秋の夜長、どこ行く?何する?何食べる?Vol.2
第一線で活躍するクリエイターの方々に、秋の夜長の過ごし方を聞く短期連載。第二回は地域デザインなどを手がけるグラフィックデザイナーの堀井仁さんに、お気に入りの秋の夜長の過ごし方を教えてもらいました。
食べたいもの、飲みたいものが全てあるお店で、じっくり夜を楽しむ
広告、雑誌、WEB媒体などで、グラフィックデザイナーとして幅広く活躍する堀井さん。彼が行きつけにしているのが『夜台所 BASE-CHIC』。恵比寿に今年5月オープンした、おばんざいと創作料理のお店です。
「ひとりでふらっと立ち寄ると、たいてい誰かしら知り合いが来ている。“お! いたんだ!”と合流しては、みんなでワイワイ秋の夜長を過ごしています」
もともと店主の中山皓創さんとは旧知の仲だという堀井さん。中山さんが展開する新宿の創作イタリアン「NAKAYAMAYA」の立ち上げ時には、ブランディングやデザインを手がけたことも。今回も「夜台所 BASE-CHIC」のオープンに際し、堀井さんが店のロゴやウェブのデザインを担当したそう。
堀井さんがデザインした暖簾。月をイメージしたというロゴが印象的。
料理は定番メニューのほか、日替わりでおばんざいを用意。「メニューは日々アップデートされていて、どれもこれも気になるものばかり。決して奇をてらっているわけではないけれど、ソースに凝っていたり、“コレ、なかったよね!”という料理に出会えます」と堀井さん。
おばんざい盛り合わせ 1,100円(※写真は2名用)
揚げ茄子の肉味噌、蕪たらこ和え、蒸し鶏と白菜の山椒煮込み。おばんざいは単品でも、盛り合わせでもオーダー可能。
春菊と炙り鰹 焼き柿のサラダ アールグレイのドレッシング 1,100円
さっと火を通した柿と炙り鰹を合わせたオリジナルメニュー。食感と風味のアクセントにカカオニブを散らして。
日替わりメニューに加え、堀井さんが必ずオーダーするというのが、干し豆腐の冷菜と香港風汁なし蝦麺の二品。「干し豆腐を使った冷菜はタレがその都度変わるので、いつも違った味が楽しめます。家で再現してみようと思ったことがあるけれど、なかなかこうはいかなくて。〆は必ず香港風汁なし蝦麺。エビがたっぷり入ってて、エビ感がとにかくすごい!」
干し豆腐のパクチーとしそベーゼ山椒だれ和え 750円
しそで作ったペーストと山椒のペーストを干し豆腐に和え、自家製チャーシューとパクチーをトッピング。
香港風汁なし蝦麺 (大) 1,200円
卵とエビを練り込んだ細麺に、干しエビと自家製チャーシューをたっぷりのせて。小サイズ(700円)もあり。
ワインから日本酒まで、多国籍な料理に合う一杯を味わう
料理に合わせるドリンクもこちらならでは。「まずビールで乾杯し、オーダーしたメニューに合わせて白ワイン、赤ワインと飲み進めます。ワインはもっぱらヴァン・ナチュール。ここの料理は和洋中入り混じっていますが、根底にはやはり和が感じられるので、最後は日本酒に行き着きます」
シルヴァン・ソー 900円(グラス)
堀井さんお気に入りのフランス産オレンジワイン。ヴァン・ナチュールは約20種を用意。
サケエロティック1,300円
長野県産の日本酒。しっかりとしたボディとボリューム感が際立つ。
お気に入りの料理を肴に、ゆっくりグラスを重ねるのが堀井流の楽しみ方。「ハシゴして飲み歩いていた時代もありましたが、最近は一軒のお店に腰を落ち着けて過ごすようになりました。歳を重ねるごとに料理の好みも和食にシフトしつつあります。そういう意味でも、ここはひと通り満足できる店。和食をベースに、洋食、中華もあれば、デザートもある。食べたいもの、飲みたいものが全部あって、今の自分にちょうどいい。使い勝手の良さを感じています」
アートディレクター/グラフィックデザイナー
堀井仁さん
印刷会社とデザイン事務所を経て、ブルーノート入社。プレスルームでアートディレクションからグラフィックデザインまでを担当。2012年よりフリーランスとして活動を始める。広告、雑誌、WEB媒体などに加えて、最近は地域デザインや異業種との関わりにも積極的に取り組んでいる。
※価格は税抜。
取材・文:小野寺悦子
撮影:石渡朋