【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#7】「オイシイカレー」

カレー激戦区下北沢でも、マニアの間で「ここは凄い」と話題になっていた、店名を持たないお店があります。店舗の中に店舗があるという不思議なスタイルのために見つけ難いことこの上なく、店舗内にある看板に「オイシイカレー」と書いてあることにより通称オイシイカレーと呼ばれ、そのスタイルの個性的な部分のみならず味の良さ、そして個性的な料理の打ち出し方から常連を増やしてきたお店なのですが、2021年4月10日に同じ下北沢エリアに移転オープンしました。

新しいお店はどのような雰囲気なのかと行ってみると、なんと移転前と同じく店舗内に店舗があるような雰囲気がまるで同じ。よくぞこんな場所を見つけたなと感心するくらいに同じ雰囲気なのです。その時点でこのお店がほかとは確実に違うことが分かります。

メニューはカレーライスを中心に、限定の副菜も選べるスタイル。そして移転を機にカレーの多種盛り合わせもお得な形でできるようになりました。

「四種盛り」1,550円は、爽やかに香るスパイスで組み立てられた「鶏出汁チキンカレー」、パンチのあるスパイス感で仕上げた「豚出汁ポークカレー」、インド・ゴア地方の名物料理ビンダルーを中華的にアレンジした「マトンチャイナヴィンダルー」、優しい味わいの「ベジポタコルマ」を一度に味わえるという豪華版。これに「コールスローサラダ」100円も付ければ、気分はもう南インドのミールスです。

カレー「四種盛り」と「コールスローサラダ」

どれも確実に違うベクトルのおいしさなのが流石。万人受けしそうなチキンに豚好きにはたまらないガツンとくるポークはどちらも適度なだし感。そして酸味と辛味と中華感のトライアングルが絶妙なマトン、タケノコと菜の花を使ったコルマ。それぞれ単体で完成したおいしさでありながら、混ぜても面白いんですよ。コールスローはマヨネーズ不使用で爽やかな仕上がりであり、カレーの味を程良くリセットしてくれました。

「キクラゲのアチャール」と「やさしいチェティナードチキン」

ほかに限定カレーもあります。「やさしいチェティナードチキン」1,000円に「キクラゲのアチャール」150円も付けてみました。チェティナードチキンと言えば南インド料理で、鮮烈なスパイス感が印象的なカレーなのですが、「やさしい」とあるように、それをまろやかに仕上げたオリジナル。骨付きチキンのうま味がしっかりとカレーに行き渡っていて、満足度の高いカレーです。キクラゲのアチャールも食感といい辛さといい、カレーに変化を出すのにとても良い仕事をしていました。

カレーや副菜も素晴らしいのですが、卓上の調味料がまた素晴らしいのがこちらのお店の凄いところのひとつ。紅ショウガのチャトニとキュウリのお漬物が卓上にあるのですが、紅ショウガを使ったチャトニはここでしか見たことがありません。そしてそれが実に合うのです。キュウリのお漬物というのも、南インドのウールガイ的な仕上がりであり、この紅ショウガのチャトニ、キュウリのお漬物だけでもご飯が止まらなくなるようなおいしさ。

とにかく随所にセンスを感じ、そしてその個性的なアイディアをしっかりとおいしく仕上げることができる腕の持ち主であるこちらのシェフ。僕は移転する前の前、お店の名前も場所も違っていた頃からのファンなんです。現在コロナ禍で夜の営業が不確定ということもあり、なかなかできないのですが、落ち着いてきたら夜は居酒屋のようにスパイス料理のおつまみでお酒を飲めるお店にしたいということです。それもまた楽しみですね。

下北沢にはカレーの名店が数多くありますが、その中でも際立った個性と可能性に満ち溢れた、今後にも大きな期待ができるお店です。限定メニューでは豚骨ラーメンをカレーにしたとんでもないメニューを出すこともあります。しかもそれがまたおいしいのだから驚きます。近くの方はすぐにでも食べに行ってください。すぐに行けない方はSNSをフォローし、チェックするだけでもとても楽しいのでまずはBM(ブックマーク)しておきましょう!

※価格はすべて税込

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

※本記事は取材日(2021年4月12日)時点の情報をもとに作成しています。

文・写真:カレーおじさん\(^o^)/