33,000円のおまかせから3品ご紹介

料理は昼夜おまかせ(33,000円、税・サービス料込)のみ。今回は、約10品味わえる、おまかせから3品をご紹介する。

まずは向付。明石の鯛、淡路島のコウイカ、北海道のウニ、蕨。器は樂 九代了入のもの。「新しい仕入れ先からの鯛は少し塩味がする、今まで体験したことがない味わいです」と松本さん。

明石の鯛、淡路島のコウイカ、北海道のウニ、蕨が盛り込まれた向付

タケノコ、コゴミ、ウルイなどの山菜、ごぼう、人参、水菜などの野菜、原木椎茸など10種以上の素材が盛り込まれている沢煮椀。出汁は蛤。「温かいサラダのイメージ。食感も豊かで、女性に喜ばれる椀物です」(松本さん)。出汁は、京都の井戸水を用途に合わせて使い分け、フレッシュな香りを大事に、と、客が口にする直前に作り上げる。

春らしい山菜と野菜の沢煮椀

ご飯のお供の焼き物は、大ぶりの鰯。石川県・能登の漁師からの仕入れ。竹串に刺した鰯を囲炉裏で3回ほど返しながら、約10分間炭焼きにする。内臓など中はしっかり、外はさっと焼き上げる。「脂のかたまりのような、とろとろの鰯です」(松本さん)

鰯は囲炉裏の炭火で焼き上げる。どの席からもこのライブ感を鑑賞できる
たっぷりと脂ののった鰯。ご飯が進む味わいだ

明るく“光”がある存在へ

松本さんに常時満席の理由を尋ねると「こればっかりはわからないですが、人間でも動物でも明るいところに寄ってきますよね。料理、人間、店……、料理がおいしいと喜んでもらいたいですし、笑顔でお話ができて、明るいことが大切と考えています。“光”があるかどうか」とのこと。その温かい思いがベースにあるからこそ、光あるこの店に人が集まるのだろう。

店はカウンターのほかに、井戸のある庭がのぞめる6席の個室もある

食べログマガジンで紹介したお店を動画で配信中!
https://www.instagram.com/tabelog/

取材・文:木佐貫久代 撮影:東谷幸一