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【カレーおじさん \(^o^)/の今月のカレー】11月を振り返る
11月のカレーは大阪のミシュランビブグルマン獲得店にはじまり、南インド、そして北インドの名店のそれぞれ姉妹店、そして今の東京カレーを語るにおいて外せない気鋭の日本人シェフお二人のコラボというラインアップ。
本物の美味しさのインドカレーも、日本人だからこそ作れる美味しさのカレーも、どちらも最高です!
【第1週のカレー】大阪スパイスカレーの代表的メニュー“出汁キーマ”とは?「虹の仏」
大阪カレーの勢いはとどまるところを知りません。ミシュランガイドでは新たに3つの大阪カレー店がビブグルマンを受賞。どのお店も個性があり、美味しく、接客も良い素敵なお店ばかり。その中から僕の特にお気に入り店である、「虹の仏」をご紹介しましょう。
虹の仏の看板
こちらのお店は、“出汁キーマ”で有名です。大阪スパイスカレーといえば出汁キーマというのが代表的人気メニューのひとつなのですが、虹の仏はその先駆者といえる存在。
出汁キーマカレープレート
「出汁キーマカレープレート」1,200円は、出汁キーマに和を感じさせる副菜。混ぜて食べれば旨味が相乗効果で溢れだし、食べ終わった後に多幸感まで味わえる、日本人だからこそ作れる絶品プレートです。
スリランカチキンカレープレート
他のカレーも美味しいですよ。「スリランカチキンカレープレート」1,200円は、やはり大阪カレーの代表のひとつといえるスリランカ系。現地の味を踏襲しつつ、どこか日本的な感覚で新たな美味しさが生まれています。カレーに合わせてご飯の種類を変えているのもしっかりと意味のある徹底ぶり。
そしてこちら、カレーだけではないんです。夜のおつまみも凄いんですよ。様々な魚介をマサラ(スパイス)で仕上げるシリーズは人気メニュー。牡蠣マサラ、白子マサラなど色々といただいたのですが、中でも一番気に入ったのは「カマトロマサラ」900円。
カマトロマサラ
マグロの旨味がスパイスで引き立っていて美味しさ倍増! これも日本人だからこそのセンスであり、それを形にする確かな技術。他では食べられない逸品です。
ダル冷奴
他にも「ダル冷奴」250円は、豆のカレーを冷奴にかけた豆三昧で豆好きにはたまらない美味しさ。「ハラミ黒コショウ焼き」700円は、火入れ具合が完璧でジューシー。
ハラミ黒コショウ焼き
つまりはこちらのお店、何を食べても美味しいんですよ。凄まじく美味しく、凄まじく個性的。それでいて値段もお手頃なのですからビブグルマンも伊達ではありませんし、選ばれてしかるべき名店と言えましょう。
カレーは、もはや和食といっても過言ではないほど日本人に愛される国民食ですが、新たな形の和食としてのカレーと、お酒のアテがここではいただけます。おつまみメニューは日替わりなので、通って色々と食べてみてください。通えば通う程に好きになるお店ですから。
※価格は全て税込
【第2週のカレー】伝説のシェフが新たに手がけるのは団地のど真ん中のカレーカフェ「アーンドラ・カフェ」
日本における南インド料理の歴史を語る上で外せない伝説のシェフ、ヤーマラ・ラマナイヤ氏。南インド料理をメジャーにするのに大きな役割を果たし、現在も連日行列の人気店である京橋「ダバ インディア」の初代料理長でもあります。また、ダバ インディア出身のシェフが独立して出したお店は軒並み人気店となっており、南インド料理のみならず日本のカレー界に及ぼした影響は計り知れない、生ける伝説です。
そのラマナイヤシェフは、今も銀座「アーンドラ・ダイニング」で腕をふるっており、他にも御徒町「アーンドラ・キッチン」、神田「アーンドラ・ダバ」にも関わり、それぞれ人気店となっているのですが、さらなる新店が生まれました。それが今回ご紹介する「アーンドラ・カフェ」。
アーンドラカフェの外観
東大島と平井のちょうど間くらいに位置する団地の、文字通りど真ん中にあります。店名の通り他のアーンドラ系と比べるとカフェスタイルに寄せていてカジュアルな雰囲気。開店のお祝いがてら行ってみると、カリスマスタッフのサントス君が歓迎してくれました。
Sランチセット
ランチメニューは何と650円から! 他のアーンドラ系と比べても破格の安さです。「Sランチセット」650円は日替わりカレー1種に、ギーロティかバスマティライスのどちらかをセレクト、サラダもつきます。場所柄もあって辛さは控えめにしてありましたが、味は一切控えることなく絶品。アーンドラの名に恥じない美味しさです。カレーが2種選べる「Aランチセット」も750円というお得さ!
