日々まい進し続ける歌舞伎俳優・片岡愛之助さんが登場。前編(歌舞伎めし 前編:片岡愛之助~イチゴを生涯愛する男~)では“食”にクローズアップしました。

 

後編では、“歌舞伎”について語っていただきます!

 

片岡愛之助が伝えたい、芝居のイロハ

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歌舞伎界の花形。片岡愛之助さんに魅了され、歌舞伎に触れ始めた人はきっと少なくないかと思います。そんな愛之助さんが座頭を勤める「明治座 五月花形歌舞伎」が201753日〜27日まで、東京・明治座で上演されることに。

 

歌舞伎の楽しみ方のこつや豆知識まで、歌舞伎のイロハを初心者にもわかるよう丁寧に解説してもらった。

 

初心者が頼るべきはイヤホンガイド

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歌舞伎になじみがない方は、イヤホンガイドを利用してほしいと思います。賛否両論ありますが、私はお薦めします。理由は以下のふたつから。

 

1.筋書きには載っていないような豆知識を話してくれる。

2.登場人物の役者の名前や衣裳の意味合い、せりふ中の専門用語、役同士の関係など、絶妙な間合いで説明してくれる。

 

歌舞伎って「深い」ですよね。皆さんが思われている「難しい」と同じニュアンスかもしれません。細かい演出が多く、知らずに見ていると、見落としや見逃しがたくさんあるんですよね。そういったポイントをイヤホンガイドが教えてくれるので、まずはこれが第一歩ではないでしょうか。

 

普段歌舞伎をご覧になっている方も、初めてご覧になる演目はイヤホンガイドを着けるとより理解度が深まるかもしれません。ただ、実際の声とイヤホンガイドを並行して聞き取るのは難しいので、2回目はイヤホンガイドなしでご覧になっていただけたらより楽しんでいただけると思います。

 

歌舞伎は「腹八分目」の芝居

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歌舞伎以外のいまのお芝居は、セリフが多くて説明し過ぎるものが多いと思います。1回で120%理解しておなかいっぱいになってしまうと、また来たくならないのではないでしょうか。ですから「腹八分目」、「もうちょっと」でやめておく方がいいのではと思っています。ごはんと一緒ですね。

 

歌舞伎は意外とせりふが多くないんです。その分イマジネーションを膨らましたり、見どころを押さえるだけでとても理解が深まります。

 

例えば、隈取の筋は「血管の誇張」を意味しています。ですから隈取を取っている人は力強い人が多い。その中でも大まかに分類すると、赤い筋の人は正義の味方、青色は悪い人や幽霊、土色は化け物の類……などすごくわかりやすいんです。

 

また、花道の舞台寄りの七三(しちさん)と呼ばれる場所にある小型のせりを“スッポン”と呼んでいます。これは亀のスッポンが徐々に顔を出すのと似ていることからきていますが、舞台下、つまり地面から出てくるので人間ではなく、妖怪や幽霊しか出てきません。

 

このようなちょっとしたポイントや約束事を知っているとより一層楽しめますよね。

 

舞台と映像の化学反応

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今回の『月形半平太』は、歌舞伎の現代風アレンジともいえます。私は歌舞伎だけでなく、テレビドラマや映画などで培った経験もあるので、それが今回の舞台に影響を与えている面もあります。もちろん、逆も然りです。

 

舞台(歌舞伎)と映像(映画・ドラマ)は似て非なるもの。

 

歌舞伎は、舞台の隅々まで空間を使って、お客様皆さんにお芝居が届くようにしなければいけません。例えば、ひそひそ話をしている声の雰囲気を、最前列から3階の奥のお客様全員に感じさせていただくことは、実はとても高度なことなんですよね。

 

一方の映像は、数秒のカットをバラバラに何度も撮っていき、監督から指示された細かい立ち位置や角度を守りながらその数秒に命を懸ける。そういう意味で、映像は監督のものだなと思います。

 

舞台と映像の違いを勉強していくなかで、結局、芝居なので役作りという点ではどちらも同じ、という結論にも至りました。自分自身の引き出しも増えますし、今後も役者としてさまざまなお芝居に挑戦していきたいですね。

 

歌舞伎初心者でも臆することなかれ

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『月形半平太』のが上演される明治座には、劇場固有の固定ファンがいらっしゃいます。その方たちに好まれるような要素を取り入れたい、という私の思いから、新国劇の代表作のひとつである『月形半平太』を今回初めて歌舞伎に書き換えてみました。

 

幕末維新期を背景に、月形半平太と芸妓の梅松、染八を取り巻く恋と剣の物語。「春雨じゃ。濡れてまいろう。」の名せりふでおなじみですよね。

 

しかも彼はとても二枚目なんですよね。「大変なお役を選んでしまったな、顔白く塗りたくるしかないな。」と思っています(笑)。

 

