ファッション誌『mer』や『mina』などで活躍するモデルでありながら、豪快な飲み方がなんとも男らしい! お酒好きを公言するモデル・村田倫子が、気になる飲み屋をパトロールをする連載。

 

そんな飲み道楽な彼女が、「同世代の人にもっと外食、外飲みを楽しんで欲しい!」と願いを込めてお送りする今回は、東京・恵比寿にある、日本酒と世にも珍しい海おでんが楽しめるお店を紹介。

呑み屋パトロール vol.6「日本酒 はなたれ」

恵比寿から広尾方面に進むと、活気溢れる駅前とは打って変わって落ち着いた通りに差し掛かる。その脇道に、青いネオンに日本酒、海おでんの文字が浮き立つ看板が遠慮がちに光を放ちます。

 

 

隠れ家的な雰囲気漂う今宵のお店は、「日本酒はなたれ」。

 

“海おでん”とは…?! 初めて出会うワードに心躍らせ、暖簾をくぐります。

 

 

隠れ家のイメージ通り、店内はキッチンを囲んでL字型のカウンターが10席。なんとも丁度良いこじんまり感。この店を切り盛りする、目尻まで優しい笑顔の店主がお出迎えしてくれます。店内の雰囲気とこの笑顔ですでに酔いそう(まだ呑んでないのに)。

 

くるっと店内を見渡すと、豊富な日本酒のボトルに個性豊かなおちょこが沢山!

 

 

あぁ、いいですね…。

 

はなたれでは、常時20種類の日本酒が取り揃えられており、その時の旬の食材に合わせて日本酒のラインナップも変えているそうです。来るたびに、新しい銘柄との出会いが楽しめるのは魅力的!

 

 

さっそく乾杯の一杯を。もちろん今日はスパークリング日本酒で決まりでしょ!

 

看板に大きく日本酒の文字が躍るだけあって、スパークリングだけでも豊富な品揃え。ずらっとこんなにあります(メニューに載ってないものまで)。

 

 

丁度良いサイズ感の「ひとときスパークリング」 1,100円(180cc)をオーダー。

 

 

あー、うまい。シュワっと弾け広がる甘味に、「日本酒って生きてるんだなぁ」と、改めて実感…。

 

シャンパンに引けを取らない(むしろ私は日本酒派)、華やかさと爽快感。1日の仕事の疲れが吹き飛びます!

 

さて、この子のお供に「海のポテサラ」780円。

 

 

磯の香りと、カニ味噌の風味漂う青のりポテトの山の頂には、てらっと輝くウニ。麓には、透明感のある黄身が眩しい半熟卵。惚れ惚れしてしまう、ポテサラマウンテンです。

 

スパークリングが早くも底をついたので次の一杯。お次は新酒、神奈川県の「松みどり」 520円(90cc)です。

 

 

若いお酒特有のフレッシュな芳香と、少し舌先に残るシュワっと感が気持ち良い。海鮮料理の旨みを、より引き立ててくれますね!

 

こちらに合わせて、「羅臼昆布の佃煮 マスカルポーネ添え」500円。

 

 

濃厚さと軽さを併せ持つマスカルポーネチーズが、ぎゅっと旨みの凝縮された昆布の存在を猛烈に押してくる。昆布とチーズがこんなにも熱烈なカップルだったなんて知りませんでした。これは、「家呑みでの酒のアテにもいいかも!」と脳内メモ。

 

海おでんを待つ間、ちょびちょびつまむ用として頼んだのに、ヒットすぎて瞬殺で食べ切ってしまいました。笑。

 

 

どちらも初めましての食材コンボ。掛け合わせることにより各々の素材が持つ旨み、コクの表情がぐんと引き立ちます…。店主の食材合わせのセンスに早くもメロメロです。

 

さて、やってきました海おでん!!!!! 単品からでも楽しめるのですが、まずは店主オススメの「海おでん5品盛り」(プラス芽キャベツ)1,880円。

 

 

朱色が眩しいお皿に輝く、海と山の幸。

 