Aランチセット
コーヒーは南インドスタイルの甘い「マドラスコーヒー」200円。僕はコーヒーはブラック派なのですが、マドラスコーヒーだけは別。
マドラスコーヒー
サントスさんによるエアブレンド
チャイ同様、目の前でしっかりとエアブレンドしてくれます。この泡がまた美味しさを増幅させるんですよね。
団地の中という珍しい立地で、他のお客さんは地元の方ばかりでしたが、既に常連さんもついてきている様子。サントス君の素敵な接客あってこそでしょう。夜メニューは銀座で仕込んだ手の込んだ料理もあるようです。また、カフェ的にスイーツ系のメニューも増やしていきたいとのこと。他のアーンドラ系との差別化がさらに進めば、遠方からわざわざ行く価値も大いに出てくるでしょう。
団地の中に生まれた由緒正しき系譜も持つ新店。今後どう発展してくか、楽しみでなりません。
※価格は全て税込
【第3週のカレー】あの肉体派俳優もハートを撃ち抜かれた荒川の北インド料理店「チャミヤラキッチン」
毎日3食カレーを食べている僕。ストレス解消方法はカレーと筋トレなので、ストレスを感じることが多くなるとどうしてもカレーを食べる回数も増え、1日に4食、5食となることもあります。その結果、11月前半の時点で今年のカレー食数が1,000食を超えてしまいました。
いつも100単位のキリの良い所では、その中でも特に大好きなお店に行くことにしているのですが、1,000となるとお祝い感も欲しくて。そこで選んだカレーがこちら「チャミヤラキッチン」。
外観
ディワリというインドのお祭りのお祝いに、特別メニューを出していたということで、そのお祝いに乗っからせていただこうというわけで。チャミヤラキッチンは北インド料理の中でも、ガルワール地方の料理に力を入れているお店で、かつて僕がTBSの『櫻井・有吉THE夜会』に出演させていただいた際、俳優の鈴木亮平さんをこちらにご案内し、鈴木さんも非常に気に入ってくれたお店です。
ガルワール地方の郷土料理ターリー
スペシャルメニューの「ガルワール地方の郷土料理ターリー」2,160円は、チャミヤラらしい野菜料理推し。全てが美味しいのですが、特に「冬瓜と豆腐のサブジ(スパイス炒め煮)」が絶品! これとご飯だけでもうご馳走なんですよ。それに珍しいメニューも色々加わってお祝い感は十分で大満足。こちらのメニューは期間限定メニューなので残念ながら既に提供終了しているのですが、これ以外のメニューも美味しいのでご安心ください。
バトゥワニー
「バトゥワニー」880円という豆カレーは鈴木さんも大絶賛の豆豆しさ溢れる味。これを食べた後「今まで行った中で一番好きな店かも」とテンション上がっていました。
レシミケバブ
「レシミケバブ」1,180円はメレンゲに包まれたチキングリル。見た目も華やか、味もスパイス感控えめで辛い物が苦手な方でも美味しくいただけます。ここに来たらサブジとレシミケバブは必食で。サブジの内容は日替わりですが、毎回感動的に美味しいです。
普段使いにも、特別な日にも、どちらにも良い素晴らしいお店ですよ。
※価格はすべて税込
【第4週のカレー】東京カレー界屈指の2大人気店が生み出した奇跡のあいがけカレー「カルパシ」と「魯珈」
現在の東京のカレー店を語るにおいて外すことのできない重要店である「カルパシ」と「魯珈」。片や連日予約で満席、片や連日長蛇の列ということで、どちらも大人気店です。最早東京代表ともいえるお店であるこの2店舗。実はどちらもオープンしてまだ2年程しか経っていません。カルパシが10月で2周年、魯珈が12月で2周年ということで、間を取った11月に両店舗が合同で周年祭イベントを開催しました。
会場となったのはなんと禅定院というお寺!
場所は沼袋にある禅定院というお寺。100人が入る大広間を使ってのカレー実食とトーク。3部制だったのですが、合計300人分の予約が30分しないうちにソールドアウトしたことからも、両店舗の人気の高さがうかがえるでしょう。
お品書き
テーマは中華カレー。どちらのお店も中華カレー1品と副菜1品のあいがけスタイル。カルパシは牛バラ中華カリーと木耳アチャール。魯珈は黒胡麻担々カリーと搾菜のウプマ。これが本当に素晴らしかった!
