【定食王が今日も行く!】
島んちゅも認める銀座「竹富島」のリトル沖縄定食
安室奈美恵から始まった?
1996年創業、沖縄料理ブームのパイオニア
夏になるとつい食べたくなる沖縄料理。今ではコンビニでもゴーヤちゃんぷるがお惣菜として売られているが、東京で沖縄料理店が定着したのはこの10年だ。
1995年の安室奈美恵、1996年SPEEDのデビュー、2001年のテレビドラマ『ちゅらさん』などが火付け役となり、沖縄料理ブームは広がったと言われている。東京では中野から高円寺にかけた中央線沿いと新橋のサラリーマンの飲み屋街を中心に増えていった。2007年に、新丸ビルに沖縄県那覇市の『うりずん』が入店してから、沖縄料理というジャンルが外食のジャンルとして、定番化し定着したと言われる。
1996年に銀座にオープンした『リトル沖縄』は、現在では銀座と横浜に姉妹店を5店舗も展開。今回紹介する『竹富島』はその一つだ。今注目を集めている商業施設「GINZA SIX」の真裏にあり、店内に一歩踏み込むだけで、沖縄気分を味わうことができる、まさに“リトル沖縄”だ。
自社製の麺と豆腐で、
東京の沖縄料理を支えてきた
本格的なうちなー食堂!
「竹富島」のランチは、ゴーヤーちゃんぷるや、タコライスなど、沖縄の郷土料理をメインとした定食が豊富だ。そのメインを一度に味わえる「リトル沖縄定食」は夏に沖縄に行けないサラリーマンにぴったりの贅沢ランチだ。
沖縄の名物が詰まった1汁7菜の豪華定食は、どれから食べようと迷ってしまう。定食には大きくわけて2タイプあり、人気のメインディッシュが主役のものと、食材や小鉢がたくさん食べられるものとある。後者も定食ならではの醍醐味だ。
毎日沖縄本島から直送しているというこだわりのゴーヤを使ったゴーヤちゃんぷるは、独特の苦味とアグー豚の塩気を、玉子と島豆腐がまろやかに包んでいるのがちょうどよく、ホッとする味わいにまとまっている。
そしてこの島豆腐、20年前は空輸していたが、なんと自社工房で作られているという。コストや安定した品質を考慮して2009年から事務所の横に自社工房を建設したそうだ。沖縄県中部にある北谷町のにがりや、豊見城市の塩、佐賀県産の大豆を使った生しぼり製法で、地元産と遜色のない品質を実現し、毎日新鮮な島豆腐を提供している。
そしてしっかりとコシのある硬めの平太麺と、魚やアグー豚で出汁をとったあっさり、でもしっかりコクのあるスープ。このコントラストが抜群にうまい。この麺も2006年から自家製のものを使用し、現在では他の沖縄料理店や一般向けにも販売しているそう。東京の沖縄料理を陰で支える存在でもあるのだ。
アグー豚のもも肉を、醤油や泡盛で甘辛く味付けしたラフテーは、箸で縦に切れるほどやわらかい。ぜひ脂身も含めて、旨味のレイヤーを楽しんでほしい。
また、紅いもコロッケは意外なダークホース。薄く整えられたコロッケだからこそ、そのホクホクが際立ってたまらない。ミミガー、もずく酢、島豆腐のサラダなど、どれもほっこり島んちゅ気分を味わせてくれる。
テーブルには、コーレーグースが常備されているのも、うれしい。ゴーヤーちゃんぷるなどにかけて、味変を楽しみたい。
そして他の店ではなく、この店にまた来店する理由は、このご飯についてくる油味噌(豚味噌)だ。これだけでご飯が一杯いけてしまうほど濃厚で、うまい。甘み、旨味が凝縮され、独特の香りも沖縄気分を高めてくれる。とにかく沖縄の味をぎゅっと詰め込んだ「リトル沖縄定食」。これで1,280円は、銀座の相場を考えてもとてもリーズナブルだ。
週末はもっと豪華に、
夜はたくさんの種類の泡盛と島料理を
週末限定ランチ「沖縄オールスター定食」は、平日に輪をかけて豪華だ。1汁8菜というお盆にはのり切らない量の定食は見るだけで圧倒される。夜はアグー豚のしゃぶしゃぶや、また沖縄県出身のスタッフの演奏する三味線を聴きながら、豊富に揃った泡盛を堪能することもできる。
東京で沖縄料理の発展を支えてきた店だからできる、フルサービスでの沖縄エンターテイメントはGINZA SIXの裏にあり。ビーチや沖縄など南国に行けていない、“沖縄欠乏症”の人にこそオススメの一軒だ。