今日から使えるギョーザプランニング

餃子の魅力にとりつかれ、気づいたら477日(3月16日時点)餃子を毎日欠かさず食べています。

この記事では、そんな私の日常の“ギョーザプランニング”をお届けすることで、「今日このギョーザ食べに行ってみようかな!」と思っていただくために書く、全編妄想の記事です。

Vol.4 もしも、クライアント女性マーケターに「いい餃子店さんをプレゼンしてください!」と言われたら?

ある日、広告企画のお手伝いをしている某飲料メーカーの女性マーケティング担当(以下女性マーケター)さんから打ち合わせ後に声を掛けられました。「今日の企画プレゼンはお疲れ様でした! 「近々、いい餃子店さんをプレゼンしてください!」と。

 

広告業界でクライアントさんから“近々”ということは“ASAP(as soon as possible)”つまりは「なる早」で提案しないといけないパターン。本業のクライアントさんからのプレゼン依頼はいつも以上に緊張します。気合を入れてギョーザプランニング! 改めてお伝えしますが、この記事は全編妄想記事です。さあ妄想スタートします!

ギョーザプランニングは「餃子を食べて欲しい人」を考えることから

今回のオリエンは「クライアントさんにとっての良い餃子店さん」。

具体的な希望がない分、いつも以上にクライアントさんの意図を読み解く作業が必要です。あくまで“ギョーザプランニング”は、どんなケースであっても「餃子を食べて欲しい人」のことを考えることから始まります。

キレキレ女性マーケターの急所を探せ!

某飲料メーカーでマーケターとして働く彼女は職業柄、美味しい料理屋さんを見つけては食べ飲み歩くことがマーケティング活動でありライフワーク。広告代理店からの接待などもあり、雰囲気の良いお店や高級なお店にも行く機会が多いはず。さらには、休日にはいわゆる“せんべろ”系のお店で仲間とワイワイ飲み食いもしている。この人に「いい餃子屋さん」を紹介するって改めてハードル高い……(涙)。

 

どんなお店を提案しても「なんでこの餃子屋さんが私にいいと思ったんですか?」と問い詰められている姿しか思い浮かばない……。途方に暮れかけていた時、彼女が東北出身で世田谷区在住であるということを思い出しました。インサイトに注目するあまりに基本的なデモグラ情報の考察を怠っていました。反省反省。

クライアントの地元愛を餃子でくすぐれ!

ギョーザプレゼンのコンセプトが一気に決まりました。東京でありとあらゆる美味しいご飯を食べ尽くしている彼女に、生まれ育った“青森”の餃子を味わってもらいたい。しかも、住んでいる“世田谷区”にあるから帰り時間も気にしなくていいので落ち着いて呑めるはず。

 

そこで今回のギョーザプレゼンに自信を持って選んだのが、若林にある“酔処 みね ”さん。

青森を愛し、若林に愛される名店

 

世田谷線若林駅から徒歩30秒。駅を降りて見上げるとそこにお店はあります。暖簾をくぐり、階段を登ると、“青森”への愛で溢れた店内と店長の長嶺卓さんとがお迎えしてくれます。

青森県の十和田ご出身の店長 長嶺卓さん。高校在学中に料理の道に進むことを決めて上京。焼肉店やイタリアンで修行を積む中で「青森の食材を使ったお店を出したい」と決意。「1つの街に1軒くらいは、酔い潰れてもなんとか帰れる居酒屋があるといいですよね」と、若林で居酒屋を構えた理由を教えてくれました。

「食材を作っている人の顔が見えて、自分が愛情を持つことができる。そして何より青森の料理が好きで、もっと東京の人にも知って欲しい」。そんな長嶺さんの想いが込められたメニューは青森の郷土料理だけではなく、小さい頃から慣れ親しんだ家庭の味やおばあちゃんの味、定番の居酒屋メニューがズラリと並びます。

青森が生んだメニューがズラリ

「初来店の人で、“すじこと日本酒”を頼んだら恐らく青森出身の人だろうなと想像してしまいます(笑)」という、“すじこ”が青森フルコースの始まり。青森のニンニクを食べて育った“十和田ポーク”を使った“バラ焼き”は、豚肉の甘みがタマネギに染み込んで絶品。青森の家庭ではおなじみの“なすのシソ巻き”。「おばあちゃんが作ってくれていた、ハムとカニカマとちくわが入ったレシピそのままなんです」という“ばっちゃのマカロニサラダ”。「お客さんが集まる時には必ずオヤジが大きな鍋で振舞ってくれていました」と、“馬肉のスジ煮込”もすすめてくれた。どのメニューも青森へのリスペクトと生まれ育った地元への愛に溢れています。

青森愛と餃子への想いが生み出した餃子

さてお待ちかねの餃子です。「小さい時に家族みんなでホットプレートいっぱいに餃子を敷き詰めて、食べていたんです。その頃から餃子が大好きなんです。だから、自分のお店にも絶対に餃子を出したかった」

そんな餃子への想いから、十和田ガーリックポークの甘みと旨みを最大限に活かした餃子を開発。

 

餡にはキャベツ、ニラ、タマネギに加えて、これまた青森では欠かせない調味料である“スタミナ源たれ”が入り、りんごの甘みが加わる。「ゆっくりとした時間を楽しんでいる人を急かさず、少しでも美味しい状態の餃子を食べて欲しくて」と皮はカリカリに。つけダレは、リンゴがたっぷり入った特製の醤油ダレと、これまた特製のゴマドレッシング、さらにお酢が加わる。このタレをたっぷりつけて、別添えしてある“ニンニク醤油漬け”とネギを一緒に口の中に入れると、皮に包み込まれた青森の旨みが一口いっぱいに押し寄せてきます。青森への愛と餃子への想いが詰まった、まさに、ここでしか食べることのできない餃子に仕上がっております。

 

「なぜ餃子なのか?」と聞くと、「小さい頃に餃子を包むのを手伝って、試行錯誤して上手にできると褒めてもらえるのが嬉しくて。その時の体験が僕を料理の道に進めてくれましたし、これからも地元の料理や思い出の料理を作り続けていきたいです」と、長嶺さんは少し恥ずかしそうに笑いながら答えてくれました。

 

 

青森料理と青森が詰め込まれた餃子を食べて、故郷を思い出してもらい、東京での慌ただしい日常とは違った、ゆったりとした時間を味わってもらえたら今回のプレゼンは成功です。本業の企画プレゼンも上手くいきますように……(笑)。

僕も餃子が食べたくなったので、今日も誰かを誘って餃子を囲みたいと思います。