〈食通の昼メシ〉

日々新しいトレンドが生まれるグルメ業界。流行りのメニューを試すのも楽しいが、毎日食べたいのは昔ながらの定番メニューだったりする。業界きっての美食家「食べログ グルメ著名人」の6名に、毎月、一番好きな定番昼メニューの名店を教えてもらう連載。今日のランチはこれで決まり!

教えてくれる人


柏原光太郎
日本ガストロノミー協会会長。大学卒業後、出版社に勤務し、グルメ本を手がけたことで食の奥深さに目覚める。料理は作ることも食べることも大好きで、中学生の娘の毎日の弁当と朝ごはん、週末の家ごはんを作っている。料理好きのための食の発信基地としての役割を担うべく2017年12月、一般社団法人「日本ガストロノミー協会」を設立。

今月のメニュー:「定食」

新米のシーズンになると、無性に定食が食べたくなる。定食というのは構成する要素が多く、その分、理想形に出会えることはなかなかない。メインのおかずを何にするかも大問題だが、やはり一番重要なのは「ご飯」だろう。ツヤツヤと輝き、ピンとたった炊きたての白飯。そしてだしを感じる味噌汁に自家製のぬか漬、選べる小鉢なんかがあると目尻が下がってしまうのだ。

柏原光太郎、昼に最高の「定食」

「魚 めし処 川佳」の煮魚定食 1,000円前後

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「魚 めし処 川佳」の煮魚定食   出典:bonita0317さん

ランチタイムしかやっていない魚中心の定食屋。その分遅い時間までやっているので(11時~15時半)、食べ損ねていても入れる。料理は日替わりだが、煮魚の調理の具合がいい。注文のたびに煮るわけではないが、きちんと煮えごろをわかった調理だから、魚の甘みが味わえ、柔らかめに炊かれたご飯との相性がいい。懐具合でオプションをつけられるのもうれしい。

 

※「食べログ」に掲載されている情報をもとに、料理名・金額を掲載しております。最新の情報はお店の方にご確認ください。

「定食」のココが重要

一番好きなご飯のとも

昆布の佃煮

出汁殻の昆布をマッチ棒くらいの大きさに切って薄めの出汁で炊いたもの。味が濃すぎるのはダメ。これを出す店は昆布出汁をしっかり取っていることがわかるし、昆布の質も判断できる。

こだわりの食べ方

定食の良し悪しはメインの食材より小鉢だと思う。メインには気を遣っても小鉢の料理は既製品を使っている店がけっこうある中、そこを手抜きしない店はすべての皿に愛情がこもっていると思う。たとえ冷奴だとしても温度管理、薬味の状態で店の良し悪しがわかる。

 

文:柏原光太郎・食べログマガジン編集部