見所としては、上方情緒あふれる京都のお茶屋の風景、恋愛、激しい立回りなど、歌舞伎の要素と現代風の演出が融合したエンターテインメント作品になっているところです。

 

それと、親獅子と子獅子に加えて母獅子が登場する『三人連獅子』というわかりやすい演目です。昼の部の二幕目は皆さまが歌舞伎と聞いてイメージする通りの演目ですので、歌舞伎をまだご覧になったことのない初心者の方にもピッタリだと思います。

 

そうだ、歌舞伎を観に行こう

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「明治座 五月花形歌舞伎」の昼の部の『月形半平太』が入門編、夜の部の『南総里見八犬伝』がいわゆる古典の歌舞伎と思っていただければ。お得感満載な2部構成となっています。昼、夜と順番に観ていただければ歌舞伎が身近なものになって良いかもしれません。

 

歌舞伎は元々、庶民の娯楽。気を張ることはありません。「映画を観に行こう。」と同じくらい気軽な心持ちで、「歌舞伎を観に行こう。」と思っていただけるとうれしいです。普段の服装で来ていただいて全く問題ありません!

 

もしくは、たんすの肥やしになっている着物を引っ張り出し、「特別な日」として歌舞伎を観ていただく。これもひとつの楽しみ方かもしれません。

 

これからもより多くの方に歌舞伎を愛していただけるよう、精進していきたいです。「五月花形歌舞伎」でお会いできるのを楽しみにしています。

 

「明治座 五月花形歌舞伎」

53日(水)~27日(土)

詳細、チケットはこちらをクリック。

撮影の舞台となったのは「笄町 濵矢」。

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今回、撮影の舞台となったのは20172月にオープンしたばかりの現代創作日本料理「笄町 濵矢(こうがいちょう はまや)」。

 

笄公園の隣にあるこちらは、フレンチ「ル・スフレ」の跡地だそう。永井シェフと付き合いがあり、物件を譲っていただいたという隠れエピソードが。

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料理長を務める濵田正人さんは輝かしい経歴の持ち主。

 

「トレーダーヴィックス」ホテルニューオータニ東京、アメリカ・エメリービル本店で数年間修行を積んだ後、サンフランシスコ店の料理長に抜てきされる。

 

さらに、その後中東のバーレン支店と上海支店に勤務。2008年には、再びアメリカ・エメリービル本店へ戻り、白羽の矢が立ち統括シェフに。

 

シェフのみならず、世界中に27店舗もある支店のサポートも行いながら、新しくオープンしたクウェート、シカゴ、キエフなどあまたの国々を回る。

 

その後も世界中で活躍。2014年には、タイ版料理の鉄人『Iron Chef』に出演。201612月に帰国し、「笄町 濵矢」の料理長に就任した。

濵田料理長が作り出す逸品とは

 

 ランチは¥5,000、¥7,000、¥10,000、ディナーは¥10,000、¥14,000、¥20,000とそれぞれ3種類ずつコースがあり、季節によってメニューの変更あり。

 

今回、愛之助さんに召し上がっていただいたのはディナーコースの¥14,000の中の2品。

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「うに・カリフラワー」

カリフラワーのピューレや新鮮な生うにが絶妙なハーモニーを奏でるひと品。小豆島・アライのエキストラ・バージン・オリーブオイルでひとくせプラス。1粒における油分の抽出量が1滴にも満たないという稀少なオリーブオイルの深みを舌で感じてほしい。

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「薩摩和牛・空豆・こごみ」

炭火で焼いた薩摩和牛。味付けは塩こしょうのみなので素材の味をしっかり堪能することができる。右側にあるのは、黒ニンニクパウダー、七味唐辛子、ゆず唐辛子を混ぜ合わせたもの。濵田料理長ならではの薬味を楽しんで。

 

ワイン・ミュージアムを併設!?

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前編の写真を撮影したカウンターは、深夜まで利用可能なBARスペース。愛之助さんの後ろに見える木の格子を引くと……。

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都内屈指のワインコレクションを誇るワインミュージアムが出現! 希少なロマネ・コンティのマグナムを皮切りに、アンリ・ジャイエなど世界の名醸ワインに出会える。

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内装にもこだわりが詰まっている。伝統工芸品“組子細工”によってブルゴーニュの丘を表現しているんだとか。極上の一杯を最高の空間で味わってみては。

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コケのブリザーブドなど緑を感じられる箇所も。都心のど真ん中であることを忘れて、リラックスできそう。

 

本格的な日本料理と居心地の良い空間。特別な日はもちろん、日常使いにもピッタリの名店。

 

写真/Hiro Kimura @W、スタイリング/手塚陽介、ヘアメイク/ 青木満寿子 @Arbre