お菓子の歴史を語らせたら右に出るものはいない! といっても過言ではない、お菓子の歴史研究家・猫井登先生が、現在のトレンドを追いつつ、そのスイーツについて歴史を教えてくれちゃうという、一度で二度おいしいこの連載。今回は番外編として、厳しい残暑が続く今夏にぴったりな、涼しい気分を味わえるゼリー&羊羹を特集します!

【猫井登のスイーツ探訪・番外編】〜残暑を乗り切るための涼やかゼリー&羊羹〜

【ゼリー&ババロア】「花のババロア havaro」

「花のババロア havaro」は、エディブルフラワー(食べられる花)の生産者と協力して、「いつまでも愛されるスイーツ」を作りたいと2015年に創業したお店。さまざまな季節のエディブルフラワーを閉じ込めたゼリーとババロアを組み合わせた商品を販売している。

「ブーケ」2,600円

「ブーケ」(=花束の意)は、直径15センチのドーナツ形。何種類かの花をゼリーに入れたもので、土台のババロアは、バニラヨーグルト・フレーズ・オレンジ・クリームチーズなど。

「フルール(フレーズ)」350円
「フルール(ブルーベリー)」350円

「フルール」(=花の意)は、直径6センチのドーム形。花を数種類入れたもので、土台のババロアは、バニラヨーグルト・フレーズ・オレンジ・クリームチーズ、ブルーベリーなど。

お店は、文京区小石川の本店とディズニーランド近くの舞浜イクスピアリ店の2店のみ。本店は予約販売のみで、2営業日前までの予約が必要なので注意。イクスピアリ店は店頭販売のほか、予約、取り置きも可となっている。(現在、両店ともに通販・取り寄せは非対応)

見た目にも涼しげで、フォトジェニックだが、季節の旬の花を使っており、ビタミンやミネラルを豊富に含むという。エディブルフラワーそのものの味わいを楽しみたい方には、少し酸味のあるバニラヨーグルトのババロアの土台のものを、ババロアの味わいを楽しみたい方には、フレーズ(いちご)などのフレーバーがオススメ。一台一台、花の表情が異なるオンリーワン商品を楽しんで!

※価格はすべて税抜

【ゼリー】「日本橋屋長兵衛

日本橋屋 長兵衛は、江戸時代の豊かな文化や歳時記を、和菓子づくりを通して現代へとつなげたいと考えているお店。「粋」という江戸の人々の心に根付いた文化を現代風にアレンジし、和菓子と融合させた商品を販売している。

写真手前「金魚すくい」、写真奥「朝顔」各1個270円

「金魚すくい」は、爽やかなレモン風味のゼリーに羊羹のあざやかな金魚がゆらりと泳ぐ、涼しげなお菓子。「朝顔」は、みずみずしい果実のゼリーに羊羹製の朝顔をあしらったもの。薄紫の朝顔はマスカットゼリー、赤の朝顔は桃ゼリーとなっている。組み合わせて箱詰めにしてもらえば、夏らしいギフトに! 

※販売時期:8月下旬まで(予定)

※価格はすべて税込

【錦玉羹】「両口屋是清

「両口屋是清」は創業1634年、「千なり」などで有名な老舗和菓子店。こちらから夏季限定で販売されるのが「ささらがた」と呼ばれる、涼やかな錦玉羹(きんぎょくかん)。錦玉羹とは、寒天を煮溶かして砂糖や水飴などを加え、煮詰めて、型で冷やし固めたもの。

写真左から白桃、鳳梨、すいか、れもんの「ささらがた」各1個240円(税抜)

レモンピール入りで爽やかな風味の「れもん」、小豆を種に見立てた可愛い意匠で、ほんのり甘く、遊び心を詰め込んだ「すいか」、旬の桃の香りが感じられるみずみずしいおいしさを詰め込み、プリっとした食感の「白桃」、芳醇なパイナップルの香りとともにトロピカルな味わいを楽しめる「鳳梨(ぱいなっぷる)」の4種類。

ちなみに「ささらがた」の“ささら”とは、小さい・可愛いという意味の古語。食べ切れる棹菓子が欲しいという要望にお答えし、誕生したお菓子だそう。

※販売時期:8月下旬まで(予定)

【ゼリー】「叶匠壽庵」

叶匠壽庵(かのうしょうじゅあん)は、1958年創業の滋賀県大津市の和菓子店。

「標野」各1個200円(税抜)

琵琶湖から流れ出る瀬田川のほとりの丘陵地に農工ひとつの思想を取り入れ、里山の風景を残した6万3000坪にも及ぶ広大な「寿長生の郷」(すないのさと)の中に本社、工場のほか、茶席やカフェ等食事処を有することでも有名。

「標野」は、寿長生の郷で育てられた、大粒で果肉も厚く芳醇な香りを漂わせる希少性の高い城州白梅(じょうしゅうはくばい)を梅蔵で熟成させ、赤色が鮮やかな梅の品種「露茜」(つゆあかね)を加えて寒天でとどめたお菓子で、梅の爽やかな酸味が口中に涼感を運んでくれる。

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※外出される際は、感染症対策の実施と人混みの多い場所は避けるなど、十分にご留意ください。

※本記事は取材日(2020年8月10日)時点の情報をもとに作成しています。

文・撮影:猫井登