再開発にともない、有名ITベンチャー企業によるオフィス移転の動きも活発に見られ、しばらくこの地を離れていた大人たちから再びの注目を集める街・渋谷。だけど、いざ来てみたら食事処に迷ってしまうというケースもしばしば。そんな、“シブヤお久しぶり組”の迷える大人たちのため、「食べログ グルメ著名人」で渋谷区観光大使を務める小宮山雄飛さんに渋谷の新&定番グルメスポットを両方教えてもらっちゃおう! というこの連載。

 

[定番]編5回目となる今回は、渋谷にあるNHK西門の目の前に店を構える「おくむら」をご案内します。

【大人の渋谷メシ・定番編】第5回「おくむら」

もう、かれこれ30年位だろうか、学生時代に親に連れられて来て以来使わせてもらっている渋谷の老舗そば屋さん。瑞々しくもしっかり芯のあるそばは、風味も良く、つけ汁との相性も含め実にバランスがいい。日常的ながらも上質なセンスを感じるお店。

つまみの種類がそんなに多いわけではないけど、まずは日本酒を。なんと、カラスミをサービス(!)で付けてくれるので、これをつまみながらそばを待ちましょう。

現在取り扱っている純米酒は、埼玉の「神亀」800円

繊細な味のそばは、ぜひとも冷たいせいろで食べていただきたい。そばの風味を活かすよう、辛すぎず甘すぎずな味付けのつけ汁でいただくと、喉越しもすんなりと入って行く真っ当なそばのおいしさを感じます。

「せいろそば」800円

添えられた葱は、やはりそばや汁の風味を殺さないためか、極めて薄く切られていて、汁にちょこんと付けてつまむと良い口直しになって、その後のそばがまたおいしく感じます。

味も腰も強い田舎そばは温かい汁がおすすめ(このお店で、普通のそばは冷たい汁、田舎は温かい汁という使い分けを覚えました)。こちらは鴨汁も人気が高いのですが、僕のおすすめはひな鳥そば。

田舎そば仕立ての「ひな鳥そば」1,450円。通常のそばの場合は1,400円

鴨のような野性味はないですが、その分旨味がすっきりしていて、そばとの相性も抜群。

これだけおいしいおそばを出しつつも、あくまで日常使いの町のおそば屋さん的な立ち位置で続けてくれているのもありがたい限り。渋谷の良心的なおそば屋さんなのです!

 

※価格はすべて税込

 

 

文:小宮山雄飛

撮影:外山温子