スパイシーでまろやか、クセになる「カオソイ」

タイの乾麺を水で戻してから調理に使う
 
 

カレーおじさん\(^o^)/

「カオソイ」とはタイ・チェンマイ地方の名物料理。茹で麺と揚げ麺を使うココナッツカレーラーメン的な料理です。

ちなみにタイ語で「カオ」は「米」、「ソイ」は「細く切る」という意味がある。カレーおじさんのコメント通り、茹で麺と揚げ麺の両方味わえるのが特色で、そこに肉、野菜をトッピングして味わう麺料理だ。

「ダオタイ」で使う茹で麺は、タイの屋台で使われているのと同じセンレック・クイッティアオとよばれる米粉の乾麺を水で戻して使う。「夏は約30分、冬はもう少し長めに、季節で時間を変えています」と教えてくれたのは、店長を務める飯塚智史さん。麺は1人前約160gとなかなかボリューミーである。

湯がいた米麺を素早くチリオイルで和える

米粉麺はくっつきやすいのでタイのチリオイルを軽く絡めておく一手間を加えるのが「ダオタイ」流。

使用するピンク色のどんぶりは、タイの屋台やフードコートなどでおなじみのメラミン食器。熱いものを入れても食器自体が熱くなりにくく、保温性が高いのでスープも冷めにくく、最後までおいしく味わえる利点がある。

スパイスとココナッツミルクの甘い香りを漂わせるスープ

カレースープはイエローカレーペーストとレッドカレーペーストをミックスし、ココナッツミルクをたっぷり入れて作られており、濃厚な色とエスニックな香りがたまらない。ちなみに「カオソイ」は、世界各国のさまざまな料理を紹介する料理情報サイトで「世界のベストスープ50選」の1位に選ばれたこともあると知り、いやが上にも期待が高まる。

「カオソイ」1122円。野菜はモヤシと小松菜、トッピングは鶏もも肉とパクチー。揚げ麺のパリポリした食感もいいアクセント

目の前に運ばれてきた「カオソイ」。まず目を引くのはドーンと盛られた揚げ麺だ。ちなみに揚げ麺は米粉麺ではなく小麦粉麺が使われており、2種類の麺を異なる調理法で味わうことができる。

 

カレーおじさん\(^o^)/

現地で食べると日本人にとっては麺が茹ですぎかなと感じることも少なくない中、「ダオタイ」の「カオソイ」は太めのライスヌードルを使用しており、だからこそ茹ですぎという感覚にはならず、モチッとした食感が良くておいしいです。

本場のライスヌードルにエスニックな味わいのスープがしっかり絡む。麺はお好みで日本のラーメンのような小麦麺で作ることも可能

スパイスの香りが引き立つクリーミーなスープは程よい甘みとコクがあり、ちょっぴりスパイシーでまろやかで奥深い味わい。後からほんのりじわっと辛みが追いかけてくるが、決して辛すぎることはなく、これはクセになる味わいだ。

「お好みで、調味料を加えて辛さを調節してもおいしいですよ」と飯塚さん。卓上には4つの調味料がセットになった容器があり、ドライ唐辛子(辛みを増す)、グラニュー糖(甘みを足しコクを出す)、ナンプラー(塩味を足す)、酢(酸味を加える)が入っており、タイではこれらをプラスして自分好みの味にして楽しむのが一般的なのだ。

砂糖以外を加えてみたところ、確かに味わいが変化する。酢を入れてもツンとした感じはなくさっぱり。味変はぜひおすすめしたい。

チャーシューのようにも楽しめる「コームーヤーン」

下味を付けた豚肉を、ニンニクの香りを引き出した油で焼いていく
 

カレーおじさん\(^o^)/

焼き物系もおいしく、定番のガイヤーンも良いですが個人的には「コームーヤーン」(豚トロのグリル)をおすすめします。

「カオソイ」と一緒に食べるとおいしいとカレーおじさんが挙げてくれたのが「コームーヤーン」。「コームー」は「豚の喉回りの肉」で日本の豚トロと同義、「ヤーン」は「焼く」と言う意味で、もともとはタイ東北部イサーン地方の郷土料理だったものが、タイ全土に広まり親しまれるようになった。

作り方、食べ方ともにシンプルで、オイスターソース、ナンプラー、ニンニクで下味を付けた肉を焼き上げ、タイのフルーツ、タマリンドをしぼったものにナンプラー、パームシュガー、カオクア(炒り米粉)などを加えて作ったタレで味わう。

焦げ目がつき香ばしく焼き上がった「コームーヤーン」869円。肉の下にはキャベツなど刻み野菜が敷いてある

「コームーヤーン」の特徴は、なんといっても豚トロならではのコリコリした食感、そして脂の甘み。噛めば噛むほど味が出て、香ばしい香りと歯ごたえもたまらない。下味を付けてあるので、タレを絡めれば味わいが重層的に、そのままでも十分いける。

「この一皿にご飯を付けて食事として楽しむ方もいますし、お酒を飲む方にはいいおつまみになりますよ」と飯塚さん。これはビールがよく合いそうだ。

 

カレーおじさん\(^o^)/

タレのおいしさがやはり他の店舗とは一味違い、そのまま食べて良し、カオソイのトッピングのチャーシュー的にスープに入れても良しです。

チャーシュー的に「コームーヤーン」をトッピング

半分ほど食べ終わったところで、カレーおじさんおすすめの“チャーシュー的食べ方”で「カオソイ」にトッピングしてみると、甘さを感じる「コームーヤーン」が、スパイシーな「カオソイ」の味わいを引き立て好相性。ジューシーな鶏もも肉を食べた後に豚トロも味わう、ちょっと欲ばりな楽しみ方だ。本場のアルミカップに入ったレモングラスウォーターがまたすっきりした味わいで、口内をさっぱりリフレッシュでき、「カオソイ」を最後の一口までおいしくいただける。

辛くない料理、辛さを調節できる料理が豊富

店長の飯塚智史さんとタイ人スタッフのオームさん。オームさんはバンコクの西に位置するナコンパトムの出身

「タイ料理というとどうしても辛いというイメージをもたれがちですが、『カオソイ』や『コームーヤーン』のような辛くない料理、味や辛さの調節ができる料理もたくさんありますし、お酒の種類も豊富なので気軽な居酒屋としてお使いいただければ」と飯塚さん。

トゥクトゥクが飛び出したようなインパクトのある店構え

麺料理としてはかなり日本人好みの「カオソイ」、まだ広く知られているとは言い難いが、一度食べればその奥深いおいしさがわかるはず。阿佐ケ谷駅前の“リトルタイ”でぜひ味わってみてほしい。

※価格はすべて税込

取材・文:池田実香(フリート)

撮影:齋藤ジン