年末年始は手作りおつまみに挑戦


年末年始は忘年会にクリスマス、大晦日からのお正月と何かと集まって飲む機会が多いことだろう。もちろん食べログを駆使しておいしいレストランに行くのもいいが、最近はホームパーティをする人も増えているという。

 

それぞれが何品か持ち寄る「ギャザリング」というスタイルも、ホストの負担が少なく開催できるので人気になりつつある。忙しいときは高級スーパーで惣菜などを買って行くのも手軽だが、年末年始くらいは何か手作りするのもいいだろう。

 

だが、レパートリーもマンネリ化してきて、そろそろ新しいメニューに挑戦したい。簡単にできて、気が利いたおつまみならプロに聞くのが一番!

そこで、恵比寿にあるワインバーCAVOのシェフ、ファニーさんに、手に入りやすい材料でできる、小技の利いたおつまみとフランスワインとのマリアージュを教わった。

 

CAVOは恵比寿駅から2分という便利な立地で、扉を開けるとまるでフランスを旅行しているかのような現地感溢れる雰囲気が特徴だ。常連にはフランス大使館職員や駐在や転勤で日本に来ているフランス人が多いというのもうなずける。

ファニーさんはフランス家庭料理の料理教室が好評で、テレビ出演経験もある実力者。CAVOでも本場さながらのフランス惣菜が人気を集める。そんなファニーさんが、今回教えてくれるおつまみのテーマに掲げたのが「フランスと日本の融合」。

フランスの伝統的な家庭料理に日本ならではの食材や調味料をかけ合わせ、ホームパーティでも「こんなの初めて」と言ってもらえる料理の数々を紹介しよう。

アペロプレートで乾杯!


フランスでは本格的な食事の前に「アペロ」と言って、軽いおつまみと食前酒で会話を楽しむ習慣がある。事前に用意しておけるシャルキュトリー(生ハムやパテドカンパーニュなど)を活用すると便利だ。シャルキュトリーはもちろん自家製でもいいが、最近ではデパ地下でも高品質なものが購入できるので、プラスαでオリジナルの惣菜を添えるのもおすすめだ。

ファニーさんが教えてくれたのは「鯖のリエット(紫蘇入り)」と「キノコのマリネ(ワサビ味噌入り)」。紫蘇やワサビ味噌といった日本の食材が効いている。キノコのマリネはお店でも提供する定番メニューだが、伊豆で購入したというワサビ味噌を加えることで甘みと辛みが加わり、キノコの旨みが際立ってくる。

アペロには泡や白ワインが合わせやすいそうで、この日はブルゴーニュのシャルドネからスタート。

ウフ♡と思わず笑みがこぼれる卵料理


絶対に真似しようと心に誓ったのが「ウフマヨネーズ(ワサビ漬け入り)」。フランスのビストロでは定番のゆで卵とマヨネーズで作る「ウフマヨネーズ」もファニーさんは大胆アレンジ。

なんと黄身と自家製マヨネーズにワサビ漬けを加えて和風ウフマヨを発明したのだ。ワサビ漬けが加わったことにより、コクが増し、ワサビのツーンとした辛みがあとひく旨さの一品に仕上がっている。

刺身にフルーツとヴァニラ?


手軽に作れるがインパクトが大きいのが「鯛のタルタル 柿と赤い果実のヴァニラオイルソース」。鯛の刺身に柿を合わせるのも驚きだが、さらにヴァニラオイルをかけるという攻めた一皿。でもきちんと味はまとまっているから不思議だ。

タルトに納豆がクセになる


「納豆のプロヴァンス風タルト プロヴァンス産ハーブ、紫蘇添え」も斬新な料理だ。通常はトマトとハーブでシンプルに作ることの多いプロヴァンス風タルトに、まさかの納豆をトッピング。焼くことで納豆の臭みは薄れ、旨みとコクが前面に出てくるのでベーコンなど肉っ気のものが無くても食べ応えたっぷり。

タルトには赤ワインがおすすめだそうでヴィオニエとブールブーランというぶどう品種を使ったローヌワインの赤を合わせてもらった。

醤油キャラメルがスープの決め手


テレビ番組でレシピを紹介したこともあるという「ズッキーニのスープ 生醤油仕立て」は醤油と砂糖で作ったソースでミニトマトを煮込み、さらに煮詰めて作ったキャラメルを味のアクセントに使う。ズッキーニの柔らかいテクスチャーに醤油の塩気と砂糖の甘み、キャラメルの香ばしさで深みのある味わいになっている。スープと言えど粘度が高いので、写真のようにガラスジャーを器にすればギャザリング用に持ち歩きも可能だ。

醤油キャラメルとの相性が良く、こちらは赤ワインの銘醸地・ボルドーのサスティナブルなビオワインを合わせていただく。

豆腐とチョコレートのギルトフリーなスイーツ


パーティで喜ばれるのがスイーツ。おいしいのはもちろんのこと、さらにヘルシーであれば完璧だ。「豆腐のクレーム・ショコラ」は豆腐っぽさはほとんど無いが、クリーミーで濃厚な口当たりとチョコレートのコクが大人向けのスイーツ。ワインラバーの締めとしても相応しい一品だろう。

 

スイーツには、花のような香りが特徴的なアルザスを代表するぶどう品種ゲヴェルツトラミネールの白を。華やかなディナーの締めくくりとなった。

 

ファニーさんに教わったおつまみはどれも一捻りあり、サプライズをもたらしてくれるものばかり。
年末年始のホームパーティは日本とフランスの融合おつまみに挑戦してみてはいかがだろうか。

 

撮影・文:食べログマガジン編集部