緊急事態宣言発令に伴う営業時間短縮の要請を受け、ランチタイム営業を開始した飲食店が増えている。なかには、これまでディナータイムやコースのみの提供で、少しハードルの高かった人気店なども。そこで、当連載でも臨時特別企画として、フードライター・森脇慶子が注目する店のランチメニューを全4回にわたり紹介。今回は、東京・外苑前の予約の取れない焼鳥名店「焼鳥今井」に注目!

【森脇慶子のココに注目 臨時特別号 Part3】「焼鳥今井」

食べログ 焼鳥 百名店」にも2年連続選出中の予約の取れない焼鳥の名店、外苑前「焼鳥今井」も、コロナ禍の状況下、ランチとテイクアウトを始めた一軒だ。ご主人の今井充史さんはこう語る。「ランチは去年4月に始めてすぐにやめ、弁当のみに切り換えましたが、また9月から再開しています」。その理由は、生産者の苦境を知らされたからだ。

写真:お店から

飲食店が営業しなくなれば、当然食材は回らなくなり、行き場を失う。それまで手塩にかけて育ててきた牛や豚、鶏などの家畜も然り。「天城軍鶏の生産者さんが、もう養鶏をやめたいとまで思いつめているのを知って、それならうちで扱います、ということになったんです」と、今井さん。ほかにも、東京しゃもや名古屋コーチンなど窮地に立たされた生産者から鶏を仕入れ、それをなるべく多くさばこうとランチを再開。テイクアウトも、昼夜全回転させたそうだ。

主役は「大山どり」! 店内ランチは丼、テイクアウトは弁当で楽しめる

そのランチだが、現在は、炭火焼鳥3種入りから6種入りまで、全部で4アイテムを用意。ランチで使う鶏肉は、肉質が柔らかく食べやすい大山どりで、下の写真は「炭火焼鳥5種丼」1,800円。

「炭火焼鳥5種丼」

左から胸、赤身、軍鶏つくね、せせり、 うずらの卵など。せせりとは首肉のことで、しこしことしたテクスチャーが人気の串だ。このせせりと胸が塩で、ほかはタレ。だが、そのタレも甘さはグッと控えめ。ジュワッと滲み出る肉汁をしっかり受け止め、塩とはまた一味違う旨味が舌に広がる。

中でも白眉はつくね。軍鶏つくねという名の通り、天城軍鶏と東京しゃも、そしてシャラン鴨の端材をブレンド。ホロリと口中で崩れる粗挽き感と醤油の風味が際立つタレがベストマッチ。炭火の香ばしさとも相まって食欲全開すること間違いなしだ。ちなみにランチには、サラダと汁物、漬物が付く。

ランチ限定「炭火焼鳥5種弁当」1,800円

そのほか、地鶏のレバーや天城軍鶏の串焼きも数量限定ながら追加も可。早めに出かけたい。また、丼ものは、そのままランチ弁当としてテイクアウトもできる。冷めても炭火で焼けばこその風味は十分。串にかぶりつく瞬間の芳ばしさが、口にしたときのおいしさを保証する。

ディナーのテイクアウトはおまかせで「天城軍鶏」なども登場

一方、夜のテイクアウトは一段とグレードアップ。大山どりを中心に、歯応え、旨味、風味により深みのある天城軍鶏などがラインアップに加わってくる。小気味良い食感のなか、噛み締めるうちに広がる力強い滋味と余韻の深さは天城軍鶏ならではだろう。

「炭火焼鳥5種弁当」

写真は「炭火焼鳥5種弁当」1,800円。左から、胸、腿、ふくらはぎ、肩、せせりの5種類で、胸と腿、せせりは大山どり。ふくらはぎと肩が天城軍鶏。食べ比べてみるのも一興だろう。また、ご飯はいらないという向きには、「特選炭火焼鳥5本盛り合わせ」2,100円がいい。

「特選炭火焼鳥5本盛り合わせ」

天城軍鶏やシャラン鴨など、その日のおすすめの盛り合わせでお店と同じ内容を家庭で味わえるのもうれしい限り。温め直しても良いが、そのまま食べても焼きたてとはまた違う旨さを楽しめる。

ランチタイムの営業は火〜金曜日の11時30分〜14時(L.O13時30分)、ディナータイムのテイクアウトは月〜金の17時〜19時、最終焼き上がり19時30分、最終お渡し20時となっている。

※店内は税抜、テイクアウトは税込価格

※時節柄、営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、お店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

※新型コロナウイルス感染拡大を受けて、一部地域で飲食店に営業自粛・時間短縮要請がでています。各自治体の情報をご参照の上、充分な感染症対策を実施し、適切なご利用をお願いします。

※本記事は取材日(2021年1月18日)時点の情報をもとに作成しています。

文:森脇慶子