〈New Open News〉
毎日、たくさんの新しいお店が登録されている「食べログ」。そんな「食べログ」のデータベースの中でも、オープン早々、高い評価の口コミがあったり、多くの「保存」をされたりしている『注目のお店』を食いしん坊ライターが紹介します。早くもお店に訪問した食べログレビュアーのコメントも掲載!
アートかビーフンか白厨(東京・六本木)
2023年4月に六本木駅から徒歩3分ほどの場所に、台湾料理を楽しめるアートギャラリー「アートかビーフンか白厨」がオープンしました。手掛けたのは「ArtSticker」というオンライン上でアーティストと出会い、支援や作品を購入することができるプラットフォームを運営する「The Chain Museum」。少しハードルが高く、分かりにくいイメージを持たれがちな現代アートを、食や会話を通して、身近に感じて欲しいという思いから、ギャラリーを立ち上げました。飲食スペースをギャラリーに併設することで、客がアートを鑑賞したあとに、お酒を片手に誰かと語り合いたくなるような場所を目指しているそうです。
同店は六本木の再開発により取り壊しが決まっている雑居ビルの2階にお店を構えています。自由度の高い物件だったこともあり、展示内容など実験的なことができそうと感じたのが出店の決め手になったそうです。また六本木は夜が賑やかな街なので、人が集まって語り合うシーンが想像しやすかったのも、この場所に決めた理由のひとつとのこと。
さらに、徒歩圏内に森美術館やピラミデビルなど、現代アートのコンテンツも充実していて、アートを通じて語り合いたくなる「きっかけ」の多いエリアでもありますね。
店内の飲食スペースは開放的なオープンキッチンで、客席はカウンター9席、テーブル9席の合計18席。テーブルはゆったりした大きさの円卓が3卓あり、1つのテーブルで5名くらいまでは飲食可能です。カウンターや照明は、ビルにもともと入っていたアートギャラリー(ANB Tokyo)から受け継いだ棚や椅子をリメイクして作ったとのこと。前テナントの歴史を受け継ぐことで、以前からこの場所に足を運んでいる方にもその片鱗を見つけ、面白がってもらえたらという遊び心も素敵。共通の展示を鑑賞することで、初めて会う人同士も距離が縮まり、会話も弾みそうですね。
展示スペースは、アーティストたちにはできる限り自由に表現してもらいたいと考え、あまり完成させすぎないことを意識しているそう。足を運ぶ度に、展示内容によってガラッと変わるお店の印象も、アートと共に楽しんでください。
同店で腕を振るう小川呂美シェフは、「BOULANGERIE ianak!」でパンや惣菜の製造レシピ開発、新店舗立ち上げなどに携わった後、独立し浅草橋でビストロを開店。四川料理の経験も積み、さまざまなジャンルを経験しています。そんな引出しを多く持つ小川シェフのおすすめメニューは、店名にもなっているビーフン。季節や客からのリクエストで素材の組み合わせなどは変えていくそうですが、定番としては、北海道産の干し貝柱の出汁をたっぷり吸わせた味わい深い「貝柱と干し海老の焼きビーフン」1,650円と、飲んだあとの〆にうれしい「青菜と焼き豚の汁ビーフン」1,650円の2種類を用意しています。汁ビーフンは、焼きビーフンよりもさらに出汁をしっかり感じられ、満足感のある一品となっています。どちらも台湾の細めのビーフンを使用し、具材は極力減らし、素材とビーフン本来の食感を楽しめます。
初来店の際には、ピータンを刻んでソースにした「台湾式の冷奴」990円、粒を大きめにミンチしたジューシーな豚肉とシャクッとした玉ねぎの甘味がうれしいシンプルな「大きめの焼売」770円、そして「焼きビーフン」か「汁ビーフン」で〆れば間違いないです。同店の魅力をしっかり堪能したい方には「白厨はじめましてコース」4,950円もおすすめです。
何度か足を運んだ方にはシェフが気分と仕入れで作ってくれる「前菜の盛り合わせ」1,980円もおすすめです。「無花果のジャスミンティー煮とクリームチーズ」「ナスの紹興酒マリネ」「そら豆とアンチョビのポテトサラダ」など、もはや台湾料理の枠におさまらない料理と出会えます。常連の間で密かに人気になっている「ちまき」は、椎茸、豚肉、貝柱を煮詰めて出汁をとっていて、見た目の派手さはないですが複雑な味わいに飽きのこないメニューです。
同店では、アートファンのボトルキープをアーティストとシェアできる「BottleForArtists(BFA)」というシステムを導入しています。店内のカウンターにずらっと並べられたジョニーウォーカー ブラックラベルには、ボトルを入れたアートファンたちのサインが書かれたタグがぶら下がっています。ArtStickerに登録されているアーティストなら誰でも、BFAのボトルで乾杯することができるので、ボトルキープから生まれるアートコミュニケーションも楽しいですね。台湾料理やお酒が好きな方も、新しいアート体験を楽しんでみたい方も、足を運んでみてください。
食べログレビュアーのコメント
『台湾の路地裏に迷い込んだような入り口から秘密基地めいた階段を登ると揺れる間仕切りの向こうにうっすらとアートがゆらめく。
中に入ると冷たいコンクリートと温かみのある内装のコントラストが心地よい空間。
料理はどれも秀逸で、特に山海の珍味のエキスが染み込んだちまきが老舗の佇まいすら感じる完成度で是非一度味わって頂きたい逸品』(masas711983さん)
『カフェスペースでの作品展示は他の客に気を使うことが多いが、
こちらはバーと展示スペースは分かれているため見やすい。
ただ一部テーブルと作品が近いため作品に集中できなかったが、広さ的に仕方がないとは思う。
テーブル数を少なくしていることからも、その辺り考慮されていると感じた。
紹興酒、前菜盛り合わせ、貝柱と海老のビーフンをいただいたが、味は絶品。
厨房に立っていたのは知る人ぞ知るTorigoe Tを経営されていた小川呂美さんかと思われる。
これでは美味しくて当たり前である。
支援のための、アーティストが無料で飲めるボトルシステムは新しくて面白い。
有名なアーティストや著名人のボトルもある』(小籠包おじさんさん)
※価格はすべて税込。