〈2019 食通が惚れた店〉

平成から令和へと元号が変わった2019年。外食シーンにおいても、新しい時代の幕開けを感じさせる飲食店や、グルメにまつわるトピックスが盛りだくさん。そこで、グルメ情報を熟知した方々に、2019年に最も感動したお店について教えてもらいました。「2019年のNo.1」「2,000円以下のプチプラグルメ」「2020年の注目店」をそれぞれご紹介します。

 

今回は、スイーツコーディネーターの下井美奈子さんにお答えいただきました。

教えてくれる人

下井 美奈子
多数のメディアで洋菓子情報を紹介する他、講師、商品開発、レシピ提供を行うスイーツコーディネーター。実家の母が“鎌倉下井お菓子教室”の講師で、子どもの頃からスイーツの食べ歩きや菓子製作を行う。一般企業退職後、渡仏しパリRitz Escoffierで料理・菓子のディプロム取得。渡仏中、ル・コルドンブルー、ルノートルで、フランス家庭菓子、イギリス家庭菓子など学ぶ。2年間のロサンゼルス在住中、各国の製菓料理を学ぶ。生活総合情報サイト「All About」では立ち上げ当初からスイーツガイドを担当。日本紅茶協会認定ティーインストラクター。

2019年のNo.1飲食店

Q 2019年に行ったなかで、〈最も感動した飲食店〉はどこですか?

撮影:下井美奈子

A パレスホテル東京「ザ パレス ラウンジ」です。

老舗などとコラボレーションする「アフタヌーンティー」がいつも楽しみ。秋に提供された、日本茶喫茶・茶葉の店「寿月堂」とコラボしたアフタヌーンティーは、お茶の特性を生かしたスイーツがすばらしかった。

 

加熱すると飛んでしまいがちな茶葉の風味を損ねることなく、スイーツで表現したお茶の芳醇な香りに感動! シェフパティシエの窪田氏の匠の技を洗練された空間で味わうアフタヌーンティーは、日常を忘れさせてくれる。

Q そのお店で〈印象に残った一皿〉は?

撮影:下井美奈子
撮影:下井美奈子

A 「蔵出し濃茶と薄茶のスイーツ」です。

「寿月堂」が茶壷に貯蔵した「蔵出し濃茶」と「薄茶」の旨みのある茶葉を生かしたスイーツがすばらしい。有機抹茶のティラミスは、抹茶の旨味と、繊細な香りがダイレクトに感じられた。有機煎茶のクレームブリュレは、火を加えることで色が変わるものの、贅沢に茶葉を使用しているため、芳醇な香りが広がる。

 

上質な日本茶は火を入れたり、時間が経つことで香りがなくなることが多いが、それを感じさせない技ありスイーツばかり。隠れた逸品のアプリコットのパート・ド・フリュイ(ゼリー菓子の一種)は、シート状の薄いパート・ド・フリュイを重ねて作られた、他にはない口どけ。他にも技ありスイーツ、セイボリーが色々。

 

現実を忘れ贅沢なひとときを過ごせる、パレスホテル東京の技ありアフタヌーンティー。シーズンごとにテーマが替わり、毎回楽しみ。

「ザ パレス ラウンジ」では、現在「冬のアフタヌーンティー」(4,200円、グラスシャンパン付き 6,000円 ※ともに税・サービス料別)を提供中。温かいチョコレートソースをかけて仕上げる完熟洋梨のベルエレーヌのほか、カリフラワーのパンナコッタやズワイ蟹のロールサンドなどが並ぶ。提供期間は、2020年2月29日まで。

 

■アフタヌーンティー
予約専用TEL:03-3211-5370
提供時間:平日 13:00〜15:00、土日祝 14:00/15:00(予約制)
※3時間制

 

 

Q 2019年に行ったなかで、〈印象に残った一皿〉は?

写真:お店から

A 「ビューティーコネクションギンザ フルーツサロン」のフルーツコースに登場する「パフェ」です。

2019年11月8日に開業した「Beauty Connection Ginza」2階にあるフルーツサロン。パティスリー「ビヤンネートル」のオーナーパティシエ馬場麻衣子さんが、その時期に最もおいしいフルーツを使用した4皿のフルコースを監修。なかでも、コースの3皿目に登場する、メインにふさわしい華やかな「パフェ」がすばらしかった。

 

馬場さんが手掛けるフルーツコースは、フルーツたっぷりで、背徳感なく楽しめる。もともと馬場さんのパフェの大ファンで、そのパフェが銀座で味わえるなんてうれしい! ビヤンネートルのスタッフも常駐し、馬場さんの自店「FLOTO」の作り立てのジェラートを使用している。

 

2,000円以下のプチプラグルメ

Q 2019年に行ったなかで、人におすすめしたい〈2,000円以内のプチプライスで食べられる幸せ〉は何ですか?

八坂牛太
出典:八坂牛太さん

A 「パティスリー・パリセヴェイユ」の「土日限定のデセール」です。

土日イートイン限定のデセールが幸せすぎて、季節ごとに何度も通いたい。価格以上のおいしさがあり、「トマト 巨峰 リボ」「オムレット」「とうもろこし エスプレッソコーヒー キャラメル」「リンツァーマロン」といったメニューがおすすめ。どのデセールも季節感があり、そして軽やかなおいしさ。友人と5皿食べたときの幸福感はすごかった。

デセール 1,500円前後

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しております。最新の情報はお店の方にご確認ください。

 

 

2020年 注目のお店

Q 2020年、〈注目したい飲食店〉はどこですか?

A 「Infini(アンフィニ)」です。

2020年1月21日オープンの、「UN GRAIN(アングラン)」でシェフパティシエをしていた金井史章さんの自店。九品仏駅から歩いて40秒くらいで、自由が丘駅からは11分ほどの立地。取材でケーキをいただいたが、繊細で優しく、デザインも美しい。「デセールもやっていきたい」と金井シェフ。イートイン席もあり、今後の展開が楽しみ。(住所:東京都世田谷区奥沢7-18-3)

 

文:下井美奈子・食べログマガジン編集部