世界でも類を見ない“ワインカクテル”を、見事に料理とペアリングさせるという、新たな挑戦を軽々とやってのけた、後閑信吾氏の新店「swrl.」は、わくわくするような仕掛けに満ちている。
最強の三人がタッグを組んだ
後閑氏といえば、渋谷の「The SG Club」をはじめ、日本、上海で数店舗のバーを運営するなど、アジアのバーシーンを牽引し続ける一人。また、「世界のベストバー50」でThe SG Clubが10位と、日本最高位を獲得するなど、名実ともにトップバーテンダーとして知られる。
まったく新しいその試みを実現させるために、後閑氏は、ニューヨーク時代から15年来の友人であるシェフの米澤文雄氏と、イベントなどで一緒になって意気投合したという、ソムリエの大越基裕氏に声をかけた。
米澤氏は、NYの三つ星店「ジャン・ジョルジュ」で研鑽を積んだのち、日本店で料理長を務め、現在は「The Burn」で、肉のスペシャリストとして、またビーガンの専門家としても腕をふるう。
大越氏は、フランスで栽培・醸造を学んだのち、「銀座レカン」のソムリエを経て、独立。ロジカルで正確なペアリングには定評があり、トップソムリエとして、さまざまな活動を続けている。「この企画を実現するためには、二人の力が必要だと思いました。声を掛けると二人とも快諾してくれて、この難しいチャレンジをとても楽しんでくれました」とも。こうして、新しい冒険ともいえるプロジェクトが始動した。
ブルックリンを意識した内装
店内は、ブルックリンがテーマで、古い建物をそのままリノベしたような、ざっくりしたヴィンテージ感がなんとも居心地がいい。店内の中央に大きくとったバーカウンタースペースは、店の象徴だ。
入り口からすぐの場所にスタイリッシュな「手洗いスペース」が用意されているのも今の時代らしい。タコスやオイスターなど手で食べる料理が多いので、来店時だけではなく帰りがけに手を洗えるのもうれしい。
モダンで繊細な料理とペアリング
料理は、ブルックリンのライフスタイルに合わせて、米澤氏が監修。彼が得意とするラテンアメリカ料理をベースに、米澤氏ならではのエッセンスが散りばめられた、モダンで繊細な仕上がりになっている。
肉と魚をたっぷりのスパイスやハーブでマリネしたタコス。直火で豪快に焼いた牛肉のアサードにはハラペーニョが付け合わせ。
米澤シェフのシグニチャーディッシュの一つであるローストカリフラワーをさらにスパイシーに仕上げるなど、バリエーションも豊富だ。それらの料理1品ずつに、ぴたりと合うワインカクテルが用意されており、アラカルトはもちろん、ペアリングコースでのオーダーもできる。