3つの系列店のパティシエたちによるデザートの競演

「PutON Café」のパフェ
「Amandier」のパティシエ横石さんが考案した和風のパフェ「パルフェ ノワール」(1,650円)。

「PutON Café」は「点心HOLiC」よりも1時間長く15時半まで営業するカフェ。テーブル席やソファ席の利用も可能だが、おすすめはプールのあるテラス席だろう。
「EXSTION」の会員が利用できるプールだが、カフェおよびディナー中は遊泳タイムではないので、外の空気を感じられる開放的な空間でお茶ができる。

人気は3種のパフェ。グループの「Amandier」「WAJO」「薫 HIROO」の各パティシエがそれぞれ考案したもので、本来ならそれぞれの店に足を運ばなければ食せないパティシエのデザートが一堂に揃う贅沢ぶりだ。

黒が印象的な「パルフェ ノワール」は、甘みを控えた竹炭マカロンと胡麻アイス、コーヒーゼリーの組み合わせが秀逸な和のパフェ。黒豆や竹炭で黒く色付けしたパンナコッタなどとことん黒にこだわっている。

柑橘の香りいっぱいの「季節の柑橘パフェ」(1,650円)。「WAJO」のパティシエ勝俣さんが考案。

こちらは「WAJO」のパティシエ勝俣さんによる「季節の柑橘パフェ」。取材のあった5月中旬は、フレッシュな文旦とブラッドオレンジを使用していた。パフェ上部は柑橘果汁のエプスーマ。爽やかな香りと、軽やかな泡が、中に隠されたココナツのソルベとバニラのアイスを引き立ててくれる。一番下のライムの香り高いジュレも絶品だ。

「PutON Café」
「国産いちごとピスタチオのパフェ」(2,420円)は「薫 HIROO」のパティシエ室岡さんによるもの。

先に紹介した2つのパフェは通年提供のパフェだが、「薫 HIROO」のパティシエ室岡さんによる「国産いちごとピスタチオのパフェ」は季節限定となっている。

使用するいちごは、埼玉県オリジナル品種「あまりん」。酸味が少なめで甘みがあり、実がしっかりしていて食べ応えがある。
フレッシュないちごから作ったいちごソースの上に、ピスタチオのセミフレッドとメレンゲで作ったカップを置き、カップの中にはフロマージュブラン。周囲はたっぷりのいちごで囲み、こちらもフレッシュないちごで作ったソルベを飾る。
パフェ全体のバランスが良く、いちごのおいしさを存分に味わえるようになっている。

6月以降に「あまりん」の旬が終了していちごの種類が変われば、パフェにもちょっとした変更がされるだろう。その時々のいちごとスイーツの共演が楽しめそうだ 。

カジュアルにグループのイタリアンを楽しむ「Italian dining 薫 KABUKI」

「大山どりのロースト」は「本日のお肉料理」(3,410円)として提供される。

17時からのディナータイムはカウンターを除く全席が、カジュアルイタリアンの「Italian dining 薫 KABUKI」となる。
5月現在はすべてアラカルトメニューとなっているが、ゆくゆくはコースも登場する予定だという。

料理は、前菜が冷菜7種、温菜3種、サラダが1種。リゾットやパスタは5~7種あり、どれも食べ応えがあるボリュームだ。

メインは食材に合わせて「本日のお魚料理」「本日のお肉料理」の形で提供されるため、スタッフに聞いてみると良いだろう。

「大山どりのむね肉 ともも肉のロースト マルサラソース」
「大山どりのむね肉 ともも肉のロースト マルサラソース」。ももと胸肉、2つの食感が楽しめる。


この日は「大山どりのむね肉 ともも肉のロースト マルサラソース」。胸肉は鶏の出汁に付け込み、50分かけて低温調理しているため、胸肉とは思えないしっとりとしたやわらかさだ。一方、もも肉はカリッとローストしているので、皮目がしっかり焼けて弾力ある仕上がりになっている。
ボリュームたっぷりなので3~4人でシェアしても十分、満足できる。

「dining 薫 KABUKI」の「国産和牛のボロネーゼ」
「国産和牛のボロネーゼ」(2,000円)。牛肉がたっぷり味わえる。

パスタは「スパゲッティ ボンゴレビアンコ」や「ブカティーニ アマトリチャーナ」など7種。こちらも比較的ボリュームがあるので全体のバランスを見て頼んでいくのがいいだろう。

「国産和牛のボロネーゼ」は、平麺のタリアテッレを使った本格的な味わい 。凝縮された牛肉の旨みがパスタに絡みつき、満足度が高い一皿だ。

賑やかな歌舞伎町とは対照的な、落ち着きある大人の店

ウェルネスクラブ「EXSTION」のフロント
ウェルネスクラブ「EXSTION」のフロント。レストラン利用者はそのまま入っていくことができる。

レストランが入っているウェルネスクラブ「EXSTION」は会員制のため、5階フロアに上ると受付があるが、レストラン利用者はそのまま入店できる。受付のスタッフに声をかけられたらレストランを利用したいと伝えればOKだ。

歌舞伎町タワーは、1~3階はとても賑やかな一方、4階以上は静かで落ち着いた雰囲気だ。特に5階は高級感があり、広々としたレストランエリアでゆっくり食事ができる。

また、新宿のカフェタイムと言えば店選びに迷うことも多い。歌舞伎町エリアでゆっくりできるおすすめスポットと言える。

ウェルネスクラブ「EXSTION」のウェイティングルーム
クラブの会員が利用する待合室は、レストラン利用者のウェイティングルームにもなっている。

しかし特筆すべきは、長谷川稔グループが全面的に提供するレストランである点だろう。グループにとってもメインテーブル席52席、テラス42席という広さは初めての規模。

オープンに踏み切ったきっかけを長谷川シェフに伺うと「ご縁があってタイミングよくお声がけしてもらえた。やはりこれだけの規模の店を手掛けてみたかったのもあるが、一番はもっと皆さんに身近に私たちの料理を食べていただきたかった」と言う。
人気店となり予約が取れない店になったことへのうれしさはあるものの、同時に“気軽さ”と離れてしまったことに対する思いがあったのだろう。


「料理って本来はもっと気軽に、食べたい時に食べられるものだから、そういうお店にしたい」と語る長谷川シェフは、これからも色々なことに挑戦して私たちを楽しませてくれるに違いない。

※価格はすべて税込。サービス料別。
※営業時間やメニュー等の内容に変更が生じる可能性があるため、最新の情報はお店のSNSやホームページ等で事前にご確認をお願いします。

取材・文:岡崎たかこ(UP SPICE)
撮影:松村宇洋(UP SPICE)