長く愛されてきた素朴な料理とアイデアを尽くした料理のラインアップ
「bistro amano」の楽しみ方は、その日に食べたいものを好きなように頼めるところにある。今回はフランス南部の郷土料理をメインに据え、シェフが得意とするシャルキュトリーと、福井から取り寄せた魚を使った冷菜でまとめてみた。ひそかにおすすめなのが、シェフが自ら焼くライ麦パン。席代に含まれている上に、何とお代わり自由。表面がパリパリしていて、中はみっちりとしているのに柔らかくソフト。香ばしく味わいがあるのに、食事の邪魔をしない絶妙な存在感は、どの料理にもぴったりだ。
他では味わえない、オリジナルのシャルキュトリー
自家製のシャルキュトリーは、シェフ自身が大好きなアイテムというだけあってバリエーション豊かな品揃え。以前の店で長い間扱ってきた経験をもとに、少しずつ変化を加えて今の形になった。
好きなものを単品で頼むのもいいが、色々試すならお店イチオシの「シャルキュトリーの盛り合わせ」がいいだろう。
その日のおすすめとして盛り合わせられるのは、7~8種類のシャルキュトリー。今回は、「パテドカンパーニュ」「ソーシスジャンボン(豚もも肉の冷製ソーセージ)」「ニンニクとショウガのソーセージ」「ミュゾー(花悠仔豚の頭肉ハム)」「マグレ鴨の生ハム」「豚バラ肉の自家製ベーコン」「ロースハム」の7品が並んだ。どれも肉の扱いに長けたシェフのお手製品である。
中でも「ミュゾー」は特に人気の品。花悠仔豚(かしゅうこぶた)の頭を塩漬けにして、骨ごと煮込み、骨から外して丸めたものをスライスしたもの。豚の頭はゼラチン質のコラーゲンが豊富なのでコクがある。合わせるワインは、赤ワインでも重すぎずすっきりキレイ目のタイプがよいだろう。
料理に合わせるワインを紹介してくれたのは、シェフの奥様、ソムリエールの通子さん。料理と合わせるワインはパンチがききすぎず、優しい味わい。ワイン専用の寒冷室には赤、白、ロゼ、スパークリングなど約80種類、200本以上のストックが控えている。
クラシックなフランス料理に合わせてフランス産ワインが一番多いが、産地にこだわらず豊富な品揃えを誇っている。イタリア産やオーストリア産、日本のワインも含めておいしいと思ったものをいろいろなエリアから取り寄せているという。
またボトルだけでなく、日替わりで楽しめるグラスの提供も多い。1本で通すのもよいが、いろいろな種類を楽しむならグラスやカラフェがおすすめ。
同じ地域の料理とワインは合うのがお決まりなので、ぜひ試してみたい。例えばフランス南西部の郷土料理「カスレ」に合わせるなら、同じ南西地域合わせで「カオール」の赤ワイン。あるいは、ソーセージをはじめとする肉食文化といえばドイツ、という点から発想して、ドイツ産のリースリングの白ワインなどを選ぶのも面白い。
「肉には赤」といった一般的な食材合わせだけではなく、料理のルーツから連想されるエリア合わせでペアリングするのも粋な選び方ではないか。
とはいえ、「あまりこだわらずに飲んでみて、自分の好きな組み合わせを見つけてもらえたら」と通子さん。主役の料理に寄り添ったものがセレクトされているので、気軽に相談してみたい。