【THEご褒美スイーツ 〜知っておきたい通な店〜】

「食事と同じくらい、スイーツにも絶対手を抜きたくない!」と、日々美味なるスイーツを探し求める甘いもの好きさんにお届けする本連載。スイーツの歴史研究のみならず、製菓にも精通するお菓子の歴史研究家・猫井登さんが太鼓判を押す、ご褒美スイーツを紹介します。

〈第16回〉「ラ・パティスリー by アマン東京」

「アマン東京」は、2014年12月にアマンリゾーツが手がける初の都市型ホテルとしてオープン。2021年10月には、ホテルがある大手町タワー「OOTEMORI」地下2階にグループとして初となるペストリーショップ「ラ・パティスリー by アマン東京」をオープンした。今回は、2025年連載第一弾に相応しい、気分の上がる冬スイーツ3種を紹介したい。

寒い冬にぴったりな3品のスイーツをご紹介!

【ご褒美スイーツその①】「アマン東京モンブラン」

「アマン東京モンブラン」6cm/960円、9cm/2,808円、12cm/4,800円、販売は2月頃までの予定

黒糖を加えてカリッと焼き上げたメレンゲをホワイトチョコレートでコーティングしたものを土台に、カスタードクリームを絞って和栗をのせ、その上に生クリームをたっぷりと。表面全体に熊本県産の和栗のクリームをフリルのように絞り、同ビルの地上階にある大手町の森の木々からインスパイアされ、モミの木のようなフォルムに仕上げている。

スカートのフリルのように美しく仕上げられていく

和栗のクリームは、しっとりとして軟らかな食感。和栗の濃厚な味わいが、まったりと舌の上に広がる。甘さ控えめの生クリームが栗の味わいを引き立たせている。食感にアクセントを加えるメレンゲは、黒糖によって通常のメレンゲよりもコクがあり複雑で奥深い味わい。

中には大ぶりの和栗が潜んでいる

メレンゲの表面に薄く塗られたホワイトチョコレートが実にいい仕事をしている。メレンゲがクリームの水分で湿気るのを防止するだけでなく、そのミルキーな味わいで、生クリームと黒糖の味わいを違和感なくつなぎ、全体の味わいを一つにまとめているのだ。実に緻密に計算された逸品と言えよう。

【ご褒美スイーツその②】「レ サブレ」

「レ サブレ」3,888円

北海道産オーガニック小麦「きたほなみ」と発酵バターを使用したサブレの詰め合わせ。フレーバーは、バニラ、チョコレート、アーモンドの3種類。砂糖も、粉糖、カソナード(蜂蜜のような独特の香りを持つ、サトウキビを原料としたフランス産の茶色い砂糖)、グラニュー糖を使い分け、それぞれが異なる食感に仕上げられているところに、ホテルのポリシーが感じられる。

写真奥から「バニラ」「チョコレート」「アーモンド」

「バニラ」は、バターに卵白を加えることで「ふわっ」と軽やかな食感を実現。生地はきめ細かく、しっとりとして、優しいバニラの香り。粉のうまみを堪能できる。 紅茶と合わせてティータイムを楽しみたい。

「チョコレート」は、グラニュー糖のほか、カソナードとチョコチップを加えることで「ザクッ」とやや硬めの食感が楽しめる。カカオが香り立ち、濃厚で奥深い味わいだ。コーヒーのほか赤ワインと合わせても相性が良さそうだ。

「アーモンド」は、香ばしく焼いたアーモンドのペーストも使用し「さくっ」と香ばしく、アーモンドのうまみを感じさせつつも、あっさりとした味わいで、やや塩味もあり、シャンパンや白ワインにも合いそうだ。

【ご褒美スイーツその③】「ブランデーケーキ」

「ブランデーケーキ」2,900円

北海道産の小麦粉に、神奈川県相模原産のブランド有精卵、沖縄県産黒糖、国産きび砂糖、発酵バター、蜂蜜等選りすぐりの国産材料と、フランス産アルマニャックを合わせ、ブランデーの熟成に使われる樽の香りをイメージしてしっとりと焼き上げたのち、さらにアルマニャックを生地全体にたっぷりと染み込ませた大人のパウンドケーキ。

まず包みを広げると、アルマニャックが香り立つ。アルマニャックとは、ブランデーの一種で、ぶどうを発酵させた液体(ワイン)を蒸留したものだ。コニャックも同じで、ともにフランスで製造されるが、コニャックがボルドーの北にあるコニャック地方で、単式蒸留器で2回蒸留され、アルコール度数が高めで雑味が少ないのに比べて、アルマニャックは、ボルドーの南にあるアルマニャック地方で、半連続式蒸留器で1回蒸留されるだけなので、アルコール度数はコニャックよりも低く、ワイルドで野性味のある味わいが特徴だ。

生地の外側と内側で異なる風味と食感がなんともクセになりそうだ

口に含むと、全体的にしっとりと軟らかな食感で、コクのある重厚な味わいだ。ぶどうの華やかな熟成香が鼻腔を通り抜ける。食べ進めると同じ一切れの中でも味わいが異なることに気づく。焼き上がったのちに染み込ませるアルマニャックは、当然のことながら外側から染み込んでいくので、外側と中心部では微妙に味わいが異なるのだ。マニアックに言えば、外側から中心部へと味わいのグラデーションを楽しむことができる。

しっかりと火が入った生地の周囲の部分は、たっぷりのアルマニャックとも相まってスモーキーで香ばしく重厚な味わい。これが中心部に近づくにつれて上品で澄んだ味わいへと変化していく。毎日少しずつ食べて味わいの変化を楽しむのもいいかもしれない。

クッキーやブランデーケーキは日持ちもするし、持ち運びにもあまり気を遣わずにすむので、贈り物にも最適だ。

スイーツにパンも。定期的に訪れたくなる魅惑のショーケース

大手町駅直結のビルの地下にある「ラ・パティスリー by アマン東京」

ショップはホテル内ではなく、大手町駅の、丸ノ内線と東西線を結ぶ地下通路から少し入った場所にある。会社の休み時間や帰宅時に誕生日ケーキやパーティー用の手土産を買いに寄るのにも便利な立地だ。温かな光に包まれた店内には天然石のカウンターが配され、スタイリッシュ。ショーケースの中には彩り鮮やかな生菓子やパンが並ぶ。

ショーケースには、人気のクロワッサンやクイニーアマンなどのパンも並ぶ

ラインアップは、伝統的なフランス菓子をモダンでシックに仕上げたケーキや、稀少な北海道産有機小麦を使って焼き上げたパンなど多彩だ。ショーケースに並ぶ生菓子は日によって異なるが、プチガトー8〜10種類、ホール4〜5種類。ほかにパン・焼菓子が5~6種類ほど。

1人用のプチガトーは自分へのご褒美にぴったり
特別な日にはホールケーキも楽しみたい

ショップでは、コーヒーや紅茶、ジュースなどの提供も行っている。厳密に言えばイートインスペースではないが、店舗の外側に設置されたハイテーブルとハイチェアーで飲み物とともにケーキやパンをいただくこともできる。決済はキャッシュレスオンリーとなっている。

※価格はすべて税込

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撮影:外山温子

文:猫井登、食べログマガジン編集部