【カレーおじさん \(^o^)/の今週のカレー#76】「ラジャ」
僕はかなりヘビーな食べログユーザーだと自負しているのですが、食べログでお店を探す時に点数ばかりに気を取られないように心がけています。点数が高いからといって必ずしも自分の好みに合うというわけではありませんし、逆にまだ知られていない隠れた名店も少なからずありますから。
今回ご紹介する東京・参宮橋の「ラジャ」はまさにそんな隠れた名店。この原稿を執筆している時点で食べログの点数は3.2台と、それほど高いわけではありません。しかし、個人的には軽く4点を超すレベルだと感じています。
お店は1995年に開店したということですから、カレー界においては老舗とまではいかずとも中堅どころと言える立ち位置。ただ参宮橋という少々マニアックな駅の近くにあるということや、昼しか営業していないということから、少々ハードルの高いお店となっているのが点数が上がりにくい理由かと思います。
しかし、こちらのカレーに魅せられたカレーマニアも少なからず存在し、わざわざここのカレーを食べる為だけに定期的に参宮橋まで足を運ぶ人も多いのです。かく言う僕もその一人なわけで。
メニューは日替わりというか、何日かごとに入れ替わるスタイルです。この日のメニューから、「ポークビンダルー」と「マトンキーマ」の2種を「パロタ」(南インドのパン)のセットでオーダー。通常はこちらのカレー、ご飯と合わせるのが最高なのですが、この日はあえてパロタだけで味わってみたかったのです。
ポークビンダルーとはインドのゴア地方の名物料理で、ビネガーに漬けこんだ豚肉を使ったカレーのこと。こちらのポークビンダルーはゴアのレシピを基本としつつも独自の工夫を加えたもので、酸味と辛味のバランスが良く、スッキリとしたおいしさです。
マトンキーマはマトンの旨味と風味がスパイスによってしっかりと引き立てられ、濃厚でありながら重すぎないバランス感。パロタで食べると軽やかでカレーそのものの味を存分に楽しめて良かったです。
それにしてもここのカレー、何を食べても本当においしいんですよ。「バターチキン」もスッキリとして甘すぎないのが最高ですし、「レッドホットチリペッパーチキンカレー」は激辛の上をいく辛さでありながらも、おいしさが全く失われていないという絶妙のバランス。「マトンサグワラ」も最高だったなぁ。「チキンキーマ」も「マトンコルマ」も……と、キリがないのでこれくらいにしておきますが、本当にすべてがおいしいのですから困ってしまいます。
こちらのカレーを食べるととにかくスッキリします。汗も出てデトックス効果を体感できるんです。おいしいだけじゃないところがまた凄い! そして食後の一杯も忘れてはなりません。チャイやコーヒーも確かなこだわりを感じるおいしさで、他のお店とは一味も二味も違います。
マスターは日本におけるインド料理研究家の第一人者的存在であるレヌ・アロラ先生から基礎を学び、その後はご自身でも現地で食べ歩き、それを再現したり改良したりを繰り返し、今の味に辿り着いたそうです。だからこそオーセンティックなインド料理でありながらも、ほんのちょっとだけ日本人の気遣いが入るような絶品カレーの数々なのですね。少々矛盾したことをあえて言いますが、これは日本人じゃないと作れない本物のインド料理なのです。
広いお店をご夫婦二人で切り盛りしているので、焦らず騒がずゆっくりと絶品インド料理と食後のドリンクを楽しみたいですね。他にも食べたいカレーがありすぎるので、今後も通い続けたい大好きなお店です。
※価格はすべて税込