〈今夜の自腹飯〉

予算内でおいしいものが食べたい!

食材の高騰などで、外食の価格は年々あがっている。一人30,000円以上の寿司やフレンチもどんどん増えているが、毎月行くのは厳しい。デートや仲間の集まりで「おいしいものを食べたいとき」に使える、ハイコスパなお店とは?

パリ仕込みの本格フレンチのコースを、お手頃価格で提供

白金台駅、目黒駅からそれぞれ徒歩6分。目黒通り沿いにあるビルの2階に店を構える「クロデグルメ」。

2019年11月、白金台にオープンした「クロデグルメ」。店名は、オーナーシェフの川﨑康志さんが渡仏し修業をしていた、パリで人気のネオ・ビストロ「クロデグルメ」から受け継いだものだ。
肩肘張らず気軽に本格フレンチを楽しめる店を目指し、コース料理が6,050円から用意されている。その味はもちろんのこと、ワインを合わせても1万円におさまるコストパフォーマンスのよさで注目を集めている。

こぢんまりとした店内。カウンター2席、テーブル2つの全12席。

ガラス張りのビルに入り、階段を上がった2階に店はある。隠れ家のような雰囲気の店内はオープンキッチンになっており、シェフの調理を身近で感じられるライブ感も魅力だ。シェフは、温かいものは温かく、冷たいものは冷たく、つくり立ての「熱のこもった料理」をゲストに提供したいと考えている。

さまざまな価格帯のコース料理を用意しているが、驚きのコストパフォーマンスを誇るのが、全8品を楽しめる「本日のフレンチフルコース」6,050円。さっそく、その一端を紹介していこう。

旬の食材を贅沢に使った、彩りゆたかな品々

6,050円のコースから「冷製カッペリーニ(鯵、フヌイユ、オレンジ、桜エビ)」。

コースの序盤に供されるのが「冷製カッペリーニ」だ。この日の具材は、鯵、フヌイユ(ウイキョウ)、オレンジ、桜エビ。

鯵とフヌイユとオレンジの組み合わせは、シチリアの定番。そこに素揚げした桜エビの香ばしい食感を加えているところがおもしろい。ソースはシェフがオリジナルで考案したワカメのオイルで、磯の豊かな香りと塩味がすべての具材を見事に調和させている。

見た目も美しい「イタリア産ホワイトアスパラガスとホタルイカの温菜」。

お次の品は「イタリア産ホワイトアスパラガスとホタルイカの温菜」。ニンニクとエシャロットのオイルをまとわせソテーしたホワイトアスパラとホタルイカに、酸味のあるハーブ“レッドソレル”をのせ、最後にグリーンピースをすりつぶして固めたものと軽やかな泡のソースを添えた一皿。

ホワイトアスパラのみずみずしさ、ホタルイカの食感と旨みの詰まった深みのある味わいが、なめらかなソースに包まれて上品に仕上がっている。

パリの人気店から継承した、スペシャリテ「テットドコション」

フランスではポピュラーな「テットドコション」。定番のつけ合わせはジャガイモのピューレだが、生のエノキをシェリー酒ビネガーで和えたサラダを合わせて軽やかに仕上げている。

「テットドコション」は同店のスペシャリテである。“テット”は「頭」、“コション”は「豚」の意味で、フランスではお馴染みの一品。まず、豚の頭の肉を香味野菜などと一緒にじっくりと煮込み、それを筒状にして冷やし固める。そして、厚く輪切りにし高温の油でカリカリに焼き揚げていく。

表面は香ばしくカリカリで、なかはやわらかく、煮込んだ豚の旨みがぎゅっと凝縮されている。軽めの赤ワインなどにぴったりの、最高の酒の肴になる。

「パリの『クロデグルメ』が20年の歴史に幕を下ろすこともあり、店名を継承するにあたってこの『テットドコション』をお客様に提供してほしいとリクエストをいただきました」とシェフの川﨑さん。パリの人気店から引き継いだ本場仕込みのその味は必食だ。