【食を制す者、ビジネスを制す】
カリスマ経営者に学ぶ、神頼み
あけましておめでとうございます。本年もどうぞよろしくお願い致します。
さて、正月といえば、初詣。皆さんはどこにお参りしているだろうか。大都市圏の有名なところといえば、東京の明治神宮や浅草寺、千葉の成田山、鎌倉の鶴岡八幡宮や川崎大師、埼玉の氷川神社、愛知の熱田神宮、大阪の住吉大社、神戸の生田神社、福岡の太宰府天満宮などが挙げられる。ほかにも伊勢神宮や出雲大社、さらに京都の神社を挙げていけば切りがないだろう。私もこのうちの半分以上を参拝したことがあるが、面白いのは、どんな経営者や企業が、どんなものを奉納しているのかを見学することだ。鳥居や灯籠など境内を見渡せば、奉納者の名前が刻まれているので誰がどんなものを奉納しているのかすぐにわかる。
酒造メーカーはその代表格だろう。境内で奉納され飾られている樽酒をよく見かけるはずだ。とくに日本酒の代表的な生産地である灘五郷(なだごごう)には、「白鶴」や「菊正宗」、「白鹿」や「白鷹」といった有名ブランドがあり、多くの神社に奉納されている。
中でも「白鷹」は伊勢神宮の神宮御料酒として有名だ。「白鹿」は福男競争で有名な西宮神社、「菊正宗」はスケートの羽生結弦選手が参拝した弓弦羽(ゆづるは)神社などと縁が深い。ちなみに「菊正宗」の菊正宗酒造は灘中・高、「白鹿」の辰馬本家酒造が甲陽学院を運営している。日本酒のほかにも、日本ならではの味噌や醤油メーカーは歴史の長い企業が多く、それだけ神社と縁の深い企業も多いと言えるだろう。
経営者は信心深いもの
経営者自身も信心深い人が多い。仕事では人智を超えたものに遭遇することがよくあるからだ。だからこそ運を大事にしているのだろう。神や仏に真摯に向かう姿勢は堂に入っている。パナソニックの創業者である松下幸之助は伊勢神宮などに茶室を献納しているし、幸之助の京都別邸だった真々庵(しんしんあん)の中には自身がつくった神社まであるという。
安田財閥の創始者である安田善次郎は熱心な仏教信者で、「うそをつくな」「悪口を言うな」「自慢をするな」。その3つを「今日一日だけ守れ。できるだけやったら、仮に積み残しても忘れて、次の日にまた同じように努力しなさい」と自分に言い聞かせるとともに、一族にも実践するように薦めていたという。
日本電産の創業者である永守重信氏は、元旦の午前中を除いて、1年365日働く経営者として有名だが、自分の運勢が二黒土星ということから、その運勢の基本は土にあり、土を腐らせないようにするには、木や草といった緑が必要だということで緑のネクタイを常に付けている。しかも緑には太陽が不可欠だということで、どこに行っても、太陽に向かって座るという。かつて永守氏がサラリーマンだったときには職場で机を太陽に向けて動かして怒られたこともある(!)というエピソードもあるほどだから、経営者というものが自分の運を良くするために相当の努力を払っていることがよくわかる。
初詣のあとは、銀座ですき焼き
そんな運を引き寄せるという意味において、ビジネスパーソンにとっては正月の初詣も大事な仕事の一つなのかもしれない。例えば、赤坂の日枝神社には、多くのビジネスパーソンたちが祈祷に訪れている。これも今年の運気を上げるためのものだ。
でも、初詣の本当の楽しみは、お参りのあとにおいしい食事をすることだ。参道にはたくさんの飲食店が並んでいる。どこにしようか。ここは人が並んでいるから入ろうとか、いや面倒くさいから別の店にしようとか、そうやって適当な店を探しながら参道を歩くのは、なんだか楽しい。
でも、参道にある人気店は必ず混雑するので、待ち時間も相当かかる。そんなときは思い切って、近くの別の街に行ってみたい。例えば、日枝神社なら赤坂と行きたいところだが、正月期間は休みという店も多く、銀座まで足を運んでみよう。
正月ならば、少し奮発してもいい。そんな気分で行ってみて、ちょっと得した気分になれるのが「柿安 銀座店」だ。ランチの時間なら、すき焼き御膳などを3000円台で食すことができる。
または、「人形町今半 銀座店」でもいい。こちらも同様にランチの御膳なら同程度の金額(3,780円)で済む。
なぜチェーン店系の店を薦めるのかといえば、個人経営の店は正月の時期、いつ休みなのかがはっきりわからないからだ。私はこれで何度も失敗したことがある。個人経営の名店は、まず日祝は休みだと考えたほうがいい。もしやっていたとしても営業時間に変更があったり、いつも開いている時間に閉まっていたりする。その点、チェーン店なら正月元旦は休みでも、2日以降は通常通りの営業の場合が多かったりするし、営業時間に変更がある場合でもネットで確認できる。
というわけで、ビジネスパーソンに良い運は不可欠。正月気分の間においしいものを食べて、ぜひ今年の運を引き寄せてみよう。