両店のカレーをあいがけした一皿
カルパシの牛バラカリーはマレーシア料理の肉骨茶をイメージしたというシンプルなスパイス感の優しいカレー。木耳アチャールは酸味と辛味のバランスが良く、木耳ビンダルーと言っても良いくらいの攻めの副菜。
一方、魯珈の黒胡麻担々カリーは麻と辣の刺激がハッキリとした攻めのカレー。搾菜ウプマは搾菜の食感も楽しい優しい副菜。
アチャールは黒、ウプマは白と、見た目にも対照的でバランスの良い組み合わせ。よほど入念な打ち合わせをしたのかと思えば、ほとんど打ち合わせをしなかったというのですから驚きです。しかもカルパシの中華カレーにいたっては、辛味と塩味を全くつけないまま作ってきて、魯珈のカレーの味を見てから一皿のバランスを整えるべくその場で辛味と塩味をつけて味を決めたというのですからこれは天才の所業です。
そして魯珈は魯珈で、トラブルを持ち前のサービス精神と準備の良さで解決。凄まじいコンビネーションでした。カレーのみならずトークも盛り上がり、トークの端々からお二人のカレー愛、そして情熱が感じられました。
どちらのお店も毎週新メニューを出し、それが毎回確実に美味しいという凄すぎるお店です。そしてどちらのお店も味のみならず接客も素晴らしく、多くの常連さん達に愛されているお店であり、どことなく似ているんですよね。同期ということで一緒に何かやろうと開店前から話していたことが2年越しで実現したというこのイベント。このようにしてカレー屋さん同士が手を取り合い、新たなカレーを生み出すことによって、カレー界がさらに盛り上がっていくのだと感じました。
2周年おめでとうございます。これからも斬新で美味しくて楽しいカレーを作り出してくださいませ!
※本記事で紹介したメニューは、イベント限定のカレーのため通常販売はされておりません。
【第5週のカレー】コーヒーもデザートも格別!人気カレー屋待望の2号店が高円寺に誕生「negombo33」
negombo33の看板
埼玉県屈指の名店「negombo33(ネゴンボ33)」。西所沢にありながら全国からマニアが集う絶品カレーと絶品コーヒーのお店です。僕も自宅からだと片道約1時間半の距離にありながら、わざわざここのカレーを食べる為だけに何度も通っているお店。そんなネゴンボ33が11月末に高円寺店をオープン! なんとめでたい!!
negombo33の外観
心待ちにしていたオープン日に行ってきました。初日は開店前から大行列の賑わいで人気の高さをうかがわせていました。西所沢の本店は良い意味で怪しげな空間なのに対して、高円寺店は明るくてより一般受けしそうな雰囲気です。店内に入ってみると日の光も差し込んで実に心地よい。この空間は高円寺の若者にも受けそうです。
ラムキーマとポークビンダルーのあいがけ
カレーは看板メニューのラムキーマと、高円寺店の為に試作を繰り返したというポークビンダルーの「あいがけ」1,500円でいただきましたが、どちらもネゴンボらしい、弾けるスパイス感をまず感じさせ、その後にじわじわと包んでくるような優しい奥行きのある美味しさ。副菜も控えめでありながら爽やかさがしっかりと感じられ、カレーの美味しさを高めます。
キャロットケーキとコーヒー
カレーだけじゃありません。僕は「一番好きなコーヒー店はどこ?」と聞かれたらネゴンボ33と答えるのですが、そのネゴンボの姉妹店ですから、「コーヒー」450円も丁寧な仕事を感じる美味しさ。デザートも忘れてはいけません。「キャロットケーキ」500円は甘さ控えめで素材の美味しさが引き立っています。コーヒーを飲んでケーキを食べればケーキの甘味が増し、ケーキを食べてコーヒーを飲めばコーヒーの香りが増すような相性の良さ。そしてそれはしっかりと刺激と奥行きがあるカレーを食べた後だからこそさらに増倍するという、幸せな三角関係です。やっぱり凄い!
高円寺といえば近年個性的で面白く、美味しいカレーのお店が増えてきたエリア。ネゴンボ33の到来によって、さらに面白いカレーが増えていくと良いなと思います。そして高円寺のお店を気に入った方は、是非西所沢にも行ってみてください。名店は本店に行ってこそその真髄が味わえますし、高円寺店とはまた違った魅力がありますから。
※価格は全て税込
取材・文:カレーおじさん\(^o^)/