再開発にともない、有名ITベンチャー企業によるオフィス移転の動きも活発に見られ、しばらくこの地を離れていた大人たちから再びの注目を集める街・渋谷。だけど、いざ来てみたら食事処に迷ってしまうというケースもしばしば。そんな、“シブヤお久しぶり組”の迷える大人たちのため、「食べログ グルメ著名人」で渋谷区観光大使を務める小宮山雄飛さんに渋谷の新旧グルメスポットを教えてもらおう! というこの連載。

 

[旧]編に続く[新]編では、渋谷の新ランドマーク「渋谷スクランブルスクエア」に店舗を構える「金粂」 をご案内します。

【大人の渋谷メシ・[新]編】第2回「金粂」

今、渋谷のグルメ事情が激変しています。100年に一度といわれる規模の再開発で、新たに建つ大型ビルに、おいしいお店がガンガン出店していて、渋谷全体のグルメ度合いがぐ~んとハネ上がってるのです。先日オープンした渋谷スクランブルスクエアに入っている金粂さんも、そんな渋谷のグルメ度を押し上げてくれる一軒。

魚河岸の海産物問屋さんが母体で、とにかくおいしい魚とだしを贅沢に使った料理が美味。特におすすめは「鮭といくらせいろ」イートイン1,500円/テイクアウト1,473円。

「鮭といくらせいろ」

ホロっとほぐれる鮭の身と、思えず「え!?」と声を出してしまうくらいふっくら炊かれたせいろご飯、大粒のいくらの組み合わせは、いわゆるグルメ用語で言うところの、「いくらでもエンドレスに食べれるヤツ」です。

しかし! エンドレスのその手を一旦止めてください。途中で熱々のだしをかけて上から薬味をのせて、名古屋のひつまぶし風にして食べると、これまたグルメ用語で言うところの「いくらでもエンドレスに食べられるヤツ〈さらさらバージョン〉」に変化するのです。

つまり、1回でもエンドレスのはずのループが2回楽しめるという、子供が「俺、無限!」「じゃあ、俺は2無限!」「じゃあ、俺は10無限!」などと無限の意味を勝手に解釈していたのと同じような、おいしい無限状態が続くのです。

とはいえ、もちろん食べ放題ではありませんので、残念ながらどこかで食べ終わってしまいます、そんな名残惜しさを埋めてくれるのが、テイクアウト専用の惣菜たち。

「14時間煮込んだ鯖味噌煮」

 

「14時間煮込んだ鯖味噌煮」891円は、こぶし大の大振りのものを、メニュー名のとおり、なんと14時間も煮込んで、骨までとろとろ。これひとつでフレンチやイタリアンのメインの魚料理以上の存在感があります。

 

さらに、一枚891円する「あじフライ」!

「あじフライ」

けっして安くはありません。しかし、その価値はしっかりある、身厚でふっくらふわふわの食感。

いぶりがっこが入った自家製タルタルソースは、それだけでお酒のツマミになるレベル。イートインもテイクアウトも、満足感の高い新たな名店候補の登場です。

 

※価格はすべて税込

 

 

文:小宮山雄飛

撮影:外山温子