【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレーとスパイス#78】「CHYANGRA」(チャングラ)
一昔前は本格的なネパール料理を味わえるお店は数えるほどしかありませんでしたが、今は大久保エリアを中心に数えきれない程に増えました。ネパール料理がマニアの間で認知されたことにより、それまでインド料理を元に日本人客にわかりやすく受けるようにアレンジした料理を出していたインドネパール系、通称インネパと呼ばれるお店でも、本格的なネパール料理をメニューに加えるところが増えたり、あるいは最初から本格的なネパール料理で勝負する新店舗も出てきたりしています。
今回ご紹介する根津駅近くにある「CHYANGRA」は本格的なネパール料理をわかりやすくアレンジしたのではなく、それを現代版にブラッシュアップさせたような料理を提供しているお店です。
こちらのお店は等々力にある「イエティ ロースタリー コーヒー」というネパールコーヒーをメインとしたカフェの姉妹店。だからこその洗練された雰囲気であり、6月にオープンしたばかりで新しく清潔感もあるので、現地感ただようお店を入りにくいと感じる方にもおすすめです。
看板料理はマルシというネパールの赤米をブレンドしたライスでいただく「ダルバート」1,650円。メインのカレーをチキンかマトンから選択、ダル(豆スープ)とバート(ライス)、サグ(青菜炒め)、タルカリ(野菜のスパイス炒め)、アチャール(スパイス漬物)、生野菜、ゴルベラコアチャール(ネパールのトマトチャツネ)、さらにドリンクと、シクルニというフレッシュベリーソースのかかったヨーグルトアイスもついてくる豪華版です。
それぞれ味も洗練されており、ネパール料理のワイルドな部分をそぎ落として上品に仕上げられたダルバート。カレーはマトンを選択したのですが、実に上品なカシコマス。ダルもカレーも上品で、ともすると一味足りないと感じる方もいるかもしれませんが、ダルバートとは混ぜて食べるもの。ご飯にダルやカレーをかけ、タルカリやサグやゴルベラコアチャールを混ぜてみてください。実にちょうどいい塩梅となります。
マルシ、バスマティライス、日本米をブレンドしたご飯の良さが活きるバランスの上質なダルバートでした。デザートのシクルニも甘さ控えめで爽やかな酸味のアイス。上品なダルバートの後のデザートとして完璧です。
ダルバートだけで満足しても良いのですが、ここではネパール料理をつまみにお酒を飲むのもおすすめ。「ネパールダークラム」650円を頼んだらサービスでおつまみもついてきました。これはうれしい。
これに合わせたのは「ポークリブ」750円。豚軟骨をネパール料理のセクワ的な味付けで炒めたもの。軟骨のコリコリとした食感にシンプルなスパイス感がとても合い、お酒が進みます。
そして「ポレコマチャ」1,250円という珍しい料理も。わかりやすく言えばネパール風サーモンソテー。塩とスパイスでシンプルにグリルされたサーモンに、サグやじゃがいものスパイス炒めが添えられていて、そのまま食べても良いですしゴルベラコアチャールをサーモンにかけて食べてみれば、よりネパール感が強まって楽しい一品。これとご飯を頼んでディナーとするのも良さそうです。
どれも味付け的にはオーセンティックでありつつ、盛り付けや見た目が今時という趣。他の料理とフュージョンさせたモダンネパールというジャンルも少しずつ増えてきていますが、こちらは他とフュージョンさせているわけではないのでモダンネパールと言うよりはネパールのモダンと言った方がより正しいでしょう。
客層もネパール現地の方のみならず日本人の若いカップルも見受けられました。ネパール人店員さんが若いカップルに「ダルバート食べたことありますか?」と質問すると「はい!」と答える二人を見て、時代は変わりつつあるのだなとしみじみ。是非デートでも使ってほしいお店です。
※価格はすべて税込