「料理は引き算だ」を実感する、ローマ風鶏肉のカチャトーラ
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次はローマ風鶏肉のカチャトーラです。これもカチャトーラね、と知ったふりをしながら「何だったっけ」と考えていましたら、マスターが「猟師風煮込みです」と教えてくれました。
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最初にタマネギをオリーブオイルとバターでソテーし、その後に小麦粉をふった鶏モモ肉をニンニクとアンチョビとともに熱しながら焦げ目をつけます。もう良い匂い。私ならこの時点で食卓に出しちゃうだろうな。ここからさらに煮込んでより旨い一皿を目指す料理人の熱意に尊敬します。
独特の風味があるケイパーを刻んで入れるのがポイントです。「最初にこれで香りを出して味のベースを作ります」と、味付けはアンチョビとケイパーだけ。赤ワインビネガーも加えてフランベして酸味を飛ばし、炒めタマネギを加えます。
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あれ、カチャトーラってトマトで煮込むイメージですが、いつトマト入れるの?と思ったら「しっかり鶏とキノコの味を感じられるよう、トマトは入れません」。またローズマリーの使い方にもコツがあります。「僕は油がパチパチしているところに入れず、仕上げの段階で肉の下敷きにしちゃいます。これでローズマリーの香り出しは十分です!」。ほぉ、食材を入れる順番で味がガラッと変わるのですね。勉強になります。
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猫田しげる
マスター、料理は独学と言いつつも、昔から作るのが好きだったそうです。 やはりベースはちゃんとあったんですね!
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トマトも入れず、オリーブオイルとバター、ニンニク、アンチョビ、ケイパー、赤ワインビネガーだけでこんなソースになるなんて凄い。イタリアンはフレンチと違って調味料がシンプルですが、食材の切り方や火入れの順番などによって味を軽くも重くもできるんですね。それだけ「知識の多さ」がモノを言う料理なのだと思います。
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猫田しげる
あ、ちなみにハーブは店の前に植えてあります。この時も急いでマスターが「ローズマリー、ローズマリー」と言いながら走って採取しに行っていました。
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カメラマンがいっぱい撮ってくれたので仕上げ工程も追ってみました。盛り付け一つですらプロって違う。皿にソースを飛ばさずに、よくぞこんなにキレイに。
「これにブイヨンとか入れる作り方もありますが、それだと鶏や野菜本来の味が弱くなってしまうので」とマスター。引き算の美学……。
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本当にあんなにシンプルな調味料なのに、ソースは粘度があり具材によく絡んでコク深い。鶏にも味が染み込んでいます。
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「今日は撮影用なので量を少なめにしました」とマスター、いいよいつも通りで(笑)。基本的に燈では、どの料理もドカッと現地並みに皿一杯に出てきます。
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猫田しげる
焼いたバゲットも出していただきましたので、お皿に残ったソースをつけて味わい尽くしました!
絶妙なアルデンテ! 牛肉感をしっかり味わえる、燈のボロネーゼパスタ
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さて。アーティチョークをグツグツ煮込んで作っているのは、燈のボロネーゼパスタです。牛挽き肉で作ったソースに、生クリームを加え、緑の彩りは菜の花で。もうすぐ春ですねえ。
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なんと、隠し味には合わせ味噌を使っているそう。まんまイタリアンではなく、ほんのり和のテイストにするってところに古民家との親和性が出ていますね。
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パスタは「コラヴィータ」社のフェットチーネ。こちら、世界中の星付きレストランで使われている名門メーカーでして、イタリア産デュラム小麦で作られた伸びにくくモチモチした食感が特徴です。
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白雪のようにパルミジャーノをふりかけて完成。がっつりトマトを入れるボロネーゼではなく、これも牛肉の素材感を立たせた具だくさんパスタです。
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フェットチーネってお店によって本当に食感が違うなと思います。たまにゴムみたいだったり軟らかいうどんみたいだったりと色々ありますが、このパスタは超絶ちょうど良いアルデンテ。コシがありながら硬すぎず、ソースもしっかり吸って、具だくさんなので最後まで食べ飽きません。
ワインはボトル3,000円台から! マスターは安旨ワイン探しの名手
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コーヒーもそうですがマスターはワインの知識も豊富で、お店では「コスパが高い安旨ワインを出すこと」に腐心しています。グラス700円~、ボトル3,300円~。私のように水のように飲む人ならボトルが良いでしょう。
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ワインの他に、ビール、日本酒、焼酎、グラッパ、東京・浅草で人気の電気ブランまでお酒はいろいろ。お酒1杯とアテで……という気軽な使い方もOKです。
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猫田しげる
ビールは冷蔵庫から勝手に取って「飲んだよ~」と自己申告するスタイルです。イタリアのビールもいろいろ揃っています。
4人以上の場合は飲み放題付きコース6,000円がお得。ランチプレート並みの前菜盛り合わせ、ピザ、パスタ、肉料理、デザートが出てきて腹はち切れそうになります。
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そういえば先日、テレビ番組で「あまから手帖編集長がおススメする路地裏の名店」として紹介されていました。なぬ~。私の秘蔵の店にしたかったので混むとちょっと嫌ですが、まあ有名になってくれるのはうれしいことなので良しとしましょう(笑)。