【最旬ヘルシーアドレス】

vol.8 東京・新木場「CASICA(カシカ )」

2017年11月、新木場に誕生したコンプレックススペース「CASICA」。“生きた時間と空間を可視化する”というコンセプトのもと、家具やプロダクト、アートやデザインなど目に見えるものから目に見えない感覚的なものまで。時代や価格、国や民族などに囚われず、違う空間にあったモノ・コトが一堂に集まることで、その魅力を再構築するスタイルが、各方面から話題を集めている。

建物は古い銘木倉庫を改築。全体のプロデュースを手がけたのは、CIRCUSの鈴木善雄さん。

 

今回紹介するのは、その「CASICA」内にあるメニューは、「南風食堂」の三原さんが監修していて、薬膳ベースを取り入れたデリカテッセンスタイルのカフェ。メニューは、薬膳ベースを取りいれたCASICAらしいオリジナル料理で、一見和食のデリかと思いきや、ナンプラー、チーズ、といった東南アジアや洋風など、世界の料理と日本の食材をかけ合わせたメニューとなっている。

カラダが欲するものを“可視化”できる、薬膳ベースのラインナップ

薬局をイメージしたというデリカッセンスペース。後方の薬箱がまるで漢方薬局を訪れたような気分にさせる。

 

メニューは、薬膳やアーユルヴェーダの考えをベースに考案されたオリジナル。季節の野菜を使った20のラインナップから10品がショーケースに並んでいる。薬膳というとハードルが高く感じる人もいるかもしれないが、普段何気なく食べているものが薬膳につながればという思いから、日本人に馴染みの深いおばんざいに、ナツメ、桂皮、ハッカクなどがあしらわれている。また、使う野菜も旬の味覚のみならず、“旬の効能”を意識したものをチョイス。知らず知らずにおいしくその季節に必要な栄養が摂れるのがうれしい。

その日の体調に合わせて料理を選ぶのもいいが、何も考えずに自分の体に耳を傾けてみるのもおすすめ。カラダが食べたいと欲しているものは、そのとき不足している栄養素を含んでいることが多いとか。ショーケースからメニューを選ぶことによって、自分の不足している食材を“可視化”できるかもしれない。

器や日用品との出合いも楽しめる

さらに、ここの楽しみは店内でのショッピング。世界各国の日用品や文芸品が一堂に会する様は圧巻。偶然とも必然とも思えるモノとの出合いはもちろん、バックグラウンドに囚われないモノ同士の組み合わせも楽しんで。

作家による器や、独自の目線で市場から仕入れてきた生活の道具。インドネシア、モロッコからやってきたデッドストックの器、東南アジアの村で売られている民芸品等々、今までの概念に囚われず、見た目も手触りも味わい深く、自分がいいと思ったものをチョイスし組み合わせる楽しさはここならでは。ぜひ、ゆとりをもって訪れてその真髄を楽しみたい。

旬の味覚だけでなく効能までも手に入る、一汁三菜の新定番

「CASICA Set Menu」1,200円

 

おかず3品と雑穀ごはん、そこに本日の汁椀とお漬物がついたセットメニュー。デリは、野菜から調理法を工夫し、その季節に不足しがちな栄養を旬の食材から積極的にとりいれることを意識している。撮影したときは冬だったこともあり、体を冷やさないよう火を通した野菜が提供された。火を入れることで野菜の水分が少なくなり、体を冷やす原因を極力取り除くという配慮だ。おかずは1品300円で追加できるので、子どもの好きな一品を追加するなど応用が利くのもうれしい。さらに、雑穀ごはんはお代わり自由!

左上)小松菜と油揚げの醤油麹出汁和え

体内のデトックスに働きかける麹を使った和えもの。

右上)ローストさつまいもと舞茸のグリル アップルビネガーのソース

さつまいもの自然の甘みとビネガーの酸味があいまって、箸が止まらないおいしさ。おおぶりサイズなので食べ応えがある。糖の吸収をおだやかにするというビネガーは健康的にも好相性。

中央)鶏とプチトマトのココナッツアドボ

アドボとはフィリピンの郷土料理である醤油煮。ココナッツミルクを加えることで食べやすく滋味深い味わいに。寒い季節は胃腸が弱りがち。お肉は火を入れて煮込むことで柔らかくし、消化しやすいように工夫された。

たっぷりのお肉がうれしい、看板メニューのCASICAカレー

「CASICA Curry」900円

 

お肉は自然にほぐれるまで、長時間丁寧に煮込まれたもの。チリより、コショウで辛みを出したルーは、スリランカのカレーのようにサラリとしていて、誰にでも好まれそう。スパイスも独自の調合。コショウは胃腸を温め、消化を助けてくれるとか。

薬膳をベースにしたカフェメニューも充実

「和漢チャイ」650円、「桂花杏仁」650円

 

薬膳をベースにした、デザートやドリンク類も充実。桂花はキンモクセイの花。利尿作用やデトックスによいとされる桂花、さらにクコの実、ナツメ、レーズンなどをいれたシロップを杏仁豆腐にかけて召し上がれ。

 

合わせるのは、大船にある漢方薬局「杉本薬局」がブレンドした「和漢チャイ」。ルイボスティーに朝鮮人参、丁字、桂皮などがブレンドされ、飲んだそばから体が温まる。マグカップは波佐見焼のもので、店内でも購入可能。

撮影:小野広幸
取材・文:吉村セイラ