今年、最も人気の「くるみパン」を決定するコンテスト「くるみパン・オブ・ザ・イヤー」。記念すべき10周年の開催である2020年は、全国からエントリーされた128のパンが得票数を競い合いました。

イベント詳細:「2020 くるみパン・オブ・ザ・イヤー

栄えあるグランプリに輝いたのは、茨城県結城市にあるベーカリー「ばく to Pan」の「シナモンデニッシュ」。

「シナモンデニッシュ」190円

「コーヒーを片手に、ホッと和むようなおいしいパンを作りたい」という思いから生まれたシナモンデニッシュは、発酵バターとシナモン、そしてくるみの上質な香りの三重奏が評価され、くるみパン好きのハートと胃袋をがっちり掴みました。

12月10日(木)開催の受賞イベントに特別審査員として登場したのは、女優の鈴木保奈美さん。「人生の最後に食べたいくらい、くるみパンが大好き」という、芸能界を代表するくるみパン愛好家です。TV番組で「まだナンバーワンのくるみパンに出合えていない」と発言したのを知ったコンテスト主催側が「では、このイベントで見つけていただきたい」とオファーし、今回の10周年スペシャル企画「鈴木保奈美アワード」が実現しました。

「茶色くて、噛みごたえがあって、くるみがゴロゴロ入っているパン」といったリクエストに合わせ、ノミネートされたのは30種類以上。「ちょっとだけバターをつけて食べるのが好き」という保奈美さんは、わざわざ審査の場に“マイ・バター”としてエシレバターを持参するほどだったそう。厳正なる審査の結果「どれもおいしくて、ナンバーワンが選べず……」とのことで、理想的な味だったトップスリーがアワードに選出されました。

鈴木保奈美アワード・受賞店「ブーランジェリー アモニエ」

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出典:mana_catさん

ひとつ目の受賞パン「黒糖くるみカンパーニュ」を手掛けたのは、東京都文京区「ブーランジェリー アモニエ(BOULANGERIE AMONNIER)」。ハルユタカといった北海道産小麦をベースに、パンによって3種の自家製酵母を使い分けているお店です。その深みのある味わいが評判となり、2019年のオープンながら、早くも連日売り切れが続出するほどの人気を集めています。

「黒糖くるみカンパーニュ」410円

以前、TV番組でTOKIOが保奈美さんに紹介したお店でもあり、今度こそは「ナンバーワンを」と、くるみをサイズアップしてエントリー。パン1個200gのうち、くるみが80gという贅沢さに、保奈美さんも「大満足です!」と絶賛していました。

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出典:KEN21さん

鈴木保奈美アワード・受賞店「ブレッドイットビー」

「もちっとした食感が、とても好みでした」と保奈美さんが褒め称えていたのが「パン・オ・ノア」。「ベーカリー&レストラン 沢村」や「ザ・シティ・ベーカリー」などの人気店を手掛ける森田良太シェフが、2020年に神奈川県鎌倉市で立ち上げた新ブランド「ブレッドイットビー(BREAD IT BE)」のレギュラーメニューです。

「パン・オ・ノア」1g2.4円(一本約2,000円)

くるみを絶妙に引き立てる生地の秘訣は「ドイツから取り寄せた専用の石臼で自家製粉し、加水率を高めていること」であると、授賞式に訪れていた森田シェフが教えてくれました。

鈴木保奈美アワード・受賞店「丘の上のパン屋」

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出典:あんにんpommeさん

いっぽう、保奈美さんが「その、シンプルさに惹かれました」と惚れ込んでいたのは、小麦粉、水、塩だけの生地でくるみのおいしさを活かす「ザ・パン〜胡桃〜」。神奈川県横浜市「丘の上のパン屋」のオーナーシェフ、黒沼敦詞さんが「これぞパンだ!」という思いを込めて焼き上げたものです。

「ザ・パン〜胡桃〜」500円

2年ほど前まで池袋にあるブーランジェリー&ビストロ「ラシーヌ (RACINES)」のシェフブーランジェとして活躍されていた黒沼さん。最寄り駅から徒歩30分以上という、横浜の郊外にご自身のお店を構えてからも、東京から足繁く通うファンが多い実力派の人気シェフです。

鈴木保奈美アワード・特別賞受賞店「バックシュトゥーベ ツオップ」

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出典:かなやさん

最後に、保奈美さんの理想とするくるみパンとは異なっていたものの、別枠である特別賞を設けてまで称賛したパンがありました。それは300種類というバリエーション豊かなパンが並ぶ千葉県松戸市の名店「バックシュトゥーベ ツオップ (Backstube Zopf)」の定番商品「ロイヒャー」です。

「ロイヒャー」345円

くるみを茹で本来の風味を活かしていることもさることながら「燻製のチーズがおいしすぎて……」と、くるみ以外の要素にも魅せられている様子でした。

会場では「非常に楽しい経験でした!」と、終始満足げな表情を浮かべていた保奈美さん。今回もナンバーワンのくるみパンを決定することはできませんでしたが、きっとその出合い以上のステキなひととき、くるみパン好きにとって夢のようなイベントとなったことでしょう。

※本記事は取材日(2020年12月10日)時点の情報をもとに作成しています。

取材・文:佐藤潮

撮影: 2020 くるみパン オブ・ザ・イヤー