セルフ炭焼きで甘みMAX「生ほっき貝の自家製一夜干し」
七厘をカウンターに据えて客が焼くスタイルの炭焼きメニューも多彩だ。まずはブロックで仕入れて部位に切り分けるA5ランクの黒毛和牛と新鮮なモツ。トッピングはワサビ、山ワサビ、生レモン、そしてこの肉のために用意されたトリュフソース。野菜は春の北海道産アスパラや、佐藤さんが「あれば超ラッキー」というジャンボ椎茸など。海鮮も豊富で、佐藤さん好みの一品は「北海道産 生ほっき貝の自家製一夜干し」だ。
ご主人が持ち出した一夜干しのホッキ貝は、生でこのくらいじゃない?干して小さくなってこれなの?と戸惑うビッグサイズ。「とにかく一番大粒のがあればもってきてと魚屋さんにお願いしています(笑)」という、北海道らしい豪快さ。ホッキ貝はヒモや貝柱のうまみが格別。お酒がすすむこと請け合いだ。
佐藤潮さん
旨味が凝縮されたホッキ貝を、七厘でさっと炙って香ばしくいただけます。ぜひ熱燗と一緒に。冬場行ったときのスタートはこれですね。
香りでノックアウト!「タラバと海老の土瓶蒸し」
「本日のおまかせ」で、1ページにギュッと詰め込まれたラインアップが圧巻だった「本日のおすすめ品」。同じページにスター選手的なメニューがまだまだある。その一つが「タラバと海老の土瓶蒸し」。綺麗なだしと鮮度のいい素材が相まった贅沢な味は、日本料理の厳しい修業を経てきたご主人の面目躍如の一品だ。
佐藤潮さん
カニ、エビ、ハッカクなど、とにかく具だくさん。蓋を開けば店中にカニの香りが広がって……もうたまりません! 土瓶の中の上品な和風だしに具材の旨味が段々と加わり、具材にもだしが染みて食べ進めるほどに渾然一体。純米酒のぬる燗を片手に、複雑な味わいの変化を楽しむのが最高に幸せ。
実は、このお店を“発見”したのは佐藤さんのお姉さん。店の外に並ぶ銘酒の空き瓶を見て「炭焼きと日本酒なんて最高!」と入ってみたのが出合いで、すぐに佐藤さんもファンになったそうだ。出合いを引き寄せた酒の品揃えは、注目度急上昇中の北海道の酒から新潟出身の奥さんが選ぶ全国の銘酒、北海道のウイスキーまでこまめに選んでは仕入れる豊富さ。
これだけでも幾度も通いたくなってしまう。 「一人でちょっと贅沢したいときや、こんな隠れ家あるんだぜ、とドヤ顔したいとき(笑)など、少人数でじっくり楽しんでほしい一軒」と佐藤さんが言う通り、酒と料理に心ゆくまで向き合える店だ。
※価格はすべて税込