさせる水上さん。そのキャラクターで、既に多くの人を虜にしているとか。水上さんの手のひらの上で転がされるのを楽しみつつ、自慢の料理と兵庫酒を堪能したい。もちろん女性一人でも安心して通えるお店だ。