香りづけの“皮串”が、最後に魅力あふれる焼鳥に変身!

つくねの後は、「サラダ」「野菜串」と野菜ものが続く。この辺りが、2度目の口直しタイムで、次に登場するのが「皮の自家製醤油焼き」。そう。最初に焼鳥の香りづけに用いた首皮の焼鳥である。なんとびっくり、単なる香りづけ用にあらず、終盤に提供することで皮の脂もほどよく抜け、絶妙なカリカリ具合に仕上がっている。

こうして見ていくと、同店のコースには一連の“ストーリー”がある。焼鳥や一品料理が、それぞれの立ち位置で魅力を発揮する。特に皮は、最初は地味な引き立て役かと思っていたら、最後に「皮の自家製醤油焼き」という魅力の焼鳥に変身。例えるなら、それはまるで「歩」から「と金」へ変わる将棋の駒のよう。何とも奥が深い。

「皮の自家製醤油焼き」は、店でブレンドした醤油で味つけする。“皮”が苦手な人にも好評で、日本酒ともよく合う。

焼鳥店ならではの、たまごかけご飯でフィニッシュ!

「皮の自家製醤油焼き」を提供した際、アラカルトの追加の有無を尋ねられなければ「気まぐれ串」「手羽先(塩)」で焼鳥は終わる。「気まぐれ串」は当日、絶対に食べてほしいおすすめの焼鳥などを提供。「手羽先(塩)」は最初の「ももねぎ(塩)」と並ぶ、同店自慢の商品で、自信があるからこそ焼鳥の締めに提供し、客は心地よい余韻を楽しめる。

そして、「〆もの」「デザート」でフィニッシュ。「〆もの」は、「雲丹スープ茶漬け」「まかない丼(最強ポン酢使用)」「熊のたまごかけご飯」「鳥ュフ飯」の4種から選べる。中でも人気が「熊のたまごかけご飯」。“きんかん”(卵の形になる前の卵黄)が2個のり、その濃厚なおいしさはやみつきになること間違いなし。熊形にカットされた海苔も、実に手が込んでいる。

「熊のたまごかけご飯」には、背中に醤油を背負った、オリジナルキャラクターの「くーま君」のぬいぐるみを添えて提供。「熊のたまごかけご飯」のみ、会員登録がまだの人は+300円に。

肩ひじ張らず、リラックスして楽しめる高級店

会員制システムを導入する完全予約制の焼鳥店というと、少々ハードルの高さを感じるが、同店では肩ひじ張らずに楽しめるよう、様々な“熊”のブランディングを行なっている。コースター、暖簾、卓上の天然水、おみやげの使い捨てカイロから領収書まで、ありとあらゆるところに“隠れキャラ”のごとく「くーま君」が登場。思わず写真に撮ってSNSにアップしたくなる。

コースにアラカルトを追加して、ドリンクを何杯か飲めば、だいたい8,000円から10,000円。そんな高級店なのに、ワクワクが止まらない楽しい仕掛けがいっぱい。多少のハードルの高さなんて、なんのその。「えいっ!」と飛び越えてでも駆けつけたくなる、そんな魅力にあふれた、いま注目の東京初進出の店。それが「熊の焼鳥 中目黒」なのだ。

あんなところや、こんなところにこっそり隠れた「くーま君」を見つけるのも、また楽しい。

【本日のお会計】
■食事
・基本コース 4,800円
・熊のたまごかけご飯 300円(会員登録がまだの人)
■ドリンク
・NANZAN 700円
合計5,800円

※価格はすべて税抜

※本記事は取材日(2021年1月18日)時点の情報をもとに作成しています。
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取材・文:印束義則(grooo)
撮影:玉川博之