この日は、お豆腐、生ワカメ、白子、目鯛、ハマグリのラインナップ。羅臼昆布と干したシラスで取った繊細なだしに、たまり醤油とみりんで味付けた、はなたれ独自のおだし。主張しすぎず、それでいて素材の味を引き立て、優しく包み込みます。おだしに煮込まれた食材は、海鮮の旨みも染みて深みがあり、汁までごくっと飲み干したい勢い…。

 

待望のおでんターンが来たので、お酒も合わせて。メニューでも海おでんのお供にレコメンドされている長期熟成酒、岐阜県の「長良川」550円(60cc)。

 

 

さすが長期熟成とあって琥珀色の濁りと、甘さと深み漂う香り。まるでウイスキーを嗜んでいるかのような、まったりと飲みごたえのある芳醇な日本酒です(本当に奥が深いよ、日本酒は)。

 

はなたれでは、おちょこは自分で選べるスタイル! コロンと身を寄せ合う愛らしいおちょこたち…。

 

 

どの子がこれから飲む日本酒に合うのか、考えながら選ぶ時間すら楽しいですね!(私は琥珀色を楽しむためにミルキーブルーの子にしました)

 

単品で追加オーダーした、「生青のり」280円。

 

 

ふんだんに投入された香ばしい青のりの海は、やみつきになりそうです。

 

そして、「季節の果物おでん」と浮き出た文字が物珍しく、思わずオーダーした「苺のおでん」。どんな姿で登場するのかドキドキです…。

 

 

 

来ましたよ! 文字通り、本当におでんと苺がコラボしてる!

 

 

だしで煮詰めた苺は、高級ジャムのような品のある甘さに、気持ち良い歯ごたえ。甘ったるさは不思議と無くて、ちゃんと立派なおかずになってるよ苺さん…。

 

未知との遭遇に胸が躍ります! 季節のおでんの無限大の可能性にあっぱれです!

 

珍しいコンボに心がくすぐられ、こちらもオーダー。「カチョカヴァロ」880円。

 

 

伊佐牧場の特製チーズが、みよ~んと伸びる伸びる(楽しい)。味はちゃんと染み渡っているのに、特有のシコシコとした歯ごたえはきちんと残り、旨みと食感が二度美味しい。

 

食への遊び心と追求心溢れる店主。やっぱりセンスが良いのよ! なかなかこんな発想でてこないもん! この柔軟性と冒険心、私もぜひ見習いたいです…。

 

料理の感動に比例して、日本酒もクイクイ進む。きっと私のように我を忘れて日本酒に浸る方が多いのだろうか…。席にはすでに、1リットル容器に入ったお水が常備されていました! 笑。

 

 

日本酒を、より楽しむための和らぎ水。夢中になるとお水を頼むのも忘れがちなので、店主の優しい配慮は助かります。

 

というわけで(?)、「燗も呑みたい~!」と頼んだ、「奈良県きもとのどぶ」550円(90cc)。乳白色のしっかりとした濁り、たまりません!

 

燗にすることによって、より引き立つ甘みと湯気立つ香りに顔がほころぶ。日本酒は燗にすると、また味わいに奥行きと広がりが増幅します。

 

 

はなたれでは、すべての日本酒が熱燗にできるので、冷と燗の二つの表情を飲み比べてみるのも面白そうです。

 

お酒も料理も堪能したので、そろそろ〆に行きます。

 

じゃーん、「生うに茶づけ」950円!!!

 

 

(以前連載で訪れた「角打ちじんべえ」で、ウニで〆る幸せの味を覚えてしまったので、実は見つけた瞬間から決めていた)

 

海おでんの旨みたっぷりおだしに浸かった麦飯、その上に我が物顔で君臨する輝くウニ様。もう、やっぱりビジュアルから喉が鳴る。

 

プリッとした麦飯に絡むウニのコクがたまらない…。そこにするっと流れ落ちるおだしに幸せが止まりません。

 

 

あぁ、最後まで幸せなひと時をありがとうございます!

 

ほっこり空間で、粋なお料理と美味しい日本酒を堪能できる恵比寿の隠れ家。店主の遊び心溢れる一工夫から生まれる食材の新たな魅力に、驚きと発見の連続でした。

 

私的には、デートでここに連れてきてもらえたら、かなりグッときちゃいますね。

 

 

良い店に出会えて満足な夜だなぁ。

取材・文:村田倫子