行列のできる“逆輸入ラーメン”の実態とは
では、大ブレイクした、ボストン発のラーメンをご紹介しましょう。まずはアメリカ産の干し松茸を使ったワンタン麺、その名も「Ramen Formula 1995(干し松茸ワンタン麺)」。
英語名は、大西さんがこの味に出合った年を記しています。つまり干し松茸ワンタン麺をどこかで食べたのが1995年ということ。そこで覚えた味を大西さんのフィルターを通して再構築し、「Tsurumen」でデビューさせるというわけです。
まずはスープをひと口。あれ? ラーメンにしては温度が低い。すると、松茸の風味を生かすため熱々にしないのだと教えてくれました。
スープの色から想像するに、味は濃いのかと思いきや意外にもあっさりめ。しかし、後から鶏のコクをしっかりと感じ、喉元を過ぎたあたりには目を見開くほどの松茸の香りが広がります。
その華やかで芳醇な味わいは、今までに出合ったことがないものでした。聞けば淡海地鶏の鶏油、干し松茸、醤油は和歌山県の「野尻醤油」の2年熟成木桶仕込みを使っているそう。このキリッとした味の深みは、これらのハーモニーから生まれたものなのです。
こちらは、1985年に出合った淡海地鶏の清湯スープをもとにつくった「Ramen Formula 1985(淡海地鶏の清湯ラーメン)」。トッピングがチャーシュー、穂先メンマ、三つ葉とシンプルなだけに、地鶏のうまみがより一層際立っています。
チャーシューは鹿児島県産「霧島高原ロイヤルポーク」を使用。大きくて厚みもあるのですが、何と言ってもやわらかく何枚でもペロリといけそうです。
「Ramen Formula 2017 DoteSoba(大阪名物どてやきの汁なしラーメン)」は前述の2つとはガラッと変わって、ニンニクがガツンと効いた牛すじの味噌煮込みをストレート麺にまとわせています。牛すじもこんにゃくにも味が沁みていて、黄身と混ぜながら食べると箸が止まりません。
それもそのはず。「どてそば」は「鶴麺」の代名詞と言われ、2017年にボストンで開催された「ジャパンフェスティバル」にも出品した特別なもの。メニュー名にフェスの年度をつけたのは、このときに生まれ変わったという意味なのかもしれません。それだけ思いが詰まった味ですから、おいしくないわけがありません。