今年も気づけば年末。クリスマス菓子の販売も本格化し、デパ地下などではクリスマス向けのスイーツが出揃いました。毎年悩む人も多いであろうクリスマスケーキですが、今年はどのような商品に注目すればよいのやら……。

そこで、2020年を締めくくるのにぴったりなクリスマススイーツについて、「猫井登のスイーツ探訪」でお馴染みの猫井先生に直撃! 今回お送りする前編では、今年注目のクリスマスケーキや、この時季の手土産に最適なスイーツを紹介します。

どれを選ぶ? 2020年のクリスマススイーツのトレンドは“特別感・少人数・旅行気分”がキーワード!

昨年は、2019年4月30日に平成の時代が幕を閉じ、令和になって初めてのクリスマスということもあって華やかなムードに包まれた。打って変わって今年は、3月頃からコロナ禍に見舞われ、クリスマスの過ごし方も大きく変化することが予想される。そんな2020年のクリスマスの過ごし方のトレンドとしては、以下のような動きが考えられるのではないだろうか。

  1. 外食などのイベントに代わるような、特別感のあるスイーツを用意する
  2. 家族や親しい友人など、少人数で祝う
  3. オンラインでのパーティー開催や、プレゼントのみを贈り合う
  4. 海外のクリスマススイーツで、海外旅行気分を楽しむ

というわけで、これらのトレンドに沿ったクリスマス向けのスイーツを紹介していきたいと思う。まずは、イベントなどに代わる、特別感のあるちょっと贅沢なクリスマスケーキからご紹介!

【1】ホリデーシーズンならではの特別感を味わいたい人へ「ル・ショコラ・アラン・デュカス」のビュッシュ・ド・ノエル

2013年2月、パリのバスティーユに誕生したショコラ工房「ル・ショコラ・アラン・デュカス」。2018年3月には、外国初出店となる東京工房を日本橋にオープン。現在は、日本橋東京工房、六本木ヒルズ、渋谷スクランブルスクエア、日本橋高島屋、大阪大丸心斎橋、羽田空港に店舗を構える。

「ビュッシュ・ド・ノエル」8,000円(税抜)/撮影:Yusuke Kagayama

そんなル・ショコラ・アラン・デュカスの今年のクリスマスケーキは、ブランドのイニシャルの“a”と“d”をデザインに使った「ビュッシュ・ド・ノエル」。

撮影:Yusuke Kagayama

中身は、キルシュ(さくらんぼ酒)が香るバニラのクリーム、グリオット(さくらんぼ)の砂糖漬け、グリオットのマーマレード。これらをチョコレートのスポンジで挟み、全体はチョコレートにグリオットを合わせたムースで包み込んでいる。エグゼクティブ・シェフのジュリアン・キンツラー氏の故郷、フランス・アルザス地方の定番菓子「フォレ・ノワール」をイメージしているという。口に含むと、とろけ、ジャワ産カカオが、ふわりと香る逸品だ。

次は、お子様を含めたご家族など、身近な顔ぶれ、少人数で楽しめるクリスマスケーキをご紹介!

【2】大きさが選べるホールケーキなら少人数でも楽しめる! 「HIBIKA」の雪いちご ーノエル・フレーズー小物ケーキ

四季菓子の店「HIBIKA」(ひびか)は、新しい“にっぽんの洋菓子”をコンセプトに、2017年に誕生したブランド。春夏秋冬、日本の四季の移ろいに合わせた洋菓子を提供したいとの思いから、すべての商品が季節限定となっている。HIBIKAからは今年、数種類のクリスマスケーキが発表されているが、今回は不動の人気を誇る苺を使ったケーキと可愛い小物ケーキをご紹介!

「雪いちご ーノエル・フレーズー」

「雪いちご ーノエル・フレーズー」は、きめ細かなスポンジに、コクのある北海道産生クリームとみずみずしく甘酸っぱい苺を挟み、苺、生クリームで美しくデコレーションしたクリスマスケーキ。大きさも3種類用意されているので、家族の人数やニーズに合わせて選べるのもうれしい。

写真左から、(1)「聖夜の贈りもの」、(2)「サンタの帽子」、(3)「鈴の歌」、(4)「もみの雪」、(5)「冬の夜」、(6)「冬ごもり」

今回ご紹介するクリスマス限定の「小物ケーキ」は、6種類。(1)「聖夜の贈りもの」ショコラアーモンドスポンジに、ショコラムース、ホワイトチョコレートムース、チェリーコンフィチュールを重ね、リボン状のチョコをトッピング。キルシュが香る大人のチョコレートケーキ。(2)「サンタの帽子」しっとりとしたアーモンド生地に、ピスタチオのクレームブリュレを包んだホワイトチョコレートのムースをのせ、可愛くデコレーション。(3)「鈴の歌」ジャンドゥーヤガナッシュと、ほどよい酸味の果肉入りアプリコットジャムをコクのあるキャラメルムースで包み込んだケーキ。

