目次
食通が選んだ今月のおいしい料理
新型コロナウイルスの流行により苦戦を強いられていた飲食店は、少しずつ元の活気を取り戻し始めています。私たちも我慢の連続から少し解放され、おいしいものを食べて明日への活力に、そして、飲食店をより盛り上げていきたいですね。
そこで、グルメ情報に精通している方々に、今月いちばんおいしかったお店や料理についてアンケートを実施。「今月の一皿」「2,000円以下のお手軽グルメ」について教えていただきました。
今回は、食べロググルメ著名人の大木淳夫さんにお答えいただきます。
教えてくれる人
大木淳夫
「東京最高のレストラン」編集長
1965年東京生まれ。ぴあ株式会社入社後、日本初のプロによる唯一の実名評価本「東京最高のレストラン」編集長を2001年の創刊より20年に渡り務めている。その他の編集作品に「堀江貴文 VS.外食の革命的経営者」（堀江貴文）、「新時代の江戸前鮨がわかる本」（早川光）、「にっぽん氷の図鑑」（原田泉）、「東京とんかつ会議」（山本益博、マッキー牧元、河田剛）、「一食入魂」（小山薫堂）、「いまどき真っ当な料理店」（田中康夫）など。
好きなジャンルは寿司とフレンチ。現在は、食べログ「グルメ著名人」としても活動中。2018年1月に発足した「日本ガストロノミー協会」理事も務める。
今月のベストワン
Q. 今月行ったお店の中で〈一番おいしかった食べ物〉を教えてください
A. 「エスキス」の紡ぐ 烏賊、みかん、イクラです
2021年に最も話題を呼んだフレンチは、ダニエル・カルバートシェフの「セザン」でしたが、食通の間でよく枕言葉として使われたのが“エスキスのリオネルシェフ以来の逸材”でした。それほどリオネル・ベカシェフの日本の食材を生かしたフレンチは際立っています。私はそもそも寿司好きで、中でも新イカの握りが持つ、はかなさと甘みが好きなのですが、このコウイカはまさにそんな美味に溢れていました。みかんに加え、土佐酢のソースでマリネした大根、ハーブが絶妙に素材のポテンシャルを引き出します。なによりこの一皿の美しいこと！ 総支配人である若林英司ソムリエとの最強タッグは、年を追うごとに研ぎ澄まされています。東京のフレンチを語る上で、決して外すことのできない名店と言えるでしょう。
2,000円以下のお手頃グルメ
Q. 今月食べた中でおすすめしたい、2,000円以下のグルメを教えてください
A. 「だるまや」のたかなそば（950円）です
「だるまや」さんは、表参道の路地裏になんと1975年から続く、いわゆる和風中華のお店です。多くのグルマンに多大なる影響を与えた作家・田中康夫氏をはじめ、様々な文化人や著名人に愛されてきました。数多の出店要請を断り、この地で家庭的なサービスを続けながら、良質でボリューム十分の品々を提供する姿勢が地元民にも支持される理由でしょう。こちらの和風ラーメンは麺と具が別皿で出てくるのが特徴ですが、中でも一押しがこのたかなそば。もやし、ピーマン、タケノコ、豚肉といった具を高菜の酸味と辛みでまとめあげた逸品です。具、麺、スープをそれぞれ楽しみ、その後おもむろに具をラーメンに加えていただきます。まずビールと具を、そして締めにラーメンというのも最高でしょう。
※価格は税込。
