〈食通が占う、2021流行る店〉

新型コロナウイルスの流行により、飲食店にとっては大きな危機が訪れた2020年が終わりました。油断のできない状況は続きますが、各店が工夫を凝らし、おいしいものを届けようと努力しています。

そこで、グルメ情報を熟知した有識者に、2021年期待したいお店や料理についてアンケートを実施。

今回は、食べロググルメ著名人の浜田岳文さんにお答えいただきました。今年注目の「ブレイクしそうな店」「2,000円以下のお手軽グルメ」をご紹介します。

教えてくれる人

浜田岳文
1974年兵庫県宝塚市生まれ。米国・イェール大学卒業(政治学専攻)。大学在学中、学生寮のまずい食事から逃れるため、ニューヨークを中心に食べ歩きを開始。卒業後、本格的に美食を追求するためフランス・パリに留学。外資系投資銀行と投資ファンドにてM&A・資金調達業務とプライベート・エクイティ投資に約10年間携わった後、約2年間の世界一周の旅へ。帰国後、資産管理会社(ファミリー・オフィス)社長を経て株式会社アクセス・オール・エリアを設立、代表取締役に就任。南極から北朝鮮まで、世界約120カ国・地域を踏破。

2021年ブレイクしそうな飲食店

Q. 2021年にブレイクしそうな飲食店は、ずばりどこですか?

A. 「ベイジャ・フロール」です

「安曇野放牧豚 もんじゃ焼き」(茹でた豚の頭、ザワークラウト、オキアミのロースト、ミニ胡瓜のピクルス、チリペッパー、ディルの花などを使用) 撮影:浜田岳文

昨今、日本の西洋料理では、確実においしいであろう食材に最小限の手を掛けてシンプルに仕上げる方向性が人気となっているように思います。でも、この店が挑戦しているのは、ある意味真逆の方向性。異なる食材や調味料の風味を重ねる、構築的な料理です。

一筋縄ではいかない意外性のある皿が続きますが、異なる食文化を横断的に取り入れつつ、食材の個性を理解した上で合理的に構成されています。食べても違和感がなく、思いつきの付け焼き刃でないことは明らかです。

昼はスパイス料理という異なる業態で営業していて、そちらも要注目ですが、コースでいただけるのは今のところディナーのみ。札幌にある小規模なお店なのでまだ噂になり始めている段階ですが、2021年、本格的に注目を集めそうな一軒です。

アンダー2,000円のお手軽グルメ

Q. 2021年にブレイクしそうな、2,000円以内のグルメを教えてください

A. 沖縄で食べられる、本格アメリカンサンドイッチです

具体的には、「ファイブ・スター・デリ」の「ザ・ルーベン」(税抜955円)と「ザ ブロス サンドイッチ スタンド」の「ブロスBLTサンド」(税抜760円)をおすすめします。

自家製パストラミビーフをサンドした「ファイブ・スター・デリ」の「ザ・ルーベン」 撮影:浜田岳文

日本でサンドイッチというと、洋食屋さんのたまごサンドやフルーツサンドに代表されるように、日本人の好みに合わせて独自に発展したものが主だと思います。反面、欧米で王道のサンドイッチを日本で食べようとすると、選択肢がほとんどないのが現状です。

厚切りベーコンが入った、「ザ ブロス サンドイッチ スタンド」の「ブロスBLTサンド」 撮影:浜田岳文

そんな中、この2軒はアメリカ人を中心とした西洋人が多く居住する沖縄にあり、本場のサンドイッチ文化を知るお客さんに支持されています。

日本人の味覚に寄せるのではなく、王道なレシピを継承しながら良い食材をシンプルかつ大胆に盛り込む。本格的なだけでなく、日本人がこだわりを持って丁寧に作っている分だけ欧米やオーストラリアの人気店にも負けない、というと贔屓になるかもしれませんが、外国人の友達にも薦めたくなる素晴らしい出来です。

日本人好みのおいしいサンドイッチの店は既に日本中にあるので、パストラミやBLTなど王道を行くおいしいサンドイッチが広まって欲しいと思っています。

※アンケート内容と「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しています。最新の情報はお店にご確認ください。
※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。
※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

文:浜田岳文・食べログマガジン編集部