【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#8】「カレと。Men」
90年代後半のラーメンブームにおいて、燻製玉子と窯焼チャーシューで大人気店となった大久保の「竈」というお店をご存じでしょうか? 当時の僕はまだ毎食カレー生活を始める前であり、ごくごく普通のおいしいもの好きという程度だったのですが、そんな僕でも竈は知っていて、食べに行ってとてもおいしかったと満足した記憶があります。その竈のシェフが、今は清澄白河駅近くにあるカレーとラーメンのお店で腕を振るっているのです。その名も「カレと。Men」。
メニューはシンプルにカレーとラーメン。土日限定でナシゴレンもありますが、基本はブラックカレーと、塩か醤油のラーメンにトッピングがつく形です。「フルボディなBLACKカレ。」1,480円は、玉ねぎを焙煎し、13種のスパイスを合わせて作ったオリジナルカレーにミディアムレアな火入れの牛カツがのるという豪華な一皿。
玉ねぎの焙煎感と、辛すぎない辛さでありつつ汗がしっかり出てくるスパイス感は、スリランカカレーと洋食屋の黒カレーの間をいくようなテイストであり、個性あるおいしさとなっています。牛カツがまたとても合います。カレーにも肉が入っているのでトータルでの肉量はかなりのものなのですが、重すぎずにペロっといけてしまうおいしさなのが凄いです。
また、数量限定メニューとして、「カレMen type A」1,080円というカレーラーメンもあります。これに380円でローストビーフをトッピングしていただきました。
ローストビーフもまた良く合います。牛カツにしろローストビーフにしろ、これと合わせた方がより一層カレーのおいしさが引き立つように感じられる組み合わせで、牛肉と相性の良いカレーなのです。同じ黒カレーベースなのですが、ラーメンのスープと合わさることによって不思議とカレーライスで食べるよりもスパイス感が立って感じられました。ラーメン自体がおいしいのは言わずもがな。流石伝説の名店のシェフです。
カレーとラーメンで表情を変える黒カレー。とても興味深いです。シェフに何故カレー作りを始めたのかうかがってみると、「元々ラーメンの食材探しに30年くらい前からアジア各国を回っていたのですが、ラーメンのルートが途切れたその先にカレーの世界が広がっていて、興味がかきたてられて研究を始めたのが最初です」と語ってくれました。何と夢のある話でしょう!
シェフは元々水産商社のサラリーマンだったそうですが、当時の出張先だったアジア諸国の飲食店の厨房で習ったカレーがベースとなっているそうです。それもまた凄い話じゃないですか。それでいて、「カレーに対してこだわっていることはありますか?」と聞けば、「特にこだわりがないということがこだわりでしょうか。強いて言えばラーメンと合うカレーを作るように心がけています」と。カッコイイ!
僕の持論に「本気でおいしいものを作れる人は、何を作ってもおいしい」というものがあるのですが、こちらのカレーはまさにそれ。ラーメンを窮めたシェフだからこそのカレーだと言え、カレーの完成度も当たり前のように高くなっているのは本気でおいしいものを作れる人だからこそですね。カレーとラーメンの二刀流がここまで高いクオリティでできているお店はほかにほとんど見当たりません。
ここ数年で盛り上がっているスパイスラーメンと比べても確固たる個性とレベルの違うおいしさを持っていると思います。思い返してみれば「竈」も香りが味の根幹をなしているようなラーメンでした。だからこそ香りが重要なカレーをここまでのレベルで作ることができるのでしょう。カレーマニアはもちろん、ラーメンマニアにとっても要チェックのお店ですよ!
※価格はすべて税込