(4)「もみの雪」ショコラムースとアールグレイで香り付けしたラムレーズンに、ピスタチオクリームを絞ったクリスマスツリー形ケーキ。(5)「冬の夜」香ばしいサブレの上にフランボワーズムースをホワイトチョコレートムースで包み込んだものをのせ、クリスマスオーナメント形に仕上げたもの。(6)「冬ごもり」芳醇な香りと深い味わいが特徴のチョコレート「マラカイボ」を使用。3層のショコラムースが溶け合い、プラリネの豊かな風味が広がるケーキ。

※価格はすべて税込

最後は、この時季の手土産やプレゼントとして最適なスイーツをご紹介!

【3】クリスマスギフトに最適! 知る人ぞ知るロングセラー商品「デメル」の生クッキー

デメルの歴史は、1786年、王侯貴族専属の菓子職人ルートヴィッヒ・デーネ氏がウィーンの王宮劇場舞台側入り口の前に店を開いたことに始まる。1799年にはウィーン王宮御用達菓子司に指定される。オーストリアでは現在皇室はないものの、今でも当時の称号を使用することが認められている。

ロゴに記されている「K.u.K.HOFZUCKERBÄCKER」は、“宮廷御用達の菓子店”という意味を持っている。オーストリア皇帝フランツ・ヨーゼフは、ことのほかデメルのお菓子を愛し、クリスマスには直々にプレゼント用のお菓子を注文したとの逸話も残っている。

今回ご紹介するのは、「生クッキー」! 実はこちら、デメルが日本に出店した1988年当時からのロングセラー商品だが、生産数が限定されており、デパートの店舗でも週1日程度しか入荷しないので、一般的にはあまり知られていない逸品。

生クッキーは、一般的な硬めのクッキーとは異なり、しっとりとしたクッキー生地にチョコレートクリームやマジパン(アーモンドをすり潰して、砂糖を加えたもの)を組み合わせた、セミドライケーキのようなもの。ウィーンにある本店のレシピを忠実に再現しているため高度な技術が必要で、製造できる職人は数名しかいないといわれる。

「生クッキー」(特製パッケージ)3,240円(税込)

(1)「ティオプラティン」ラズベリー風味のマジパンにスウィートチョコレートの上掛け。土台はさっくりとしたクッキー。(2)「ミューブピスターチ」ピスタチオ風味のマジパンを柔らかなクッキーでサンド、スウィートチョコレートを上掛け。(3)「ピッシンガー」ヘーゼルナッツプラリネにミルクチョコレートを上掛け。土台はさっくりしたココアクッキー。(4)「サンドトリュッフル」少しほろ苦いチョコレートクリームにビターチョコレートを上掛け。土台はさっくりとした厚焼きクッキー。(5)「ヒンビアーシュッセアルン」クッキーの土台にヘーゼルナッツプラリネを絞り、中にはラズベリージャムを。

写真左奥から時計回りに、(1)「ティオプラティン」(2)「ミューブピスターチ」(3)「ピッシンガー」(4)「サンドトリュッフル」(5)「ヒンビアーシュッセアルン」(6)「ハーゼルヌッストルッフェン」(7)「ビッセン」(8)「チェリーシュッセアルン」(9)「マンデルピッツェン」(10)「フサーレンクラッフェン」

(6)「ハーゼルヌッストルッフェン」ヘーゼルナッツパウダーとシナモン風味のクッキーでヘーゼルナッツプラリネをサンドし、スウィートチョコを上掛け。(7)「ビッセン」たっぷりのチョコレートクリームにミルクチョコレートを上掛け。土台は薄焼きクッキー。(8)「チェリーシュッセアルン」キルシュ風味のマジパンを柔らかなクッキーにのせ、きざみヘーゼルナッツとグリオットチェリーをトッピング。(9)「マンデルピッツェン」グリオットチェリーをキルシュ風味のマジパンとアーモンドスライスで包み、薄焼きクッキーの土台に。(10)「フサーレンクラッフェン」ヘーゼルナッツをまぶして焼き上げたクッキーの中に、アプリコットジャム。

後編では、おうちに居ながら海外旅行気分を楽しめる、各国のクリスマススイーツを紹介します。お楽しみに!

※時節柄、メニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2020年11月15日)時点の情報をもとに作成しています。

撮影・文:猫井登