開運!氣になるレストラン
元銀座のホステス、今は開運アドバイザーと異色の転職を遂げた藤島佑雪が、運気を上げるレストランやカフェ、食堂など食のパワースポットを紹介する連載。
vol.2 やさぐれハートに沁みる!韓国オモニの氣。~青松(チョンソル)
唐突ですがみなさん、カンクラに行かれたことありますか? カンクラ=韓国クラブのことです。わたくしがホステス人生で衝撃を受けた、赤坂のカンクラ式接客について、ちょっとお話ししてもよろしいでしょうか。
韓国から出稼ぎに来ているホステスさんたちが、とにかく親切を押し売りしてくるんですけどね。男性にはもちろん、わたくしどもアフターでお客さまについてきたホステスにまで押しまくり! たとえば、「ソウル行きたいなあ」などと言おうものなら、「ワタシ、案内シマス! 運転シマスカラ」とか、銀座のホステスが口先で軽く言ってるのと違って、なんだかひと言、ひと言、必死なんですよ。乾杯するのもイチイチ、腕を絡ますラブショットで密着してくるし。とにかく押しの一手なんです。
で、こちらがちょっと引き気味なときに始まったのが“食べろ攻撃”。カンクラって何も頼んでなくても、トッポギとかパジョンとかナムルとかどんどん出てくるんです。その日は同伴もあったし、営業中にお客さまが出前でとったお寿司のご相伴にもあずかったし、お腹いっぱい。夜中に炭水化物、欲しくないよ〜な気分で「今、お腹いっぱいだから」と3回断ったんです。するとカンクラのおねーちゃん、懇願するんです。「ヒトクチタケ、オ願イ……」って、上目遣いで泣きそうになりながら。もうしょうがないじゃないですか。じゃ、ひと口だけねと言葉にならないうちに“アーン攻撃”開始。これがイケませんでしたね。ひと口だけの約束が、2アーン、3アーンで気づけば完食。もう怖かったですよ。不思議と心地よくて。こりゃ、大勢の男性がカンクラにハマるわけです。お肌つるんつるんの美女につたない日本語で懇願されたら、そりゃ骨抜きでしょ!
と信じていたことが、大きく覆されたのが新大久保『青松(チョンソル)』だったんですね。いわゆるオモニ、韓国のお母さんによる家庭料理のお店にお友だち数人で行ったときのこと。名物のサムギョプサルをいただいていたところ、見回りにきたいかにもおばちゃんといった風貌のオモニが「アー、タメタメ(ダメダメ)! コウヤッテ巻クノ」と言って、お友だちの旦那さまに厳重注意。サンチュに荏胡麻、こんがり焼いた豚肉に辛味噌をのせ、上手にクルッと巻くやいなや電光石火のアーン。しかも無口で頑固で小うるさい男が、満面の笑みを隠さずになすがまま! ムシャムシャ食べちゃってるじゃないですか。しかも奥さまを含む、公衆の面前で。恐るべし韓国オモニの力。“アーン攻撃”って若い美女じゃなくても、色香漂ってなくても、こんなにも強力! ここは男性にとっては、幼児に返って甘えられる、女性にとっては見習うべき母性の氣が満ち満ちています。最近、イライラしてるなと思ったときに、よい氣がもらえるお店です。